BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

クイーンズ・ギャンビット-211212。

Netflixのドラマシリーズ『クイーンズ・ギャンビット』(全7回)を観た。

最初に観たときは、1話だけでやめてしまった。とてもおもしろい物語だとは思ったのだが、主人公が女性であることや、その境遇や時代背景を考えると、彼女がこれから非常につらい目に遭うであろうことが容易に想像されて、心配になってしまい、先を観るのが怖くなったのだ。けど、やっぱり続きが気になって、結局ぜんぶ観ちゃった。

観終えてみると、意外にも、「おもしろかった」っていう感触があまり残らなかった、というのが正直な気持ちだ。最初は本当にとても良かったんだけどなあ。全体に深刻すぎないトーンのドラマだったことと、わたしが思ったほどにはヒロインが追い詰められなかった(良くないできごとなどに見舞われても彼女は自分で切り抜けることができた)ことには、心からホッとしたのだが、それは「平板でちょっと退屈なストーリーだった」とも言えることなのかもしれない。あと、ヒロインにとって都合の良いことが都合の良いタイミングで起こりすぎじゃないかな、と思ったりした。

でも、脚本が惰弱とか、プロットに決定的な破綻がある、とか感じたわけでもなく、全話一貫して、普通以上に楽しめた。1960年代のアメリカの地方都市の風景やファッションなどがみられたのもこのドラマの楽しいところだった。

 

キャラクターも良かった。ヒロインにチェスの手ほどきをする用務員のシャイベル、ヒロインの義理の母アルマ、初の公式戦で受付係(?)をやっていた双子の兄弟(その後ヒロインの友人となる)、地元の記者タウンズ、ライバルのベニーとベルテック、幼なじみのジョリーンが良かった。

 

シャイベルと一緒に写真を撮ってもらうところは印象的だった。

高校の元同級生(大して仲良くなかった子)と街で偶然再会するところも、なかなか。

昔の恩人と「再会」するところはさすがにグッときた。ヒロインがいつもはあまり感情をおもてに出さない性格なだけに。

 

ヒロインは、自分が意外と人から愛され、大切に思われている...ということを、あまり信じていないみたいだった。それがわかるようになれば、彼女にとってすごく良いんだろうなあと思った。