BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『オーレリ・デュポン 輝ける一瞬に』-201108。

原題:Aurelie Dupont danse l'espace d'un instant
セドリック・クラピッシュ 監督
2010年、フランス

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www.youtube.com

パリ・オペラ座バレエ団の元エトワール オーレリ・デュポンに
密着したドキュメンタリーだった。

本番が近づいてナーバスになるのか
足が痛いとかどこがわからないとかまだ完璧じゃないとか
パートナーのリフトが安定しないことが怖いと言って
「悪いけど(このままじゃ)できないわ」とか
弱音やグチっぽいことをたらたらとこぼす姿も
克明にとらえられていた。
でもなんか感じが悪くないし、
人にむやみに八つ当たりをしたりしないのが偉いなと思った。
周りもオーレリのこの程度のなきごとには慣れているのか
オーレリが何度も何度も似たようなグチをこぼしても
「衣装を着けてメイクをしてお客の前に立ったら
 ちゃんとできるから大丈夫だよ」
「本番ではアドレナリンが出るから痛くないよ」
などと辛抱強く応じて
場の雰囲気がちっとも悪くならないのがすごかった。

『ライモンダ』の踊りを終えた所の横顔が
あまりにもきれいで見とれてしまった。

妊娠・出産を経て復帰を果たすも
容姿も踊りも稽古の内容も
すこしずつすこしずつ精彩を欠いていくのが
素人目にもわかった。
でもそれもダンサーの現実なんだと思った。
それが悪いということではなくごく自然なことで、
自分がいた場所は次の世代に明け渡し、
学んだことを後輩たちに伝えることが
自分の新しい役目になっていく、
そういうことなのだろう。