BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

ライブ/映画の感想-『鑑定士と顔のない依頼人』-190602。

電車で1時間くらいのところにある庭園で
ライブがあった。行ってきた。
すごく疲れていたみたいで
その場に腰かけているだけで眠気に襲われたり
気持ちが悪くなりそうになったりで、
あまり楽しむことができなかったが
演奏はとてもよかった。
聴くたびに良くなるなあ。
どこまで伸びるんだ。
すでに演奏技術はとても高いのに。
でもまた当分聴けないかなと思う。
うまく向き合うことが、できなくなっている。
離れた方がいいだろうなと考えて久しい。
しょうがないのかなと。

・・・

ジュゼッペ・トルナトーレ監督の
鑑定士と顔のない依頼人」(2013年)を観た。
原題:The Best Offer

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音楽が神秘的で、美しかった。
あとジェフリー・ラッシュ、名演だった。
全篇おじいちゃん出ずっぱりという地味な映画にもかかわらず
グイグイ惹きつけられて、まったく飽きなかった。
ミステリー的な要素は多分にあるが、
誰がやったのか、なぜやったのか、どうやってやったのか
いずれもかなり曖昧に作られた物語だった。
なぜ、の部分は特に、
観ていて、それが見当がつかないということは決してないのだが、
ただ内容的に、ちょっと・・・どう言ったらいいのかな
社会通念として理解しがたいというか、
「普通の人間だったらこう考えるであろう」からは
かなりかけ離れたところに、動機があったと見られるのだ。
本当にそんなことが、あれだけのことをしでかす動機に
なりえるのか?と思うようなこと。

だから戸惑わされた。

良いか悪いかで言うと、良い映画だったと思う。
映像がすごくなめらか、かつシックで美しかったし
先述の通り音楽も魅惑的。
あの女声による歌詞のないアンサンブル
すごくきれいだった。

わたしはこの映画がかなり好きだ。

病院とプラハ行のくだりは、
時系列がわかりにくくされていたとおもう。
プラハに行って、帰ってきてから病院に入ったのか
病院にいたけど、プラハに行くことを決めたのか
どちらとも解釈できないこともなかった。
基本あの映画はそういうかんじで、捉える部分によって
解釈が変わっていくかんじの物語だった。
わたしは、おじいちゃんがかわいそうだなと思ったけれども、
幸せのように見えなくても、彼は幸福な人と
言えるのかもしれない、とも。
たとえ立ち直れないほど深く傷ついたのだとしても
それが愛ゆえになのであれば、
愛をまったく知らずに死ぬよりもその方が良かった、
という考え方もあるだろうと思う。
でも おじいちゃんかわいそうだよな。

カフェにいた小人症の女性客は、目撃者とかいうよりは
オートマタ、機械人形としての役割を果たしていた。
あの小人症の女優さんすごくいい味を出していた。
髪型が妙にレトロなのも良かった。