BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『ザ・コンサルタント』-170122。

きょうは午前中は洗濯をしたり 
ノラネコに手をかまれたり
あと ノラネコに
ヒザにパンチをくらったりし
午後おそくになってから外にでて、
映画をみにいった。

ザ・コンサルタント
原題:The Accountant
ギャビン・オコナー監督
2016年、米

f:id:york8188:20200422181548j:plain

www.youtube.com


主人公はクリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)。
アメリカの田舎町の会計事務所で働く公認会計士だ。
愛想がないが、数字には図抜けて強い切れ者で、
地元の老夫婦の、お金の悩み相談なんかを
うまくさばいたりして、とても優秀な男だ。
そんなウルフのもとに、ある日、
大企業から 財政調査の依頼が入る。
社内の会計補佐のデイナ(アナ・ケンドリック)が、
使途不明金があるようだ、と指摘してきたので、
調べてほしいという。
ウルフはその頭脳を活かして、
やっぱり会社の金の流れがおかしいと証明し、
さらにくわしく調べようとするのだが、
なぜだかここで会社の方から一方的に依頼を打ち切ってくる。
そしてまもなく、ウルフは何者かから命を狙われ始める。
使途不明金の件を最初に指摘したデイナも危ない目に遭うが、
間一髪、ウルフに救出される。
実は、ウルフは田舎町の会計士という表の顔のほかに
世界の超危険人物たちの秘密の帳簿を取り仕切り、
年収10億を稼ぐ裏社会の会計士という顔も持っている。
しかも、仕事を妨害してくる者を抹殺するために、
1.5キロ先の標的も撃ち抜く狙撃術と近接格闘術も備える
とんでもない男なのだ。
受けた仕事が中途半端に終わることが大嫌いなウルフは、
今回も、命をねらわれたくらいでは仕事を投げ出さない。
何としても企業の不正をつまびらかにしようと、動き出す。

・・・
といったストーリーだ。

クライムサスペンスとバトルアクションとドラマとが
よくブレンドされてた。
伏線が何本もはりめぐらされけっこう複雑なのだけど、
どれもほったらかしにされず、順調にほどかれていき
最後にきれいにつながるのが、美しかった。
秩序と予測不可能性のバランスがわたしの好みだったらしく 
あきることなく最後まで楽しめた。
必要な人しか出てこないのも良い。

ウルフ役のベン・アフレックがとにかくハマってた。
見た目といい人物像といい キャラが合っていた。
会計補佐のデイナを演じたアナ・ケンドリックも、
小鹿ちゃんのようでかわいかった。
『50/50』(2011年)に出てた女優さんだ。
デイナが、変わり者のウルフに偏見を持つことなく、
まっすぐに関わろうとする姿がとても良かった。
ウルフは、途中で彼女と別れることになるのだが
「きみは称賛に値する」と置き手紙をして去った。
「みんな僕を怖がって力で押さえつけようとしてくる。
 でも君は非力にも関わらず 僕を怖がらなかった」
という意味だろう。

敵の親玉を演じたジョン・バーンサルも良かった。。
「ほんとはヴァンサン・カッセルに出てほしかったけど
 だめだったからこの人になったのかなー」
とか失礼なことを考えながら最初は観ていたのだが
そんなふうに思ったのは本当に最初の方だけで、
すぐに、この悪役の存在が得難いものに感じられていった。
照明の効果もあったんだろうが、終盤の対決シーンで、
急に子どものように無防備な表情になったのがすごかった。
あの顔をみられただけでもかなり、この映画を観た意味があった。

悪者たちの居場所を探し当てたウルフが
屋敷の窓ガラスを威嚇射撃していくシーンもアツい。
撃たれる悪者たちにしてみればあれは怖いと思う。
闇に紛れ、どこから撃ってきているのかわからないうえに
とってもじゃないが一般人が扱える火力の銃じゃないのに
そのくせ狙いが異常に精確なのだ。
(普通、銃は、火力が増すほど狙撃の精度が落ちるはずだ)
それで分厚い窓ガラスをドッカンドッカンやってくるので
音と衝撃が半端じゃなく、観てるわたしもふるえあがった。
屋敷じゅうの窓が割られたところでようやく銃撃が止み、
静寂が戻ってくる瞬間も
逆に、今度は何が起こるのかと息をのむほど怖かった。

ウルフの近接格闘術、なんだかどこかで観たような
憶えがあったのだが、多分『ザ・レイド』(2011年)の
「プンチャック・シラット」だろう。
ウルフの父親が軍人だったという設定だし、
米軍の戦闘術にシラットが取り入れられているという
話を『ザ・レイド』を観た時にどこかで聞いたことがある。
父親直伝の格闘術、ということなのだろう。
大柄なベン・アフレックがやるので格闘シーンは大迫力。
相手をした悪者たちも、ちゃんとみんな強かったし。

しかしウルフは
仕事を完遂しないと気が済まないというのはわかるのだが
なにも殺さなくても良かったじゃないか、とはおもった。
最後、なんで殺したんだろう。やりすぎのような気がした。
いわゆる「法で裁けないクズの粛清」というのとは
ちょっと 話がちがうんだし・・・。
ウルフのようなのは敵に回すと怖いだろうな。

場面転換や回想シーンの映像表現から想像するに
テレビや日本語吹き替え版で観ると
おそらくあんまりおもしろく感じられないとおもう。
でも、スクリーンで、字幕版で観る分にはとても楽しめた。
公開中の今のうちがおすすめ。
わたしはあと1回くらい観たい。

シリーズ化とかするかもしれない。してもいいかもしれない。
続編がやるなら観たい。弟と再会する可能性もあるし。