BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

2019年、映画鑑賞 総括-200103。

 

映画のレビューブログをオープンしたということもあって、
2019年は、かなりたくさんの映画を観て、
多くの傑作に出会った。
元もと、最低でも、このくらいのペースで
映画を観たいんだけどなあと かねて思っていた。
だが、実行できたのは初めてだったかもしれない。
都内の3つの映画館を、はしごした日もあった。
5日で9本観たこともあった。

やってみたら、心身ともに
案外なほど参ってしまって大変だった。
5日で9本観た週末に、友人と会った時は
顔を合わせるや「疲れてるね」と言われた。
ただ映画を観るというだけのことで
顔に出るほど疲れるなんて初めてで、
驚いた。
でも、なにごとも慣れだ。
今年はもう少しうまくやれると思う。

・・・

2019年に鑑賞した映画で、わたしが好きだったものを
ジャンル別に1作品ずつ挙げてみる。

2019年に観た映画
→合計129本(手帳などの記録による限り)
今年はさらにペースが上がると思う。




【わたし的最優秀作品 アクション・SF・ファンタジー系】

キングスマン
Kingsman: The Secret Service
2015年、マシュー・ヴォーン監督
英、米

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※レビューブログは物語の核心に触れているので
 映画を観てからお越しください。
エグジーが爆発的な成長を遂げるタイミングが、
訓練期間中ではなく「そのあと」だった・・・
というのが、今にして考えると実にうまい。
長い手足と上背を活かした
コリン・ファースのアクションは、優雅の極み。



【わたし的最優秀作品 ホラー・サスペンス系】

ドクター・スリープ
Doctor Sleep
マイク・フラナガン監督
2019年、米

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※レビューブログは物語の核心に触れているので
 映画を観てからお越しください。
娯楽としては問題なくおもしろかった。2回観た。
だが映画作品として、また、原作ありの映画化作品として
どうなのかについて、確定的なことが言えない。というのも
原作小説『シャイニング』『ドクター・スリープ』を読まないで、
映画『シャイニング』『ドクター・スリープ』を観た。
2本観てみた時、わたしは、
小説を読まないことには、実のところ原作者が
このシリーズで何を言いたかったのかが、
ちゃんとわからないのではないか、と思うに至った。
原作に込められたメッセージを、映画がいかに継承し、
どんな形で伝えているのか、あるいは伝えていないのか、
自分で理解したければ、原作を読む必要があると感じた。
宿題を与えられたと思う。
追って、原作を読むつもりだ。
『ドクター・スリープ』が、語るに値しない映画だったら、
ここまでする気にはならなかったと思う。
おもしろかったからこそ、もうちょっと考えてみたくなった。




【わたし的最優秀作品 ドラマ・コメディ系】

ジョーカー
Joker
トッド・フィリップス監督
2019年、米

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※レビューブログは物語の核心に触れているので
 映画を観てからお越しください。
「好き♪」という感じの映画ではないと思うのだが、
一種の中毒症状を呈して、
ひまさえあれば映画館に足を運び、
結局15~20回くらいは観た。
2019年の傑作映画を語る場において
あまりにもベタかもしれないが
やっぱり、外すことはできない。
忘れられない映画になった。
未見の方も、DVDなどでぜひ鑑賞していただきたい。

ところでこのジャンルではどうしてももう1本 
最優秀作品賞をあげたい映画がある。
旧作なのだが・・・

婚約者の友人
Frantz
フランソワ・オゾン監督
2016年、フランス・ドイツ合作

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U-NEXTで観た。
2019年に観た旧作としては
文句なしに、これが最高傑作。
ぜひみなさんに観ていただきたい。
セリフや表情や動作のひとつひとつに注目して、
じっくりと、丁寧に観て欲しい。
重大な秘密が「もうひとつ」隠れているのがわかるはず。
終盤の、別れの接吻のシーンが、本当にきれいだった。
どんな映画でもこんなに美しいものは観たことがなかった、
と思うような。




【わたし的最優秀作品 ミュージカル・音楽系】

ONCE ダブリンの街角で
Once
ジョン・カーニー監督
2007年、アイルランド

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※レビューブログは物語の核心に触れているので
 映画を観てからお越しください。
音楽映画のジャンルでは、
ロケットマン』や『イエスタデイ』など
新作で、傑作がいろいろあったのだが、
迷った末に、『ONCE』を選んだ。
鑑賞して数ヶ月経った今も
強い印象が胸に刻まれている。
ビジュアル的には、てんで地味だ。
ドレスを着たキレイな女優さんなんかは出てこないし、
華やかなダンスも、アクションもない。
だが、心の深い所をいつまでもふんわり温めてくれる
素晴らしい映画だ。
音楽が、物語に自然になじんでいたうえに、
登場人物たちの心を、雄弁に語っていた。



【わたし的最優秀作品 ドキュメンタリー】

キューブリックに愛された男
S Is for Stanley
アレックス・インファセッリ監督
2017年、イタリア

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この映画については、近々改めて書く予定。
スタンリー・キューブリック監督の
運転手兼パーソナルアシスタントを30年間も務めた
エミリオ・ダレッサンドロ氏に取材した作品。
トニー・ジエラ監督による
キューブリックに魅せられた男』という映画と、
2本セットのような形で発表された。
ちなみに『魅せられた男』の方は、
キューブリックの製作を全方位的に支えた
レオン・ヴィタリに関するドキュメンタリーだ。
映画が好きな方には、2本併せて鑑賞されたいことは
言うまでもないのだが、わたしとしては
『愛された男』がもう、本当に大好き。
エミリオ・ダレッサンドロ氏の、魅力的なこと!
こんな素敵な人と出会ったら、
誰だってそりゃあ放っておかないだろうな。
キューブリックがロックオンしたのも納得だ。




【わたし的最優秀作品 長編アニメーション】

すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ
まんきゅう監督
2019年、日本

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※レビューブログは物語の核心に触れているので
 映画を観てからお越しください。
飽きさせず魅せる手際、
グラフィックの美しさや新しさ・・・
そういう所で勝負をしたら、
ライオン・キング』や、
シュガー・ラッシュ:オンライン』に、
遠く遠く及ばない。
心の汚れた大人の視点で観れば、
ツッコミ所は数知れない脚本であり、

言いたいことは山ほどある。
だが、それでもわたしは『すみっコぐらし』を
ここで取り上げて特筆したい。
わたしたちが「願う」のはそもそもなぜか。
眼に見えないもの、意味があるかどうか確証がないことに、
期待せずにいられないのはどうしてか。
それを考えることを通して
「わたしたちはこれからどうあるべきか」、
ひとつの答えを提示しようとしていた。
ライオン・キング』を観た時に思ったことなのだが、
わたしたちはなにごとも、
「眼に見えないと」安心できない。
見える範囲、わかる範囲のことだけで
生きようとし過ぎている、
そんな気がする。
だが、『すみっコぐらし』は、
そこをどうにかふんばっていた。
形なきものは、なきものとして最後まで扱いつつも
確かな希望の光を、描いて見せてくれていた。
その点を、歓迎したい。好意を持って評価したい。

・・・

ジャンルの垣根を越えて考えた時、
旧年、わたしに最も強烈な
映画体験をもたらしてくれたのは
やはり『ジョーカー』だ。
この映画は、これから生きていくうえでの、
ある意味での「お守り」になったように思う。
未見の方はぜひ。
そろそろDVDがレンタルショップに並ぶ頃じゃないかな。