原題:La danse - Le ballet de l'Opéra de Paris
フレデリック・ワイズマン 監督
2009年、仏・米合作
フランスのパリ・オペラ座バレエ団に密着する
ドキュメンタリー映画。
今までに観てきた何本かのバレエ映画のなかでは
一番長かった(160分)し、
一番、話に起伏がなかった。
単にオペラ座の練習風景を淡々と、ただ淡々と、
撮っているだけの映画だった。
でも、これまでに観てきたバレエ映画のなかで
一番、観ていて面白かった。
人間の体があんなにしなやかに、
あんなにいろんな動きをするということが、
興味深く思えてしかたなかった。
いくら観てもちっとも飽きなかった。
他のドキュメンタリーでも見かけた
エトワールのアニエス・ルテステュが
この映画にも出ていて、
練習中に、コーチに、
「そこは腕の位置が低すぎるからもっと上に」
というようなことを言われる。
(逆だったかも。高すぎる、だったかも。)
だが、アニエスは今までずっと同じ個所について、
「高すぎるから低く」と真逆の指示を受けていたらしく
「初耳だわ。今まで(先生は)ずっと、
『高すぎる』と言っていたじゃないですか」
と 心外そうな顔をしていた。
だがコーチはそんなの気にもせずに
「いやあ違うよ、そこは低すぎるんだよ」
と シレっと指示を変更していた(笑)
踊る方は汗だくなので、大変だなと思った(笑)
ギリシャ悲劇の『王女メディア』の物語と思われる
コンテンポラリーダンスの
舞台リハーサルのシーンがとても美しかった。
経営陣が、高額出資者への特典の内容を相談する所や、
ダンサーが芸術監督に役柄の不満を打ち明ける所など、
バックステージの現実的な所を垣間見ることができて
おもしろかった。
コール・ド・バレエの練習風景の場面では、
「コーチに見えてない」と思ったのか
あきらかに踊りをサボってる
メンバーの姿もしっっっかり映っていた。
(見えてないようで多分見えてるぞ・・・)
なまけるバレエダンサーなんて、
他のバレエドキュメンタリーでは
一瞬たりともみかけなかったので、
バレエの人はみんなひとりのこらず
すごく勤勉で、誰に言われるでもなく
自分から練習し、意欲的なんだと思ってた。
でも、やっぱりサボりたくなることがあるんだろうし、
サボる人ってのはいるんだなと思った。