スラム街で生きる青年が、ヒップホップに目覚め、作詞を中心とする音楽的才能が開花。格差社会の理不尽に苦しみ、親子関係に苦しみ、恋に悩み、さまざまな困難をのりこえたりしつつ、スターダムを駆け上がっていく。
インド版『8Mile』とか言ったらそれまでなのかもしれないけど、そんな感じのストーリー。
主人公をとりまく環境や状況は、たしかに苛酷なはずなんだけど、なぜか、観ていても思ったほどにはそういうことを感じなかった。正直「インドだもんな、そりゃそうだよな」・・・くらいにしか思えなかった。
全体に今ひとつ、あともうちょっと、足りない、という感じだったかなとおもう。
監督のまなざしが、優しすぎた?
監督が、この物語にでてくるキャラクターたちにつらい思いをさせたくない、誰一人として傷つけたくない、と内心おもってるのが伝わってきてしまった。
そもそもイヤな奴、悪い奴がまったくといって良いほど出てこないし、全員なんだか基本的には安全圏で、健全で、善良そのもの。
どうせならもっと自己中心的に行動して、仲間すら押し退けたりとかして、ズルとかイジワルとか、して欲しかった。
つまり、悪くいえば、
描写が甘い。
どこか、子ども騙し感がある。
全然、悪い映画だったとはおもわないんだけど これでは いまのわたしの心には 響かない。
けど、アーリヤー・パットは魅力的。
音楽も良かった。
インドの言葉でのラップには、独特の迫力と凄味があるね。