BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『病院坂の首縊りの家』-201020。

市川崑監督 監督
日高真也市川崑 共同脚本
横溝正史 原作
1979年、日本

f:id:york8188:20201021012044j:plain

www.youtube.com

ポスターといい予告編といい
時代を感じますなあ~。
良いですなあ。

中学校の文化祭のポスターみたいだよね
美術部の生徒さんが描きましたみたいな。

2006年に市川崑監督自身の手でリメイクされた
犬神家の一族』を除けば
この『病院坂の首縊りの家』が
市川崑版「金田一耕助シリーズ」の
最終作だそうだ。

なんか、シリーズで一番、
脚本も演出もメチャクチャだったけど、
シリーズで一番、パワフルであり、
かつ一番、おぞましく、
また、一番、悲しい物語だった。

桜田淳子の演技は、
ちょっとオーバーだったかなとは思うが、
感情ゆたかにやっていて良かった。

また、草刈正雄が、粗野だけど心のまっすぐな
感じの良い男をとても自然に演じていて、
脇役だけど強く印象に残った。
若い頃の草刈正雄は、今の彼よりも、
米国軍人だったというお父さんの血を継いでいることが
顔つきからハッキリわかるなあ。
瞳の色とかちょっと明るい気もするし、
なんか・・・ハーフなんだなあって明らかにわかる。
たしか2008年のNHK大河ドラマ篤姫』で
阿部正弘を演じていたのは草刈正雄だったはずだ。
もし彼が若い頃同様に「ハーフっぽかった」ら、
ちょんまげ裃姿の阿部正弘に違和感をおぼえただろう。
でも『篤姫』観た時は、阿部正弘を見て、
「なんか外人さんみたいだな」とか一切思わなかった。
やっぱり年齢を重ねて 若い頃とは顔つきが
変わったんじゃないかなーと思う。

冬子を演じた萩尾みどりがとてもきれいだった。
前作の『女王蜂』にも出てたけど。
すごく素敵な人だなと思う。

それにしても
弥生と冬子と由香利と小雪ってのは
これはいったい・・・、
名前を付けるとすると、なんていう関係になるんだろう???
原作の人物相関も、家系図にすると
スペインハプスブルク家か! と思うくらい
とんでもないことになってたけど、
映画ではその血縁関係とかが改変されていて、
よりいっそうおぞましい感じになっていたぞ。

複雑すぎる・・・

なんにも悪くないのに
どうして彼女たちが、こんな目に
遭わなくちゃならなかったのか??? と
つくづく頭をかかえてしまった。
なんて残酷なんだろう。
この女性たちを苦しめた者どもは、
罪とか良識とか倫理観とか、
そういうものを持ち合わせてなかったのだろうか???

最終局面の、人力車に乗った弥生のシーンは
きれいだった。
あのシーンだけでも、この映画の存在価値は
じゅうぶんにあると思う。