BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想『コヴェナント』-240302。

f:id:york8188:20240302171950j:image

 

このまえスクリーンで観た。

2018年アフガニスタンでの米軍のタリバン掃討作戦において、ある軍曹とアフガニスタン人通訳との絆を描く。通訳として米軍に協力したアフガニスタン人は大勢いて、協力するかわりにアメリカへのビザをもらえることになっていた。逆にタリバンからは裏切り者とされ追われる身となるので、アフガニスタン人の米軍通訳の自国における立場は悪く、つねに命の危険にさらされる状況にあった。
キンリー軍曹は新たに雇った通訳のアーメッドを反抗的な奴だと苦々しくおもうが、現地の事情にあかるく機転もきく彼に、何度となくチームを救われ、じょじょにアーメッドへの評価を改めていく。
そんななか、ある作戦行動でキンリーのチームは壊滅、キンリー自身も瀕死の重傷をおった。意識不明のキンリーをかついでタリバンの追跡をかいくぐり、100キロの道のりを歩き基地まで送り届けたのは、他ならぬアーメッドだった。
帰国し傷も癒えたキンリーは、アーメッドとその家族がまだビザをもらえていないばかりか、タリバンのお尋ね者となり逃亡生活を余儀なくされていることを知り愕然。
アーメッドがタリバンに狙われる理由は、もちろんキンリーの命を救ってヒーローとしてもてはやされるようになったことで、タリバンのメンツをつぶしたこと。

アーメッドのビザが早く発給されるようあらゆる手を尽くすも状況が良くならず、しびれをきらしたキンリーは、命の恩人を救出するべく、単身アフガニスタンに舞い戻る。

 

ストーリーはフィクションだとおもうけど米軍とアフガニスタン人通訳の協力関係、および協力への対価としてのビザの約束は事実らしい。

 

5点満点で3.9〜4.1点。

 

ガイ・リッチー監督 仕事できるなあ。なんか、なんでもちゃちゃっと手際よくやってしまうところが、三池崇史みたい。

 

よく脚本がまとまってて集中して観ることができた。
アクションも見応えがあった。

 

ストリングスによる音楽も雰囲気あってかっこいい。

 

アーメッドが最高だった。アーメッドを演じた役者さんがほんとうにすばらしい仕事をしてたとおもうし、キャラクター付けも秀逸。すごく好きになっちゃう。

キンリーを演じたジェイク・ギレンホールも、なんだかもう、あの青い大きなお目めといい、苦悩する猫背の後ろ姿といい、みてるだけで胸にせまって涙出そうになった。

 

集中しすぎて疲れた。

 

ミリタリー関連のことは詳しくないので、そういうののディテールがどのくらいちゃんとしてたかは、わたしはよくわからない。ガイ・リッチーは良くも悪くもテキトーなところがある気がするので、あんまりちゃんとしてないのかも笑
けどストーリーとドラマを追いながら観ていくぶんには、そういうディテールがひどすぎていちいちひっかかって集中を削がれる、みたいなことは特になかったから、すくなくとも必要十分には作られていたのではないかとおもってる。

 

アーメッドのビザ発給に奔走するもなかなかうまくいかなくて苦しむキンリーが、「あいつは俺の命を救ったことで俺に呪いをかけたんだ」という意味のことを吐露したのが すごく印象にのこった。

自分のためではなく誰かのため、というわけでは必ずしもなく この人を救うことがひいては自分のため、という、心の構図がキンリーにもアーメッドにもあった。
難しい立場どうしで、わざわざ手を差し伸べたりしないほうが身のためとさえ言えるのだが、迷いながらも心の必要にただただ突き動かされ、あえて困難なほうの選択をしたために非常に苦しむことになるのだが、それでも、途中で投げ出すことはなく、状況を克服していくようすに、胸を打たれた。