BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『T2トレインスポッティング』-190525。

原題:T2 TRAINSPOTTING
ダニー・ボイル監督、2017年、英国

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だが第1作(1996年発表)がどんなものだったか
忘れてた部分もあったので
さきに第1作を観直した。

トレインスポッティング
原題:Trainspotting
ダニー・ボイル監督、1996年、英国

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こんなもんが20年前にもうあったかとおもうと
気味がわるいくらい、新しく感じた。

トラブルメーカーで乱暴者のベグビーが
いちばんだいきらいだったけど、いちばんよく覚えてた。

20年前のわたしは理解力がとぼしく
幻想を映像にする、という表現のありかたを解さず
しかも壊滅的に世間知らずだったようだ。
赤ちゃんが天井をはいまわるシーンや
落っことしたクスリを拾うために
トイレの便器に・・・というシーンは
そういうことがほんとうに起こっている、
ほんとうにやっているシーンなんだと思っていた。
だからわたしはあの映画が全体的に
たぶんちっとも理解できていなかった。

いまは当時よりはよくわかる。

マークが病院から帰宅したとき
お父さんにだっこしてもらってベッドに入る。
マークは当時26~27歳くらいの設定で
お父さんは50超とか、あるいは60歳くらいだ。
太った、ふつうの初老のおじさんだ。
それでもだっこできないこともないくらい
マークが軽い、ということだ。
薬物障害で骨とかがスカスカになって
軽くなっちゃうと聞いたことがある。
それをさりげにああいったシーンで
表現していたんだろう。
第1作ではあのだっこのシーンと
ダイアンが学校の制服姿で現れるシーンと
ベグビーが酒場の2階席からジョッキを
下にほうりなげる、というシーンがとくにすきだ。

トミーの死の 回想シーンはむごい。
子猫がずっと鳴いているのがかわいそう。

・・・

第2作でも
やつらはぜんぜんマシになっていなかった!

「ウェルカム・トゥー・エジンバラ!」
の発音の違和感に
きづいたからだったんだろうか、
キャンペーンガール
出身地を尋ねたのは?
もうひとりいたキャンペーンガール
そこまでちがいがあるようには
わたしにはおもえなかったが
マークにはわかったのかもしれない。
(まあもうひとりいたキャンペーンガール
スコットランド人であるという証拠もないが)

マークの帰郷から始まる物語だ。
なんのために帰ってきたのかとおもっていたけど
ようするにぜんぶ失ってしまって
結局ほかに行く場所がなかっただけのこと。
べグビーがあんなに出所をあせったのも、
マークへの恨みつらみもたまってただろうが
刑務所のなかにずっといるうえに年もとったので
不能になっちゃったかもしれなくて
まだ回復の可能性がありそうなうちに
一刻もはやくシャバにもどりたい
いちばんの動機はそれだったようだ。

ベグビーとマークの運命的な再会のシーンは
すごくよかった。

50にもなろうという いい大人が
いまだにバカみたいなことやっていて
こうなるとちょっと まじめに痛々しく
おもえるくらいだった。
でもどのキャラの末路も
救えないほど深刻ではなかった。
どことなく希望が残るように
処理していってた気はする。

建物の内部の「壁紙」と
母親よりは「父親」たちの存在が
印象ぶかかった。