BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想『ネクスト・ゴール!世界最弱のサッカー代表チーム0対31からの挑戦』-240309。

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ネクスト・ゴール・ウィンズ』と同じ題材の先発ドキュメンタリー映画があることを知りU-NEXTで配信されているのを見つけてさっそく観た。

 

フィクションよりもドキュメンタリーのほうがドラマチックだった笑

 

選手たちが 若いのにどこかみんなどっしりと落ち着いていて、何よりすごく優しくピュアなのかなという感じが伝わってきた。普段はのんびり静かに日々の暮らしを送っているのだが、いざというときの同胞たちとの結束力と爆発力がすばらしいのがわかった。どんなに負けてもへこたれず、自分や周りをへんに責めることもなく、泰然としている。負けても俺たちは強いよ、弱くても俺たちは最高さ、結果は気にしないよ、とみんな言う。31対0で負けた時のゴールキーパーを、若い選手たちはいまも深くリスペクトしており、彼が代表に復帰すると、大歓迎していた。たぶんこの感じが、世界トップクラスの戦いを知る海外のコーチなんかには、とても理解できないんだと思う。31点とられて負けたのに、1点も入れられたことがないのに、弱くても俺たちは最高なのさ なんていわれたら、外部から雇われてきたような監督は、そりゃイライラするだろう。勝てなくて悔しくないのか、恥ずかしくないのか、負け犬になりたいのか、というような論法では、サモアの選手の心を動かすことはできない。怠けてるわけじゃない。頑張ってないわけじゃないから。ただただ、それがこの島の人たちの心、この人たちの魂なのだ。そこがわからないと、勝利のためにサモアの選手を率いることも、できない・・・

 

トーマス・ロンゲン監督は、フィクションよりも本物の方が強烈だった。名前からしてヨーロッパ人だなって感じはしてたけどオランダの人らしい。この映画が撮られたとき55歳だけど髪の毛がホワイトゴールドでプライベートでも苦労してきたせいもあるのかもっといってるようにみえるが40歳でもこんな元気な人いないよってくらいバイタリティにあふれ闊達で、おおきな目がキラッキラしてて、中身はすっごく頑固で、ちょっと古いタイプの、ザ・鬼監督。若い選手が引くほどドギツイ下ネタジョークを飛ばしまくる。短気で怒りっぽいけどいつまでも引きずらない瞬間湯沸かし器キャラ。でも裏表がなく、陰口はいわず、悪態は面と向かって本人に吐き、情にもろくて、お父さんみたいにあったかい。すごく好きになった。マイケル・ファスベンダーは見た目もキャラクターもよく本人に寄せて見事にやってたとおもう。

 

ネクスト・ゴール・ウィンズの意味は、草サッカーでゲームが長引いた時などに、それまでの点差などはあまり関係なく「次に1点入れた方が勝ちってことにして、終わりにしようよ」というルールが投げ込まれることがあるそうで、その「次のゴールが勝ち next goal wins」または単に「next goal!」らしい。