BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『暗くなるまで待って』-120529。

原題:Wait Until Dark 
テレンス・ヤング監督
1967年、米

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空港。男が、見知らぬ女性から人形を手渡される。
わけのわからないままその人形を持って帰宅。
じつはこの人形の胴体にヘロインが縫い込まれている。
男は帰宅後、妻を残して再び外出する。
妻が留守番中、「警察」や「夫の旧友」を名乗る者が
何度もおとずれては、彼女を激しく困惑させる。
彼女は目が不自由なのだ。
この訪問者たちは悪いやつで、ヘロイン入りの人形が
この家にあることを知っており、何とか奪い返す魂胆だ。
警察とか夫の友人とか名乗るのは嘘で、
妻が盲目なのをいいことに、何役も、芝居をうっている。

盲目のヒロインが、異常事態に恐怖しつつも、
たったひとりで危機に立ち向かう、という物語だ。

なんだろう、この、今のどんな映画とも異なるかんじ。
じっくり細かいところまで、観て楽しめる。
お金があまり かかってないとおもうけど
内容の豪華さ、深さに大満足。

オードリー・ヘプバーン、かわいい!!

悪者の親玉役も良かった。
この男以外の悪者は、スケールとしてはコモノだ。
ものの考え方や感じ方が、わりと一般的であり、
悪さをしなくてはならない悪者なりの事情が、
あるということくらいは、想像できなくもない。
でも この親玉だけは、違う。
事情あって、悪さをせざるをえないのではなく、
悪いことをするのが、ただ、好きなのだ。
それ以上の理由などない。
脳みそがもう生まれつき腐っているかんじだ。
こういうマッドな悪者がひとりいると、
サスペンスはおもしろくなる。

舞台は2時間をとおしてほぼ1箇所、
ヒロインが夫の帰りを待つ「家の中」だけ。
慣れ親しんだ我が家で
目が見えないことを逆手にとり
犯罪者たちから身を守ろうと奮戦する。

うーん 傑作。

もし機会があったらみなさまも
DVDなどでご覧になっていただきたい。