BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

聖なる犯罪者-210117。

聖なる犯罪者 という映画を観た。

ポーランドの映画だった。

 

結構きた。映画情報サイトとかの紹介文を読んだかぎりではこういう感じの映画だとはまったく想像してなかったので、

観た時は正直なところ衝撃を受けた。全然、想像と違ってた。別格だった。

情報サイトの紹介文を書いた人は、本当にちゃんとこの映画を観て書いたのか?

 

ある青年が、少年院に入っているあいだに尊敬できる神父さまと出会ったことで信仰にめざめ、聖職者に憧れるようになるが、犯罪歴があるため聖職につくことはできないと諭される。やがて彼は仮退院の日を迎え、少年院のあっせんをうけて、遠い町で働くことになった。そこでついたちょっとしたウソが発端となり、青年はその町のちいさな教会の、神父さまを演じるはめになる。だが青年は、聖職者に憧れているだけあって、本当になかなかうまく「神父さま」を演じおおせ、教区の人びとの信頼を勝ち得ていく。そんななか、青年は、この町のとある過去・・・数年前にある悲惨な事故が発生し、それがいまだに人びとの心の中で尾を引いていること・・・を知る。彼は事情を知るにつれ正義感に駆られ、町のために動き出そうとするのだが。

といった感じのストーリーだった。

 

昨日まで少年院暮らしだった男が神父さまになりすますなんて、そんなんありかい、と思ったけど、実際のところポーランドでは聖職者なりすましの事件がめずらしくないのだそうで、この映画も一部実話を下敷きにしているという。

カソリックが熱心に信仰されている地域がたくさんあり映画のなかで描かれていたように地元の教会に割とみんな結構ちゃんと通うらしい。

聖職にある人の身分を殊更にただすことは憚られる、という事情もあるし、犯罪歴とかのせいで周囲から人として大事に扱ってもらえないなどの困難な事情を抱えた人の、いわば妄想的な憧憬の対象として「聖職者」ってのはかなりあるらしい。聖職者はみんなに敬ってもらえるし特別な感じがするからなんだろう。

 

映画の主人公の青年も、神父というのに憧れる様子は、まさにそういう感じだった。それに、言ってみれば彼本人がもともとすごくピュアで感じやすい性格なのがわかった。また、年若いこともあり短慮で、周りへの影響とかあまり考えずに突っ走っていろいろなことをやってしまうせいで、あとでそのしっぺ返しがきたりする。

一筋縄で行かないというか、

単純にこの青年が良い人だとかそうでないとか、正しいことをしたとか間違っていたとか、そういうふうには言えない感じに描かれていた。それは過去を共有しかなしみを引きずって生きる、あのちいさな教区の人びとも同じだった。

昨日と同じ景色なのに、あることを知ったら今日はまったく違った景色に見える、というようなのが、すごく厳しく迫ってきた。

 

細部でちょっとよくわかんないところもあった。

来週もう一回観に行けたらいきたい。