BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『ジャッジ・ドレッド』-200801。

原題:Dredd
ピート・トラヴィス監督
2012年
英・印・米・南ア合作

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ストーリー的にも映像的にも
新鮮さみたいなものは特になかった気がする。
でも退屈だったといいたいわけじゃない。
もっとぶっ飛んだものが観られる気がしたけど
案外そうじゃなかった、という感じ。

悪の巣窟と化した高層ビルを攻略して
最上階のラスボスを退治する・・・という話は
ザ・レイド』(2011年)っぽいと思った。

脚本を
『アナイアレイション 全滅領域』(2018年)や
エクス・マキナ』(2014年)の
アレックス・ガーランドが担当している。
けど「アレックス・ガーランドっぽい」
脚本なのかどうかは 
わたしにはよくわからなかった。
コミックの映画化らしいし。
でもストーリーはオリジナルだそうだからな・・・
わたしが アナイアレイションやエクス・マキナ
観てて思ったのは
監督が「見る/見える/見られる」といったことに
やたら執着しているらしいな、ということだった。
「絶えず監視されている」
「四方を囲まれてたくさんの人に見られている」
「行動を逐一チェックされていて自由にできない」
「あるできごとが人によってまったく別のことに
 見えたりする」
みたいなことが必ず盛り込まれるのだ。
ジャッジ・ドレッド』にもそれはあったと思う。
ラスボスの「ママ」が 監視システムで
ビルの中で誰がどんなことをやっていても
全部観ていたし
あとで述べるが 新人のカサンドラ
言わば「人の心を覗き見る」力を持っている。


主役の法執行官(「ジャッジ」)ドレッドは
カール・アーバンが演じている。
わたしはカール・アーバンと言われても
すぐ顔が思い浮かぶわけではないのだが
ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの
エオメル、と言われると「ああ!」という感じ。
ドレッドは防護用ヘルメットで顔が隠れていて、
最初から最後まで一瞬もヘルメットをはずさない。
鼻の下と口の周りくらいしか見えないのに、
カール・アーバン
良くこの役をやってくれたなあと思った。
ドレッドは法執行官なので
一応この物語の「正義」の側ということになるんだけど
彼も悪いやつらと同じくらいおっかなかった。
執行権まで持っているので
その場で死刑を執行することができ、バンバン人を殺すし 
ビルの高層階から人を突き落したり、めちゃくちゃやる。
しかもそこに迷いがまったく感じられない。

ドレッドが、ビルのアナウンスのシステムを使って
悪者たちに「これから捕まえにいくぞ」
と警告するシーンがあった。
ドスのきいた低い声でボソボソと怖いことを言い、
最後に「Judgement time.(さあ、執行の時間だ)」
と告げるところが 震え上がるほど怖かった(笑)

ドレッドと組んでミッション遂行にあたる
新人のカサンドラ
オリヴィア・サールビーが演じている。
法執行官の資格試験の成績はギリギリ不合格ラインだが
資格試験の審査官が、彼女を不合格にするか迷っている。
人の心を読む、きわめてまれな超能力を持っているためだ。
そこで最後のチャンスとしてベテランのドレッドと組ませ
合否の判定材料とする、という筋だった。
(めちゃくちゃだなと思ったけど(笑))

カサンドラが、仕事をしていくなかで
だんだんと「成長」していくのが見られた。
成長というか、人を殺す、という、
法執行官として避けられない通過儀礼
おずおずと受け入れていく。
最初の方では、殺すことをためらっていて、
ドレッドに、さっさと撃て、と言われて
迷いながらも銃殺、という風だった。
けど、終盤では人に言われてではなく
自分でちゃんと理解して任務を遂行していた。

ドレッドが新人教育が非常にうまいのがおもしろかった。
一匹狼、生涯現場ひとすじ、ってイメージだったけど
教官の才能が明らかにある(笑)
選択肢がいくつも考えられる時には
カサンドラの意見を聞くことを忘れなかった。
危険な任務を遂行しながらも
カサンドラに簡単な質問をして
的確な判断ができるかどうかテストをしたり
カサンドラが人を撃つことに慣れていないのをわかっていて
発砲する覚悟が決まるまで時間をかせいでやったり
さりげなくいろいろやっていた。