BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち』-201106。

原題:Backstage
マレーネ・イヨネスコ 監督
2016年、仏

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振付師、コーチ、楽団の指揮者、ピアニストと一緒に
ダンサーが、少しずつ踊りを作り上げていく過程を
見るのはおもしろかった。

一見華やかなバレエだけど、
なんて過酷なのかと思った。
みんな汗びっしょり、
みんな誰よりも練習していた。
みんな足が痛そうだった。

コーチが、最初から最後まで、何回も踊りを見たのに、
ダンサーが「自信がないからあの部分をもう一度やります」
とか言って意欲を見せると、
「あらそう、じゃあ、もう一度やってみて。最初から」
と、しれっと「最初から」を上乗せオーダーしていた。
ダンサーや周りの人が「最初からですか!?」
と、びっくりしていた(笑)

2013年の10月までパリ・オペラ座バレエ団の
最高位ダンサー(エトワール)だった
アニエス・ルテステュの
練習風景も収められていた。
練習の時こそ彼女は美しかった。
インタビューの場面などでは違った。
お化粧とおしゃれバッチリで
ブローしたロングヘアの彼女は
こう言ってはなんだが、
フランスにいくらでもいそうな
俗っぽい普通のマダムだった。
練習中のアニエス・ルテステュは
ひっつめ髪で、すっぴんで、
汗だくのレオタード姿だし、
トウシューズを脱ぐと、つま先に詰めた綿に、血がにじんでた。
でも、途方もなく美しかった。
ダンサーは踊っている時が
一番美しいんだと思った。