BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-「キングスマン:ゴールデン・サークル(2017)」「シネマ歌舞伎・熊谷陣屋」/コーガンは呪う/メイドインアビス

先日、映画を2本観た。
どちらもおもしろかった!

・・・

キングスマン ゴールデン・サークル」
原題 KINGSMAN: THE GOLDEN CIRCLE
マシュー・ヴォーン監督
2017年、英

※ほんのちょっとだけど
ネタバレ的なことを書いています。

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movie.walkerplus.com

前作をわたしは観てないが
Wikiやらで軽く予習をしておいたところ
問題なく楽しめた。

世界のために人しれず戦う
特殊国際諜報組織
キングスマン」の活躍。
ロンドンにある彼らのオフィスが
何者かに爆破されて壊滅、
諜報員もみんな死んでしまった。
生き残った主人公と、その教官は
爆破犯を探し出すことを決意、
同盟組織の協力をえるために
アメリカにわたる・・・。

お話運びが極度にていねいで 
わかりやすかった。

おもえば 本作の監督の出世作
「キックアス」シリーズにも
このかんじは共通している。
「レイヤーケーキ」は
どうだったか微妙だが・・
「はいこのセリフ伏線でーす」
「こいつあやしいよ!裏切るよ!」
なんてことを キチンと知らせてくれる、
極上の親切設計。
「ありがためいわく」や
「バカにしてんのか!」感を
とおりこして
ほほえましい。

黒タクシーのステレオからながれる
プリンスにのせて
冒頭からくりひろげられる 
アクションシーンが
かっこよく、一気にひきこまれた。
あのかんじが
最後まですこしも 
おとろえなかった。

主人公のメンターを
コリン・ファースが演じていた。
主人公とこの老練なエージェントの
強固な信頼関係は
前作をしらないわたしにも 
ひしひしと伝わり、
観ていて 心があたたまった。

イメージでものを言って恐縮だが、
ユーモアに、ちょっとだけ
「粘り気」があるのが 
英国産てことなのかなと感じる。
敵地の茂みで
カントリーロード」を
フルコーラス歌われるだけでも
おなかいっぱいなのだが、
さらに最後に1オクターブ上げて
朗々と歌い上げてた。
上げないとおもうんだよね
アメリカだったら。
でもそこを1オクターブ
上げるのが英国、みたいな。

メインキャラクターで
命を落とした人がいたのが残念。
だが 今回、
前作で死んだキャラが
じつは生きてた、という展開があった。
そういうのがアリな映画らしい。
もし第3作があるなら
あのキャラクターに「生きてた設定」を
適用してくれればな。

・・・

シネマ歌舞伎 一谷嫩軍記 熊谷陣屋」
熊谷直実中村吉右衛門
白毫弥陀六:中村富十郎 他 
2011年、松竹
movie.walkerplus.com


平家物語に材をとった物語。
・・・熊谷直実が帰陣するが
どうもその表情が浮かない。
彼は このいくさで、
平家の若武者・平敦盛を討った。
敦盛は、直実の息子と同じ年ごろ。
年端もいかぬ子の首を
とってしまったことに 
落ち込んでいるのだろうか。
直実の陣屋には
故あって敦盛の母・藤の方が身を寄せている。
直実は、敦盛を斬ったことを彼女に報告。
ご子息の戦いぶりやあっぱれと 
やけにはりきって、その死にざまを
かたりきかせたかとおもうと
「これからわが君(源義経)に
ご子息の首級をお見せしなくちゃ
いけないから・・・」といって、
そそくさと部屋をでていく。
なんだか直実のようすがおかしい。
その理由が、
義経の首実検の段で、あきらかになる。
直実が 提出した首級は、じつは・・・

といったストーリーだ。

シンプルな物語だ。
言いたいことは、ただひとつだ。
それしかないだけに 
観ているこちらの
胸に深くくいこむ。
洗練のきわみのような脚本だ。

わたし、
歌舞伎を観るのはこれが初めて。
難しそうだと おもっていたけど、
そんなことはなかった。
観てたのしく、聴いてたのしい。

・・・

ひさしぶりに 
最近聴いて すきになった音楽や演奏家
だれにも待たれてはいない企画だが・・。

www.youtube.com

ドミトリ・ショスタコーヴィッチ
ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 作品77
ヴァイオリン独奏:レオニード・コーガン
モスクワフィルハーモニー管弦楽団

曲と関係のない
「コーガン氏の日常」の映像が
さしはさまれるのが
ジャマっちゃあジャマだが 
演奏はちゃんと聴ける。
こんな感想をいだくのは
わたしがおかしいのかも
わからないが
音楽を聴いているというよりは 
黒魔術のようなものを
一心不乱に(?)かけられている、
というのが
最初の感想だった。
この前に、パールマンかだれかの演奏を
ずっと流し聞きしていた。
音色が変わったことにきがついて
確認したら
この動画にきりかわっていた。
尋常でない集中力が
どこか呪術めいた雰囲気を
かもしだしているのかもしれないし
ショスタコだからそうおもうんだよ
といわれたら
言い返しようもない。が、
メンデルスゾーンもきいてみたけど
やっぱりこの人の演奏は
なんか呪いっぽい・・・。
なんとなくネクラで、
真剣で鋭くて、でも、やさしくて、
つまりどこかあかぬけなくて、
つきつめると、スゴくすきな音だ(^^)



www.youtube.com


ケヴィン・ペンキン
Underground River Full (ft.Raj Ramayya)
Episode 1 Opening Theme
アニメーション「メイドインアビス」挿入曲

アニメ「メイドインアビス」の劇中曲。
第1話の中盤あたり?で 
この曲がかかったときは
なにか、どきっとしたな。

このケヴィン・ペンキンという人、
メイドインアビスの劇中音楽を
ほかにも(おそらくすべてを)
担当したようで、
YouTubeには
アニメのサウンドトラックらしき
コンテンツが
いくつも公開されている。
どれもとても美しい。
アニメーションも、傑作だ。
けど すごくなまなましく、
ある意味で残酷な物語だった。
こんなこと、描いちゃいますか・・・と。
そのかわいらしい絵柄、
かわいらしい声で、と。
攻殻機動隊もそうだけど
どこのだれが 何の目的で・・・
そんな、とほうもなさがある。
だから、傑作と評価することに 
異存はないが
もう二度と観たくない。
なまなますぎる。

miabyss.com