BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『ドラキュラZERO』-200929。

原題:Dracula Untold
ゲイリー・ショア監督
2014年、米・英・日

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対象年齢がかなり低く設定されていたみたいで
(多分ティーンくらいを対象としていた)
観ててもまったくおもしろくなかった。
世界観の構築が、素人でもハッキリわかるくらい
ペラッペラで、考証がザツそのもので、お粗末なのに、
役者さんたちがまじめくさった顔で演じてるもんだから
しまいになんだか笑えてきてしまった。
映像も音楽の使い方もストーリーも
目新しさとか工夫はいっさい感じられなかった。
メチャクチャなことやってた映画、と言えば、
『300』(スリーハンドレッド)とかも
相当クレイジーな映画ではあったのだが
あれは世界観をガッチガチに作り込んでいて
観ていてテンションが上がるんだよな~。
でもこの映画は『300』とは比較にならない。

でも気に入った所が全然ない、というわけではなかった。

主役のルーク・エヴァンスはかっこよかった。
彼の妻役の女優さんは個性的な美貌だった。
一人息子の王子役の男の子も、まだ幼いのに
気持ちのこもった良い演技をしていた。

ヴラドの苦悩や心のうつりかわりは丁寧に表現されていた。
自分が若い頃に戦争で苦労したので、国民には同じ思いを
させまいと思って、文字通り身を粉にして頑張っているのに
その民衆から化け物と恐れられてあるひどい仕打ちを受ける。
その時、
「これがお前たちの君主への礼なのか、
 お前たちが生きていられるのは俺のおかげなんだぞ」
的なことを つい口走ってしまうのが良かった。
彼の立場を思えばキレて当然だと思って、同情した。

終盤の展開はめちゃくちゃすぎて観られたもんじゃなかったが、
「ヴァンパイアになっても人間だった時の理性や人柄を保てるのは
 固い意志と鋼の精神力を持ったごくごく一部の人間だけである」
ということが良くわかる場面となっていた。
ヴラドがその「ごくごく一部の人間である」ことが
際立って見えて、悪くなかった気がする。