BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『キラー・エリート』-120526。

原題:Killer Elite 
ゲイリー・マッケンドリー監督
2011年、米・豪

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movie.walkerplus.com
まあまあかな。

ヒューマンものというには
人間の内面を描ききっていないし
ハードなアクションを求めて観て、
満足できる内容でもない。
本作を駄作と評する向きがあっても、
おかしいとはおもわない。
でも、
だいたいどんな映画にも、
いいところは、みいだせるものだ。

ざらざらした手触りと
ほこりっぽい戦場の空気感、
男性的な画が本作の魅力。

ジェイスン・ステイサムは、
いつ観ても、どう見ても、
まごうかたなくハゲてるけど、
かっこいい。
おもいかえしてみるとこの映画、
薄毛率が高かったなあ。
ざんねんな頭部の俳優さんが、
脇をかためまくっていたので
髪の毛がないのに男前なステイサムが、
それこそぶっちぎりの
存在感をはなってみえた。

ロバート・デ・ニーロ
歳をかさねるごとにいい男になる。
といってもわたしがその名を
ちゃんと知ったころには、
すでに彼はいい歳だったけど。
貫禄がすごい。
あのどっしりとした安定感。
ほんとに何人か、
人を殺したことがありそう。
わたしは「においフェチ」とかでは
けっしてないのだが、
この人のすれちがいざまの体臭ならば、
すすんでかいでみたいような気がする。
花のようなにおいだろうとはおもわないが、
かいで後悔することはなさそう。

クライヴ・オーウェン
観るたびにルー大柴に似てくるし、
あごと眉間が割れてくる。
キング・アーサー』のときは、
まだそんなにルー大柴に似てるとも、
あごと眉間が割れてるとも
おもわなかったのに。
彼はどちらかというと、
うさんくさい顔をしているし、
もっと軽めというか
上質なB級アクション
(つまり最強に最低ということ)
などに出た方が、はまる。
シューテム・アップ』みたいな。

キラー・エリート』は
『エクスペンダブルズ』と
根っこの部分が
かさなっていたかもしれない。
軍人として首までどっぷり
戦場の血の海につかってきた者が
戦場をはなれたら
どう生きていくのか。

ダニー(ステイサムは
依頼をうけて人を殺し、
お金をとる仕事をしている。
おそらく元軍人であり
傭兵兼殺し屋、というかんじだ。
しかし、仕事中の
あるアクシデントがきっかけで
殺し屋家業に嫌気がさした彼は
この後ろ暗い世界から足を洗う。
数年後、彼は森のなかの廃屋を自力で改修し、
そこでしずかに生活していたが
そこへ、
殺し屋稼業の師匠ハンター(デ・ニーロ)が、
むりな仕事に手をだして失敗し、
依頼主に拘束されているという情報が
もたらされる。
殺しはもうやりたくないのだが、
師匠を見捨てることはできない。
ダニーは
師匠が失敗したその仕事を
自分が引き受けるかわりに
師匠の解放を要請することに決める。
依頼主はアラブの砂漠地帯の族長。
病気で余命いくばくもない。
彼はオマーン紛争において、
英国特殊部隊SASの隊員に
3人の息子を殺されていた。
「自分が生きているうちに、
息子を殺したあのSASの野郎をみつけ、
事故にみせかけて殺害せよ、
殺す前に殺害を自白させて録画し、
証拠として持って帰ってこい」
これが依頼内容だった。

SASは英国陸軍の特殊部隊。
米海軍特殊部隊もはだしで逃げ出す
精鋭集団であり、
そこから特定の人物を
さぐりあてて殺すなど至難の業だ。
仮にいまもその人物が
SASの一員ならば、
SASの拠点に
潜入しなくてはならないし、
仮にその人物が退役していても、
元SAS隊員なのだ。
軍隊1個引き連れていき
その大半を死なせる覚悟がなければ
とうていこなせる仕事ではない。
ベテランとはいえ
ハンターひとりで
できる仕事ではなかったのに
高額の報酬につられた師匠は 
依頼を引き受け、案の定
失敗したのだった。
ダニーは何人かの仲間をあつめ
仕事をはじめるが、
まもなく、だれか(オーウェン)に
仕事を妨害されていることに気づく。
じつはこの仕事には
ダニーが予想していたよりも
ずっと多くの人物の思惑、
さまざまな立場と利権の問題が
複雑にからんでいたのだ。
・・・

ダニーの標的になった者たちの
「現在」が、それぞれに悲惨。
過去の体験に
心身ともに傷ついていたり、
富と名声をえて
愉快にやっているつもりでも、
じつは因果な商売に
手を染めていたり、
観てて
「あーあ・・・」
というきもちになるような
人間ばかり。
観てスカッとする話ではない。
どっちかというと
悲しくしんどいきもちになった・・

各種工作シーンや
バトルシーンはみごたえ十分。
登場する軍人たちや暗殺者の
仕事っぷりはさすがに緻密。
ミスを未然にふせぎ、
無関係の人は殺さない。
わたしにはあのように
神経をつかう仕事は
ぜったいできない・・
ステイサムとオーウェン
対決シーンはかなりよかった。

各国の軍属特殊部隊や、
クライムサスペンスに
興味がある人には
たのしめる作品だろう。

・・・

へんな話なんだけど
映画がだいすきである一方で
映画を観てハラハラしたり
ビックリしたりするのが
好きではなかった。
すきなキャラクターが
映画のなかで泣いていたり、
死んだりするのがつらいから、
そういう思いをしたくなかったのだ。

だから、
内容をあらかじめ
知ったうえで、
観るようにしていた。
そうすれば、
だれが途中で死ぬかとか、
どこでなにが爆発するかとか、
知っているので、
ショックが軽減される。

または、人が死んだり
建物や車が爆発したり
しなさそうな映画を、
選ぶようにもしていた。
1年半か2年まえまでは
そんなかんじで、
映画にたいして
きわめておかしな
アプローチをしてた。
でも、いまは
そういう予防策を講じない。
ためらうことなく
ビックリし、ハラハラし、
ショックをうけ、
笑うし、むかつくし、
共感して泣く。

いまでは
観なくてもわかる気がするような
テッパンものよりも
これってどうだろう・・・
すっごくつまらないかも・・・
でも興味ある・・・
そんな、期待と不安が半々の映画を、
すすんで観たい気がしている。

・・・

7月の六本木も、
10月のエクスペンダブルズ2
まだまだ遠い。
これらが待ち遠しいことは
たしかだが それまでは
ほかの映画も楽しみたい。
この命ある限り、
たくさんの映画を観ていきたい。
理由はとくにない(笑)