BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

大妖怪展/映画の感想-『ロスト・バケーション』-160731。

「大妖怪展」
江戸東京博物館:両国)
みてきた。
かなりの盛況だった。
でも伊藤若冲展みたいな 
館外までお客の列がのびてる、
といったほどではなかった。
20分も待てばチケットは買えた。
土偶から国宝から妖怪ウォッチまで
日本の妖怪やお化けにかんする
いろんな絵画作品がみられた。
とくに江戸時代に入る前のころの
だれが描いたかわからないような
妖怪図とか謎の虫の絵とか 
「1か月間 毎日家に妖怪が出続けて 
それに耐え抜いた16歳の少年の記録」
というわけわからなすぎる
絵巻などは よかった。
どこから着想をえたのかわからない
謎すぎる絵柄がじつにたのしかった。
虫?というか妖怪?なのか
なんなのかわからないが
「へんな生き物」図鑑みたいなのがあって、
そういうのの絵が
ほんとにかわいいんだよね。
画材が貧弱で描写も未熟で 
題材もトンデモなのだが 
ヘタクソだからこそかえって 
怖さ不気味さがひきたつようなかんじ。
描きかたがフリーダム。すばらしい。
これが江戸時代以降になると
みんな絵がうまくなり
カラフルにもなるので
何を描いているのかはっきりわかるし 
今みても斬新でカッコいいが
うまくなっちゃったぶん 
小さくおさまった感はあった。
ただし葛飾北斎歌川国芳
月岡芳年などはさすがの画力だったが。
鳥山石燕も鉄板。

自分が好きな河鍋暁斎の絵も
いくつかあってうれしかった。
「化け化け学校」とか(^^)
たまらん(^^)

河鍋暁斎
ガイコツ絵のTシャツを買った。
カッコいいんだわ。これが。

おもしろかったので
ぜひみなさん行ってみてください。
オペラグラスを用意し、
かかとの高い靴をはきましょう。
とおくからでも見えるようにね。

・・・

地元に帰ってきてからは
映画館にいって映画を観た。

『ロスト・バケーション』
原題:The Shallows
ジャウム・コレット・セラ監督
2016年、米

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www.youtube.com


すごくよかった。
インデペンデンスデイ・リサージェンス』を
観るかどうしようか、もし迷っているようであれば、
そっちはこの際観なくても良いから
本作をぜひ観てみていただきたい。

知る人ぞ知る秘密のビーチで
サーフィンしていた女の人が、
突如 サメの体当たりをくらい 
沖の岩場になんとか避難。
足にかなり重いケガを負った。
サーフィンの板はどこかに
ふっとんでいってしまった。
その岩場は ちょうどサメが
クジラをしとめた「食い場」近く。
まだ新しい クジラの死体が
すぐそこに浮いている。
「食い場」が荒らされたことに加え
女性の足から出血しており 
その血のにおいにもひかれるのか
サメはものすごく興奮している。
そして 「食い場」と 
女性がいる岩場とのまわりとを
飽かず ぐるぐると
旋回するようになる。
岩場はごくちいさくて、
満潮になると岩の先端が
水面からちょっと顔を出すかどうか。
女性はそこにしがみついている形だ。
浜辺まではほんの200メートルくらいだが
ケガした足では早く泳げない。 
サメから身を守りながら
逃げきることはできそうにない。
秘境のビーチなので
めったに人がこない。
まったくこないわけじゃないんだが
助けはえられないまま。
ケガをおった足は 感覚がなくなり
みるみる壊疽をおこしていく。
彼女はこのまま 力尽きて
死んでいくしかないんだろうか?

という 物語。

極限まで無駄を削ぎ落された
いわゆるワンシチュエーションもので
主演の女優に自然に釘づけになるので
集中してみられるかんじ。
またこのヒロインが
とってもきれいなんだこれが。

映像も音楽もカッコいいし
演出が凝っていてよかった。

それにしてもこの映画に関する
いろんな批評やほかの人の感想を
ネット上でいくつか読んだけど、
どれも解釈をまちがっているように
おもえてならなかった。
この映画 わたしはもっと高く
評価していいとおもう。
なぜ水着美女とサメのバトルとか
そんなやすっぽい言いかたを
するんだろうか。
水着の美女がサメとバトルしてることは
たしかだが(^^)
でもそんなやすっぽい言葉で
表現されるべき映画だとは
わたしはおもわなかった。
それに 彼女は
「楽しい休暇を過ごす」ために
あのビーチにきたようには
わたしには とてもみえなかった。
哀しみとうまく向き合うことができなくて 
すべてのことをいったんほうりだして
ほんとはそんなことしたって
状況は何も変わらないと 
わかっているのに
逃げてきたようにおもえた。
映画をみていたとき、
「ファミリーツリー」や
「ゼログラヴィティ」に
でてきた登場人物たちが
心にかかえていたような
哀しみの存在をかんじて 
とてもいたましいきもちになった。
彼女ががサメから身を守るために
しがみついた沖の岩場は、
満潮になるととたんに
アップアップになる
危ういかんじが
彼女自身の人生の状況とも
かぶっているようにおもえて
はやく安心できるところに
彼女がたどりついてほしいと
願いながら みたな。 
わたしは。

なんか みんな 
わかってないかんじがしたね。