BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『ファーストラヴ』-210216。

堤幸彦 監督
浅野妙子 脚本
原作:島本理生『ファーストラヴ』
2021年、日本

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映画としては凡作だった。
スタイルとしても、ミステリーという感じでも
サスペンスという感じでもなかった。
黙って観ていれば登場人物たちが勝手に
「自分はこうした」「あの時こう言った」「なぜならこうだったからだ」
と、何もかも進んで説明してくれるし、考える必要も何もなかった。
エピローグの部分なんかは完全に蛇足だった。
今どき、やっすい2時間ドラマでももうちょっとマシなものを
作ろうとするんじゃないかと思った。

まだ原作小説を読んでないのだが、
多分、原作は、そもそも書かれた目的が、
非常に個人的な所にあるのではないかと想像している。
小説と映画とでは表現のしかたとか表現できることとかが全然違う。
そういうところは気を付けて、よくわきまえた人が取り組まないと、
うまくいかないのではないか。

ただ、役者さんたちは素晴らしかった。
特に、北川景子さんが良かった。
吐き出そうにも吐き出せない、煮え湯のような激情を
ポンプのように身もだえしながら表現していくあの姿を観た時、
ああ、この映画自体は凡作でも、わたしはこの映画を観たことを
けっして悔やむまい、とはっきり思った。