BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『タイタンの逆襲』-201011。

原題:Wrath of the Titans
ジョナサン・リーベスマン 監督
2012年、米・英合作

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www.youtube.comい

一応観てみた。
驚くほどつまらなかった。

前作の時はどうだったか覚えていないのだが、
今回は音楽のダサさがかなり気になった。

どこにもまったく感情を寄せることができない物語で弱った。
キャラクターの心の動きとか関係とかをもう少しくっきりと
連続的に描いていってくれると、感情を乗せやすいのだが。
ハデスがどうしてゼウスを許したのか理解できなかった。
そうなってもおかしくないだけの理由があったかもしれないが
わかるように描写されていなかったので全然わからなかった。

ペルセウスの息子ヘレイオスが作った木剣が、
重要な伏線になってくるのかと思っていた。
確かに最初だけでなくだいぶ後になって、
もう一度あの木剣が出てきた。だが、・・・
そもそもわたしが予測していたのは、
「木剣が、父子のきずなの力で
 三種の神器の最後のひとつに姿を変える!」
・・・とかそういう、ドラマチックな「伏線」回収だった。
実際の伝承がどうなっているかは別にして、
神器のひとつが、戦いのさなか失われてしまい、
人類滅亡の危機! となった時に、
あの木剣が奇跡の力で神器に変身したり・・・
そんな、明解で劇的な展開を想像していた。
この映画の雰囲気にピッタリの展開だと思う。
でも、実際には、そんな扱いではなかった。
木剣は、軍神アレスがヘレイオスを探し出すための
「手がかり」に過ぎなかった。
伏線と言ってもその程度の、弱い回収しかしないなら、
あの木剣なんかは登場させなくても良かった気がする。
「決して息子に剣を持たせない」(危険な目にあわせない)
という、「亡き妻との約束」にからめたかったのならば、
なにもヘレイオスに木剣なんか作らせなくても、
彼が「兵隊に興味を持ち始めている」ことを
表現する方法は、他にいくらでもあったと思う。

とは言え、この映画の全部が悪かったと思うわけじゃない。
例えば、
スーパー・パワーでのバトルがあまりなく、
神も人間もだいたい肉弾戦でやりあう点はそれなりに良い。
なにしろCGがショボいので、
あんまり派手なマジック・パワー的なものを使われると
ショボさが余計に目立って、きっとしらけていたと思う。
でも、ハデスとゼウスは老いてなお、
手をかざすだけで恐ろしいファイヤービームとかを出せるのに
軍神アレスはプロレスみたいな技でペルセウスと戦っていた。
い、いくさがみなのに・・・
力のバランスがおかしい気がしてそこは少し違和感を覚えた。

前作のクラーケン退治から、多分10年以上が経過した設定で、
その間ペルセウスは戦いから遠ざかっていたわけなので
力が少し衰えていて、パンチなんかに勢いがないのが
時の流れを感じさせる演出となっていて、良かった。

アンドロメダ女王を演じた役者さんが前作と違う人だった。
髪の毛の色からまったく違うというのは思い切ったな笑
前作の方は、おしとやかそうで、いかにもお姫様という感じ。
今回のアンドロメダロザムンド・パイク)の方は、
勇ましく、キビキビしていて、カッコ良かった。

ペルセウスが、息子ヘレイオスに見送られて、
戦いに出立する所は良かった。
前作同様、有翼の黒馬ペガサスが迎えに来てくれる。
ペルセウスは、息子に少しでも良い所を見せたかったのか、
「もっとまっすぐ、カッコ良く飛べ」
と、飛ぶペガサスにリクエストしていて、笑った。
でも、前作の時から、ペガサスはペルセウスを、
じゃっかんナメている。
目的地に降りたってから、
「前よりも飛び方がヘタだったぞ」と文句を言われ
片翼をバサっ! と、はためかせて
ペルセウスの背中をどついたのが、
「フン、やかましいわ」とでも言いたげで、
コミカルでかわいらしかった。