BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『ロパートキナ 孤高の白鳥』-201109。

原題:Ulyana Lopatkina: A Russian Star
マレーネ・イヨネスコ 監督
2015年、フランス

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www.youtube.com

『ミッドナイトスワン』という映画にめちゃくちゃ影響を受けて
このところ、バレエに関するドキュメンタリー映画を観たり
YouTubeでバレエの有名なプログラムの動画を観たりしている。
今まで観たなかでは『ライモンダ』とか好き。
いろんなダンサーがそれぞれの解釈でパフォーマンスするので
同じライモンダでもバージョンがいろいろあっておもしろい。

この作品は、ロシアのマリインスキー・バレエ団プリンシパル
ウリヤーナ・ロパートキナについてのドキュメンタリーだった。
Wikiで確認した所によると、ケガで2016年から1年ほど
踊らなかったそうで、そのまま引退という形になったらしい)

これまでに、パリ・オペラ座バレエ団のドキュメンタリーを2本と
ロシアのバレエダンサーのドキュメンタリーを3本観ているのだが
(今の所どれも、中心的に取り上げられているのは女性ダンサー)
お国柄なのか、ダンサーの人柄・性格とかによるのかわからないが、
フランスとロシアとでは、ダンサーの踊りへの取り組み方も、
踊りそのもののスタイルも、かなり違うみたいだなと思った。
一言でいうと、
「ダンサーの踊りへの取り組み方」ということでは、
フランスは合理的で「自分のために踊る」感じ。
ロシアは求道的で「芸術と真理と国のために踊る」感じ。
「踊りそのもののスタイル」ということでいうと、
フランスは割と生々しく見える。人間の体って、やる人がやれば
こんなにいろんな動き方をするのか! という驚きがある。
ロシアは軽くてやわらかくて、どこまでも様式美的で、
重力がはたらいてないんじゃないかと思うような動きに見える。

といってもしょせんわたしは素人で、
全然それらしいことは言えそうにないのだが・・・

このロパートキナという人なんかをみていると
特にそういうことを思った。

でもロパートキナがとりわけ思慮深い性格で
バレエによって哲学することを好む人なのかも。
あるいは、ロパートキナが特別じょうずなために、
軽くてやわらかくて、様式美の極致みたいなものを
誰よりも良く見せてくれる、というだけのことかも。
だからフランスとかロシアとかは関係なくて、
ロパートキナはあらゆるバレエダンサーのなかでも
一線を画している、というだけの話かもしれない。
そこはわからない。
もうちょっとたくさん、バレエの動画や映画を
いっぱい観れば今より少しはわかるのかもしれない。