BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『レッド・バイオリン』-200628。

英題:The Red Violin
仏題:Le Violon rouge
独題:Die Rote Violine
伊題:Il Violino Rosso
中題:紅提琴
フランソワ・ジラール監督
フランソワ・ジラール、ドン・マッケラー共同脚本
1998年、カナダ

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学生の頃に一度観た。
最近パガニーニの伝記映画が話題になっていて、
それでなんとなくこの映画を思い出して、観返してみた。
学生の時もそんなにおもしろいと思わなかった覚えがあるが
やっぱり観返してもそんなにおもしろいとは思わなかった。

この映画が作られた動機が良くわからないな、と思う。
誰に受けることを想定したのか、というか。
でも2時間半でうまくまとめている感じは受ける。
複雑すぎず、そんなに間延びもせず、
まあまあ、ちょうどいい気がする。

個人的には修道院育ちの孤児カスパーのパートが好きだ。
カスパーの所はこまかなセリフまで良く覚えていた。

モリッツはなぜあの時、無事だったんだろうな。
持ち主に死の災いをもたらすヴァイオリンのはずが。
魔力が落ちたのか、
ヴァイオリンがモリッツを持ち主と認めなかったのか、
下手な音楽家に弾かれるよりはモリッツに保護された方が良いと
ヴァイオリンが判断したのか、なんなのか。

でも考えてみればヴァイオリンが修道院にあった時、
カスパーの前に何人も使用者が変わったが、
その子どもたちみんなが謎の死を遂げたとかいうような
描写はなく、カスパーだけがそうなった。
ロマ民族の集落が持っていたときもだ。
ロマからヴァイオリンを譲り受けたフレデリックこそが、
次の命の捧げ手となったのだ。
ロマの集落内に楽器があった間は、
過去に不吉なことが起こったような感じは
まったくうかがえなかった。

もしかするとあのヴァイオリンは、
おのれの目的に応じて、人間を使い分けていたのか。
自分に命を捧げてくれる人間を探して
世界中を移動する必要があったわけで、
ヴァイオリンにとってみれば人間には二通りあった。
本命の持ち主と 移動手段としての持ち主だ。
人間は 知らず知らずのうちに
ヴァイオリンの求めに応じて、
与えられた役目をつとめていたのかもしれない。
ということは、モリッツがヴァイオリンを入手しても、
そのせいで彼が死ぬかはわからなかったわけだし、
いつか楽器がモリッツから他の人の手に渡ったとしても、
その人も、死ぬとは限らなかったのかも。

いったんはカスパーと一緒に土中に埋められたのに、
墓が荒らされ、楽器が持ち出されたのも、
ヴァイオリンの意思が作用した結果のように思えてくる。
生き物みたいな感じさえしてなかなか気持ち悪いぞ。

良く考えてみると
チェスカ乳母のタロット占いの内容を
あまりまじめに聞かなかった。
せっかく映画を観返したのに。
気にしてなかった。
もう一度そこに注目すれば 何かわかるかも。