BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『レンブラントは誰の手に』-210214。

原題:My Rembrandt
ウケ・ホーヘンダイク 監督・製作・脚本
2019年、オランダ

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レンブラントの絵画に魅せられた人びとの、
愛情と欲望の交錯をとらえたドキュメンタリーだった。
いろいろな人と、いろいろなレンブラントが登場するが、
映画の主軸になっているのは、オランダのヤン・シックス氏と、
ロスチャイルド家が手放すことになったレンブラント2作品だった。
ヤン・シックス氏は、オランダの若き画商だ。
先祖がレンブラント肖像画を描いてもらったことがあるような
名門の生まれで、レンブラントを見る目は確かだと自負している。
彼はある競売に出品された作者不明の絵画がレンブラントだと直感、
まだ誰も目を付けていないうちに、安値で落札した。
レンブラントの作品が見つかることはそうそうないので、
これがもし本物だったら大変な発見ということになるのだが、
落札のプロセスをめぐって、思わぬケチがついてしまう。
他方、ロスチャイルド家が所有するレンブラント2点が売りに出て、
ルーブル美術館アムステルダム国立美術館が、獲得に乗り出す。
だが事態はいつしか、両国政府まで巻き込む騒動へと発展していく。

今月末に劇場公開の予定の映画なのだが、
オンライン先行上映で鑑賞した。

レンブラント大好きなので観ていてとても楽しかった。

読書にふける老女の姿を正面からとらえた絵画が出てきて
おばあさんの自然な表情が本当に生きているようだった。

絵画を落札した時のプロセスに問題があったと、あとで暴露されて、
ヤン・シックス氏が窮地に立たされる展開があった。
なんかおもしろいことになっているなー、とは思ったが、
彼が裏でそういうズルいことをしていたとか、
周囲の注目を浴びるためならズルいこともしそうな人だ、
とかいうことが、前もってまったく示唆されないので、
この展開は非常に唐突に感じられた。
(まあ、ズルいことをした人が、『いかにもズルいことをしそうな
人に見える』というのも、現実にはそうそうないかもしれないが。)

邦題は『レンブラントは誰の手に』なのだが
原題は『My Rembrandt』だ。
邦題も『わたしのレンブラント』の方が良かった気がする。