BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン』-201011。

原題:House of Cardin
P・デビッド・エバーソール、トッド・ヒューズ 共同監督・製作
2019年、米・仏合作

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ピエール・カルダンの半生や彼の業績がとてもわかりやすく
まとめられていた。最初から最後まで楽しく観ることができた。
前にマノロ・ブラニクの伝記ドキュメンタリーを観て、
あれも結構楽しく観られたのだが、

york8188.hatenablog.com

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この映画は、マノロ・ブラニク氏という
チャーミングな人物そのものにフォーカスしすぎて、
マノロ・ブラニクブランドの人気の秘密とか、
デザインの先進性などに関しては、あまり伝えていなかった。
この道の専門家の方々に聞いたら、もしかしたら
「そういうことを詳しく語るのは、難しいことなんだよ」
というコメントが返ってくるのかもしれないが、
でも、素朴に、知りたい部分ではあった。
洋服とか、アクセサリーとか、バッグとか、いろいろあるのに
なぜよりにもよって「靴」だったのか、とか。

それと比較して、この『ライフ・イズ・カラフル』は、
ピエール・カルダン氏の人柄について、
肌感覚に近いものとして生々しく伝えてくれたのと同時に、
ピエール・カルダンというブランドの、何が新しかったか、
どうして人気を獲得したか、どこが受けたか、
世界中で注目されるブランドになるまでの成長戦略の内容を
しっかり解説してくれていた。
そこがとても好きだった。

ピエール・カルダン氏はいまも健在で、
まだまだ新しい夢に向かって歩みを続けているとのことだった。
みずからプロデュースした劇場の舞台劇のゲネプロを観て、
「あの俳優の歌が素晴らしかったよ。感動的だった」
と言って、顔を真っ赤にして涙していた。
なんて感情ゆたかで、可愛らしい人なんだろう。

「ファッションデザイナーという仕事を、軽薄なものに
 思うかもしれないけど、それはとんでもない偏見だ。
 ファッションデザイナーの本当の仕事は、
 パーティーのドレスを作ることではなく、
 世界を変えることなんだよ」
という言葉が心に残った。
マノロ・ブラニクも、ドキュメンタリー映画の中で
そういう意味のことを語っていた。

 

いろいろと、今まで知らなかったことが知れた。
ピエール・カルダンコレクションの洋服が
次から次へとカラーで登場し、眼にも楽しかったし
この前亡くなったKENZO高田賢三さんも登場して
カルダン氏との若かりし頃の思い出を語っていた。

スタンリー・キューブリックのドキュメンタリー
キューブリックに魅せられた男』(2017年)
キューブリックに愛された男』(2015年)
ほど、ワクワクしたわけではなかったけど、
とても質の良いドキュメンタリー映画だったと思う。
ぜひどなたも観てみて欲しい。