BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『エクソダス:神と王』-201007。

原題:Exodus: Gods and Kings
リドリー・スコット 監督
2014年、米・英合作

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昨日観た『タイタンの戦い』は、続編があるらしかったので
観ようかなと思い、先にあらすじなどを少し調べてみたら
なんかあんまりおもしろい内容じゃなさそうな感じだった。
それでも、せっかくなので近いうち観ようとは思うが、
今は観たい気持ちじゃなくなったので、
別の映画を探して観てみた。
神話とか聖書とか神とかみたいなのが観たい気分のようだ。

エクソダス』は
旧約聖書の『出エジプト記』に基づいて
描かれるスペクタクルアクションだった。
十戒』の現代版みたいな感じ。

やっぱリドリー・スコット監督ってスゴイな。
ストーリーがおもしろいとかそういうこと以前に
最初から最後まで安心してゆったりと観ていられた。
うまく言えないのだが
「がっかりさせられるようなことは
 絶対にないだろう」
と、信じることができた。
余裕を感じる。
画面いっぱい使って繰り広げられる映像が壮大だった。
バトルシーンも迫力と疾走感がたっぷりで
観ていてわくわくした。

エクソダス』は、
「神の御業」を「神の御業である」と明言することを
明らかに避けていた。
たとえば、海が割れたりするあの有名なシーンも。
自然現象に見えなくもない的な(むしろ、ややそっち寄り)
解釈にもとづいて描写していた。
それが逃げ腰だとかいろいろ意見もあるかもしれない。
その意見はわかるような気もする。でも、
2017年の、この映画で、もしああいうできごとの数々を
「神の御業です!」とおもいっきりまっすぐ描写されたら、
それはそれでわたしは鼻白んだのではないかなと思う。
というか2時間半という限られた時間の中で、
「これが神の御業です」ということを
描き切るのはとても難しいことだと思う。
信徒じゃないけど一般常識として
聖書の有名な所くらいはある程度知っている、
そんな人がこの映画を観ても、
そこそこ違和感なく最後まで観ようと思うくらいに、
あの手この手で世界観を「説得」しながら、
話を進めていかなくちゃいけないのだろうから。
とてつもなく難しいことではないだろうか。
だから2017年の出エジプト記の映画化、ということであれば、
わたしはこの映画はこれで良かったんじゃないかな、
と受け取った。
神話や伝説や宗教について描く映画は
多分その時代、その時の感覚によって、
まったく違う風に、描かれていくのだろうと思う。

神を「子ども」の姿で描くという手法も
アリだったんじゃないかなと わたしは感じた。

神官と「識者」が処罰されるシーンは笑った。

ラメセス2世(ジョエル・エドガートン)が良かった。
最初は、あのラメセス2世をこんな情けないキャラに
するなんて良いのかな、とか思ったが、
観ていくうちに、このラメセス2世は、
人間的でとてもおもしろいキャラクターだな~と
感じるようになり、結構好きになっていった。
「過越」の夜を経て、ラメセスとモーゼが会うシーンは
この映画の中で一番好きだった。
モーゼが
ヘブライ人の子どもたちは無事だったんだ」
と告げて、ラメセスの左腕をつかんだ時、
ラメセスは、体を小さく震わせて、わずかに後ずさった。
本能的なレベルでモーゼにおびえ、激しく忌避している
ことが良く伝わるシーンだった。