BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『チョコレート・ソルジャー』-200402。

f:id:york8188:20200403224408j:plain

www.youtube.com

原題:จีจ้า ดื้อ สวย ดุ(読めない・・・)
英題:RagingPhoenix
ラーチェン・リムタラクーン監督
2009年、タイ

チョコレート・ファイター』の
ジージャー・ヤーニンちゃんの主演第2作。
公開年は1年しか違わないけどジージャーちゃんが
ものすごく大人っぽくなり垢ぬけた感じがする。
チョコレート・ファイター』は
製作に2年も要したそうなので
(撮影自体は終わっても編集作業とかに
時間がかかったのかも)
その間にすっごく成長したのかもしれない。
というかそもそもチョコレート・ファイターの時に
ジージャーちゃんはいったい何歳だったんだろう・・・。
幼い感じに見えたが20代だったっぽいんだよな・・・ 謎。

チョコレート・ファイター』は素晴らしかったけど、
この映画はダメだなあ・・・
これは全然おもしろくない。
映像が華やかな感じだし、音楽とかもおしゃれだし、
いろいろ、前作よりもずっと見栄えがする映画ではあるが
なんというか 中身がうすっぺらい。

おそらく、作り手の志が低いのだと思った。
チョコレート・ファイター』の時とは監督も違うし
設定などを引き継いでいるわけでもなく、
ただ『チョコレート・ファイター』がヒットしたから
ジージャーちゃんを使って 
適当なオシャレアクション映画を作っただけなんだろう。

そもそも ヒロインが闘う理由が弱いし、
オリジナル体術「メイライユット」を
学ぼうとする動機も弱い。
要するにすべては恋のためなのだろうが、
それだけ彼のことが好きなんだね・・・、と
観る側に思わせるだけの説得力がまったくない。

その他、いちいち取り上げて指摘する気にもなれないほど
ストーリーの運びのあらゆる部分に穴があり、
納得感を持って観ることができない。

物語のなかでヒロインが学ぶ「メイライユット」は
ムエタイとヒップホップと「酔拳」を融合させた
オリジナル体術、という設定だ。
メイライユットを紹介する役割を果たした
序盤の軽いバトルシーンでは
確かにちょっと「酔拳」っぽい動きや
ヒップホップ音楽に合わせた振り付けを入れながら
アクロバティックに闘う所が観られて、
楽しいマーシャルアーツだな、と思った。
でも、話が先に進むにつれて、
そういう遊びの要素はみるみるなくなっていき、
クライマックスの敵との対決バトルになると、
全然普通にただ闘っているだけだった。
この終盤のバトルもそんなにおもしろいものではなく。
いや、すごいことはすごいんだけど、
ワクワクが足りなかったというのかな。

メイライユットと、
「悪者に誘拐された女性たちを救出する」
という計画との間に、なんの関係があるのか。
もともとメイライユットは会得していて、
そこに偶然、自分と縁の深い女性が誘拐されたので、
救出を計画するようになった、ということなのか、
それとも、女性たちを救い出す必要から
メイライユットという体術を編み出したのか
どんな関係があるのか 全然わからない。
悪者の本拠地に乗り込んでいくにあたって、
ある程度、腕に覚えがある方が良かった、というのは
百歩譲ってまだ「わかる」ということにしても良いが、
それがメイライユットでなければならない、
ということは、まるでなかったと思う。
さっきも述べた通り、悪者たちとの戦いでは、
メイライユット・・・というよりは
「普通に闘っている」だけだったし。

あと、サニムの婚約者に関しては
サニムが結婚式に遅刻さえしなければ 
誘拐されなかったんじゃないかなあ。
まあ、その時無事でも、またスキを見て狙われたかもしれないとは思うが、
それでも少なくとも、あの時誘拐されたのは、
サニムが結婚式に遅刻して、婚約者を悲しませたから、に尽きるだろう。
なぜ遅刻したのか・・・というか、その遅刻さえも悪者が謀ったものだった、くらいの感じで、もうすこしそれらしく
事情があるかのように説明してくれれば
納得できただろうに、
なんの説明もなく、ただ単に本人のマヌケで遅刻した感じだったので
お前が遅刻したのが悪いんだろうが! という
気になってしまい、

全然、同情できなかった。

また、この物語の主役はドゥーであるはずなのに、
ドゥーがこれまでどういう人生を送ってきたかとか
そういうことはほとんど 語られることがないのも問題だろう。
そのくせ、彼女の片想いの相手サニムの
つらい過去の回想シーンとかが
やたらと念入りに語られる、という作りは、理解に苦しむ。
ドゥーは父親を亡くしているみたいだったけど、
それがいつ、どんな事情による死だったのかとか
電話ごしの会話でしか登場しない母親の人物像とか
それから、付き合った男に決まって浮気されるという
男運のなさは、ドゥーのどんな所が男にそうさせるのかとか
ドゥーという人物を知るための説明が 全然足りない。


だが、ジージャーちゃんは、演技がうまいなあと思った。
叫んだり怒ったり笑ったり自分を思いっきり解放して
生き生きと立ち回る彼女を観るのはとても 楽しい。

前作では、ほんの少女という感じの設定だったけど
この映画ではつらい恋に泣くことになる女性の役だった。
あのゼンちゃんがこんなに大人になって・・・と
親戚のおっさんみたいな複雑な気持ちで観てしまった。

ジージャーちゃんは、 
プライベートで結婚したらしいんだけど
昨年か一昨年に、離婚したみたい。
でも、今は、この『チョコレート・ソルジャー』で
サニム役で共演している
カズ・パトリック・タンと交際中のような
話を聞いた。
映画の物語のなかでは両想いになれなかったけど、
プライベートでうまくいっているのは、良かったと思う。

ジージャーちゃんには幸せでいてほしい。
・・・また親戚のおっさんモードが出てしまった・・・