BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『マ・レイニーのブラックボトム』-210211。

原題:Ma Rainey's Black Bottom
ジョージ・C・ウルフ 監督
ルーベン・サンチャゴ=ハドソン 脚本
原作 オーガスト・ウィルソン『Ma Rainey's Black Bottom』
2020年、米

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1927年のシカゴが舞台の物語。
野心家の作曲家でトランペット吹きでもあるレヴィーは、
大物ブルースシンガー、マ・レイニーのバックバンドに所属し、
レコーディングに参加することになる。
傲慢なマ・レイニーは、白人のプロデューサーたちと衝突を繰り返し、
レコーディングはちっとも進まず、スタジオの雰囲気は最悪。
トラブルが発生するたびに、バックバンドは別室で待機を命じられる。
長い長い待ち時間のなか、レヴィーは自らの本当の思いを吐き出し始めるが、
それをきっかけに、バンドメンバーの運命が大きく変わることになる。

レヴィーはチャドウィック・ボーズマン
マ・レイニーはヴィオラ・デイヴィスが演じている。
チャドウィック・ボーズマン、亡くなったんだよなあ。
まだまだこれからの役者さんだったのにほんとに寂しい。

最初は、マ・レイニーの傲岸不遜でワガママなところや
レヴィーのいかにも調子こいてて協調性がなく身勝手なところが、
イヤでイヤで、観ててすごくイライラした。
けど、マ・レイニーがあれほどまでに傲慢なのは、
「自分のやりかたを貫かなくてはならない、一歩でも譲ったら負け」
という風に思いつめていたからだと、わかるようになった。
彼女の人生は、歌うことは、闘うことだったのだと思う。
また、レヴィーがあんなお調子者でムカツク若造なのは、
ものすごく不器用なのと、心が傷付きすぎているからなのだと
いうことも、感じ取れた。

レヴィーは神の存在を信じられなくなっているようだった。
でも、最終局面のあのシーンにおけるレヴィーの姿は、
ピエタ」そのものだった。
あのシーンは本当にむごたらしかった。
レヴィーの気持ちを思うと痛ましくて、みるのがつらかった。

とても良い映画。おすすめ。