BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

ウディ・アレン強化期間『夫たち、妻たち』など-191222。

観る予定リストをもう少しで全部消化できるぞ・・・

もうわたしウディ・アレン監督作品なら
ほんの一瞬 見ただけで
それと見分けがつくようになっていると思う。


『夫たち、妻たち』
Husbands and Wives
1992年

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「『何も要らないわ』という顔でいながら
 周りの者を巧みに動かし、
 最後には自分の欲しいものを全部持って行く女なのさ」
「思いやりという名目で君の恋愛感情を押し付けないで」
といった意味合いのセリフがあったのが刺さった。
他人のことを普段から良く見ていないと
こういう表現は出て来ないと思う。
ジュディ・デイヴィスのキレキャラが本当に名人芸だった。
キリっとした美人で、良く言えば率直な性格だが、
神経質で傷つきやすく、何かにつけて文句が多く、
早口で、絶えず何か理屈をこねてる女性の役だ。
きっとジュディ・デイヴィス
こういう役が得意なんだろうな~と思った。
後年発表された他のウディ・アレン監督作品にも、
やはりこういう感じのキャラで登場している。



『マンハッタン殺人ミステリー』
Manhattan Murder Mystery
1993年

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気力体力ともにまだまだ充実しているものの、
夫婦の関係としては倦怠期を迎えたふたり(特に妻)が
欲求不満と、ありあまるエネルギーを
なぜか「探偵ごっこ」に注ぎ込み
謎解きに向けて勝手にあれこれドタバタするなかで
お互いへの愛情を再確認していくという物語。
めちゃくちゃすぎる(笑)
これまでに観てきたウディ・アレンの映画のなかでも
最強レベルにイライラさせられた(笑)
特に妻役のダイアン・キートンがもう本当にひどかった。
つらかった~(笑) 
二度と観たくない(笑)
だがビリー・ワイルダーの映画をまた観たくなった。



『ブロードウェイと銃弾』
Bullets Over Broadway
1995年

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1920年代末期のショービジネス界の狂騒を
すごく良く伝えているのでは。
衣装も凝っていた。
ただ、チーチが
演出家としての隠れた才能を開花させていく過程については、
もっと丁寧に描いて欲しかった。
主人公の台本の手直しを手伝っているうちに
だんだんその気になってきたというのはわかったのだが
あまりにも唐突に「おれの作品が」とか言い出すので
え、もうそういうフェイズなの??って思った。
最初は、主人公が、チーチに手伝ってもらっていることを
公表したくない、と言うのを
「メンツが大事なんだろ、黙っていてやるよ」
とか言って、ものわかりの良い様子だっただけに
彼の変化にはかなり違和感をおぼえた。



『地球は女で回ってる』
Deconstructing Harry
1997年

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邦題がひどいこと以外はすごく気に入った。
ハリーにはイライラしたけど深く共感した。
ハリーの元妻のキレっぷりが最高だった。
でも元妻があんなに荒れてもハリーみたいなクズには
届かないんだよな~
作家のような生き物と付き合いを持つ以上
もう、自分のことがネタにされる(書かれる)ことは
ある程度、あきらめなくちゃ、やっていけないと思う。
まあ、ハリーは図抜けてクズ野郎なのだが。

 



『セレブリティ』
Celebrity
1998年

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登場人物が多いけど、進行に気持ちの良いスピード感があったせいか
把握しやすく、わかりやすかった。
つくづくスゴイよ。そういう所は。
ウディ・アレンは出演してないが、ケネス・ブラナー
いつもならウディがやっている、めんどくさ〜い男の役を
ウディの口調やしぐさを完コピして、演じていた。
あの演技はもはや神業の域。
しかも完コピだけど、ケネス・ブラナーだと
なぜかそんなにイライラしない(笑)
世渡りベタな夫婦が、別れて各々の道を歩みだす。
セレブのツテで、ビジネスチャンスを得たり
幸せをつかもうとしたりする所までは共通なのだが
その結果は、残酷なまでに異なるものとなった。
この映画でも、ジュディ・デイヴィスが光ってる。
あと、実業家時代のドナルド・トランプカメオ出演

 



『ギター弾きの恋』
Sweet and Lowdown
1999年

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数年前に友人宅を訪問した時に一緒に観た。
その友人はまさにこの映画の題材であるところの
ジプシージャズをやるので、観る眼が厳しくて
ショーン・ペンの演奏シーンをみて
「弾いてる時にあんな顔はしないもんなんだよ」
「あの体の揺らし方はおかしい」
とか言っていた。
この映画は、わたしはすごく好きだ。
「俺が間違ってた! バカだった!」と泣くシーン。
命よりも大事なギターを叩き壊す姿。
だがああいうことは絶対、本人にしかできない。
彼の演奏が良くなったのは、本当の愛の痛みを
知ったからなんだと思う。




おいしい生活
Small Time Crooks
2000年

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もう良い歳のウディ・アレン
おつむのよろしくない元チンピラ、などという
どうしようもないクズみたいな役を演じていて
全然ハマってないし、片腹痛かった。
だが犯罪のカモフラージュのために開いた店が
何の因果か大企業へと成長・・・という展開は楽しい。
主人公たちがメディアの取材に応じて
まったく無内容なわけのわからないことを
さもそれらしいことのように しゃべるシーンに笑った。




さよなら、さよならハリウッド
Hollywood Ending
2002年

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ウディ・アレンの映画で 親と子のまともな対話のシーンが
出てくるのはとてもめずらしいのではないか。
基本、ウディ・アレンの映画では
親であるはずの大人たちが幼稚すぎるせいか
彼らに子どもがいるという設定の場合でも、
その「子ども」がまともに描写されるということがまずない。
セリフはおろか名前さえ与えられていなかったり
どんな子なのか、性格とかが全然わからなかったり。
だがこの映画では 主人公の子ども(しかも息子)が
物語の展開に、かなりまともにからむのだ。



『僕のニューヨークライフ』
Anything Else
2003年

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レコードショップでのデートの段階では
アマンダは、普通の落ち着いた女の子という印象だった。
それがなぜ主人公と付き合い出したら、
あんな病的にワガママな変な子になったんだ。
思うに、優しいと言えば聞こえは良いが、
主人公は要するに 自分の主張というものがなくて
周りに流されちゃっているのだ。
そういう所が、アマンダをつけあがらせたのかもしれない。
だが、40も年上の、頭のイカレた友人と関わるなかで
主人公も何かを学んだのだと思う。
あのイカレた男、良いキャラだ。
演じてるのがウディ・アレンじゃなかったら
もっと良かったのだが・・・