BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『センチュリー・オブ・ザ・ドラゴン』-120527。

 

原題:CENTURY OF THE DRAGON 
クラレンス・フォク監督
1999年、香港
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www.youtube.com


この映画のビデオテープの紹介文のところに
「香港ルノワールの傑作」
と、きっちり書かれていた。
それをいうなら「ノワール」だ。
ルノワールは・・・
それは印象派の画家の名前だろう。


まあまあおもしろかった。

90年代後半か2000年に
なったかならないかくらいのころの
作品のようだ。

ここにきてようやく、ようやく・・
「なにをやっているのか
物語がちゃんと理解できる香港映画」
に出会うことができた。

じゅうぶん楽しかった。

香港の警察の、潜入捜査官が物語の主人公だ。
彼は潜入捜査で、有力マフィアの構成員となり、
長年かけて、ボスの信用を勝ち取った。
当初は、ボスに接近することで情報と証拠を集め、
マフィアを一斉検挙するという計画だったわけなのだが、
ボスは数年前に裏社会から足を洗っており、
いまや実業家として成功していた。
主人公は、長年ボスと行動をともにするうちに、
人格者の彼を本当に尊敬するようになってきていた。
まして今のボスは、もう犯罪にかかわっていないのだ。
それなのに、検挙のために彼を利用してしまっている。
そんな苦しい現実と葛藤する主人公は、
本来の自分の居場所であるはずの警察の捜査方針を、
疑問視するようになっていた。
そんな折、ボスの身の回りで、不穏な事件が頻発する。
友好的な関係だった別の組織のトップが何者かに襲撃され、
ボスがその首謀者として疑われるはめになる。
マフィア稼業をすっぱりやめたつもりでも、
まわりがボスにそうさせてくれないのだった。
やがて決定的なアクシデントがおこり、激怒するボス。
彼は、静かな生活を脅かす黒幕どもへの復讐に身を投じていく。
主人公は、警官としても、ボスを敬愛する一個人としても、
この期に及んでボスに罪を犯させたくはない。
だが、はやく一斉検挙してしまいたくて焦っている
アホな警察上層部にふりまわされることになり・・・

というようなストーリー。
おお・・
やればできるじゃないか。香港映画・・
わかるぞ。十分理解できる。

潜入捜査官と、彼が取り入るボスとでは、
ボス(アンディ・ラウ)のほうが、
役柄として圧倒的に個性が際立ち、印象深かった。
著名な役者さんだけあってソフトのジャケットにも
アンディ・ラウのセンチュリー・オブ・ザ・ドラゴン』
と記載されている。
潜入捜査官のほうもとてもよかったけど。
でも、二人とも、ちょっとシュッとし過ぎだよな~。
ふたりとも、もうちょっと地べたをはいずりまわって
キレたり叫んだり、あわてふためいたりと 
激しい演技をしてもよかったんじゃないか。
けど、かっこよかったので、そこはまあいい。

それから、ヒロインや女性のサブキャラが
一部あまり魅力的に思えなかったのも残念。
ボスの奥さんは賢くて度胸があるすてきな「姐さん」だったのだが
潜入捜査官の恋人のほうはチャラくって、おつむも弱そうで、
「潜入捜査官くんは、なんでこんな人がいいんだろう」と正直思った。
男としての格が上がってみえる女性をつけるべきじゃなかろうか。
なんたって主人公なんだから。

そんなようなことは、すこしは気になったが
総じて力作。おもしろかった。

こういうのもいいなあ
武侠もの、アクションものじゃない香港映画も、
これからはちゃんと観るようにしよう。