BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『パリ・オペラ座のすべて』-201116。

原題:La danse - Le ballet de l'Opéra de Paris
フレデリック・ワイズマン 監督
2009年、仏・米合作

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www.youtube.com

フランスのパリ・オペラ座バレエ団に密着する
ドキュメンタリー映画
今までに観てきた何本かのバレエ映画のなかでは
一番長かった(160分)し、
一番、話に起伏がなかった。
単にオペラ座の練習風景を淡々と、ただ淡々と、
撮っているだけの映画だった。
でも、これまでに観てきたバレエ映画のなかで
一番、観ていて面白かった。
人間の体があんなにしなやかに、
あんなにいろんな動きをするということが、
興味深く思えてしかたなかった。
いくら観てもちっとも飽きなかった。

他のドキュメンタリーでも見かけた
エトワールのアニエス・ルテステュが
この映画にも出ていて、
練習中に、コーチに、
「そこは腕の位置が低すぎるからもっと上に」
というようなことを言われる。
(逆だったかも。高すぎる、だったかも。)
だが、アニエスは今までずっと同じ個所について、
「高すぎるから低く」と真逆の指示を受けていたらしく
「初耳だわ。今まで(先生は)ずっと、
『高すぎる』と言っていたじゃないですか」
と 心外そうな顔をしていた。
だがコーチはそんなの気にもせずに
「いやあ違うよ、そこは低すぎるんだよ」
と シレっと指示を変更していた(笑)
踊る方は汗だくなので、大変だなと思った(笑)

ギリシャ悲劇の『王女メディア』の物語と思われる
コンテンポラリーダンス
舞台リハーサルのシーンがとても美しかった。

経営陣が、高額出資者への特典の内容を相談する所や、
ダンサーが芸術監督に役柄の不満を打ち明ける所など、
バックステージの現実的な所を垣間見ることができて
おもしろかった。
コール・ド・バレエの練習風景の場面では、
「コーチに見えてない」と思ったのか
あきらかに踊りをサボってる
メンバーの姿もしっっっかり映っていた。
(見えてないようで多分見えてるぞ・・・)
なまけるバレエダンサーなんて、
他のバレエドキュメンタリーでは
一瞬たりともみかけなかったので、
バレエの人はみんなひとりのこらず
すごく勤勉で、誰に言われるでもなく
自分から練習し、意欲的なんだと思ってた。
でも、やっぱりサボりたくなることがあるんだろうし、
サボる人ってのはいるんだなと思った。