BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『ノア 約束の舟』-201008。

原題::Noah
ダーレン・アロノフスキー 監督・製作
ダーレン・アロノフスキー、アリ・ハンデル 共同脚本
2014年、米

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全体的な、何かのバランスとか、いろいろとギリギリ・・・
というか多分アウトだろうな、という感じがかなりした。
観るのに相当な忍耐を要したというのが正直なところだった。
でも(ギリギリだが)なんとか途中で観るのをやめずに
最後まで観ることはできた。
どうも、見捨てきれなかった。
完全になにもかもダメな映画とまでは言えないと思った。

宗教者の視点からこの映画のことを言うことはできない。

「この映画を作ることをあきらめなかった」
製作者たちのその姿勢を、
わたしとしてはかなり評価したい。
ものすごく難しいことへの挑戦だったと思うので。

これはこれで受け入れても良いんじゃないかなと。
旧約聖書に書かれてないけど、
 確かに良く考えると『これってどうだったのかな』
 とか素朴に気になる部分」
つまり行間の部分を
想像力をはばたかせることによって
それなりに埋めてつじつまを合わせてきていた。
まあそこが、かなりのチカラワザだったために、
この脚本の品質的な意味での「ギリギリ感」に
つながってしまっていたと思うのだが・・・
でも想像力は人間にとって大事だと思うので。

ノアがセムとイラの子をどうするかという所とか
やっぱりそれなりに緊張感があった。

ノアは
「いったん人類をこの地球上から滅ぼします」
という神の意思に従って行動を起こした。
箱舟を作り、そこに人間以外の動物を全部乗せて、
神の起こす、世界浄化の大洪水に備えた。
でも、ノアは、箱舟に自分と自分の家族も乗せた。
いったん人類をこの地球上から滅ぼします、という
神の意思を実行したのがこの箱舟計画だったならば、
ノアたちは箱舟に乗るべきじゃなかったんじゃないか
(ノアとその家族も、舟の外の人たちと
 運命をともにするべきだったんじゃないか)
というのは 
疑問として普通に生まれてきておかしくないと思う。
この映画では、そこに一応 
ノアの口からそれなりの答えが提供されていた。
「あ、なるほど、そういう風にするつもりなのね」
と、思うことはできた。
そして、「それだからこそ」という形で、ノアは
相当キツイ試練と言うか、究極の選択というか
・・・厳しい局面に立たされていた。
そのあたりはかなり緊張感があった。
うわー、これはノア、相当キツイよな、
どうするつもりなんだろうな・・・と
結構ハラハラした。

イヤー、けど、
大洪水で死んだ人たちのなきがらが、
打ち上げられて打ち上げられて、
何年かの間はそりゃあ大変だったんじゃないかと
想像してしまう。
しばらくの間は、海のものを食べることは
到底できなかったんじゃないかと思う。

ラッセル・クロウとかエマ・ワトソンとか
良い演技をしていたと思う。
おかげで、かなりいろいろギリギリな
ストーリーの中でも、
キャラクターたちの気持ちが良く伝わった。
ノアの心の苦しみとか。
ハムの気持ちもかなりわたしは理解できた。