BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『愛と誠』-180725。

三池崇史監督
2012年、日本

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www.youtube.com
観てみた。

しょーもない!!!

あくびしいしいで、
おもしろいと感じたところは
ほとんどなかった。
だが、それでも、
終盤にちかづくにつれ 
明らかに、いくらかは、よくなっていった。

メインキャラクターたちの
年齢設定は10代後半のはずだが
役者さんの実年齢が全員 
どう低くみつもっても
25オーバー。
そこに 
いいかんじの開き直りをかんじた。
伊原剛志などは
「おれは
『おっさんに見えてしまう病』
にかかっている」
と 劇中にもかかわらず 
くるしいいいわけをしていた。

妻夫木聡が演じた 誠は
まああんなものかなとおもう。
彼自身の意思がみえにくかった。
とにかく終始 
周りにふりまわされていた。
ふりまわされていることに
気づかないほどの
バカにも見えなかったが
彼がそんな自分の状況を
どう考えているのかは
伝わってこなかった。
原作を読んでないから 
なんともいえない部分はある。
もともとあんなかんじの
キャラなのかも。

ひとりの人間が
その半生を賭けるほどのことが、
他人からみると 
ぜんぜんたいしたことじゃない、
そういうのは、ままある。
裏番長が 
「案外と骨のない、おセンチなやつだ」
と、誠の苦悩を笑い飛ばしたことも
わからなくもない。
誠にとっては一大事でも、
他人にしてみたらぴんとこない。
自分の人生を左右するおおごとなんだ、
このために今まで生きてきたんだ、
だからじゃまをしないでくれ!と 
もしくは
助けてくれ!
周囲にそう訴えるならば、
相当の大声で、
相当の本気で叫ばないと
それも何度も、
のどがつぶれるまで叫ばないと、
意外なほど 伝わらないのだろう。

誠の場合は
まず
「助けを求める」という選択肢は
まったくなかった。
それはしょうがない。
「じゃまをしないでくれ!」
(ほうっておいてくれ)は
彼なりに
一応何回か、ちゃんと言っていた。
ただいかんせん まわりが病的に
人の話を聞かないやつらだったので
これも・・・
気の毒だがしょうがない。

最後の最後に 
誠の運命に
強烈なツイストをかけたあの男、
あれも誠にしてみたら 
こいつ誰だっけ、
おれはこいつにいったいどんな 
恨みをかうようなことをしたんだっけ、と
相当考えないと 
思い出せないくらいのことだろう。
言わないし、顔にも出さない、
でも、やられた側の心のなかに
グツグツとたまって
あるとき ついに噴出する、
そういうものがあるのだ。

斎藤工の演じた
きみのためなら死ねる!」
で おなじみの岩清水弘は
まああんなものかな、とおもう。
「愛を助けたい。
できれば自分の力で助けたい。
でも、愛が助かることが
いちばんの願いであり
そして自分の力では、
必ず愛を助けられるという確証がない。
愛を確実に助けられるのは
自分ではなく、誠だ。
だからくやしいけれど、
愛を助けにいってくれ」
そう誠に懇願する姿、
あれはかなりぐっときた。 
不思議に うそっぽさがなく
説得力がある、という驚き。

武井咲は 
どうせああいう役回りならば
もっと
「超絶天然かんちがいお嬢さま」を
押し出してほしかった。
もっともっとどぎつく 
演じられる女優さんが
ほかにいたのではないか、とも。
だが、
代替候補の女優さんを
勝手に検討してみたものの
どの人も だめだ。
わざとっぽいし、
いやみっぽくなる。
武井咲ちゃんで、最適解かも。
乃木坂46生田絵梨花ちゃんだけは
代替案としてどうしても
あきらめきれないのだが
彼女だとちょっと
キャラクターがうすすぎる。
かわいいだけじゃだめだ。
「母性愛すらこえた無償の愛」
ということになると
なにかどっしりとした・・・
菩薩のようなほほえみと・・・
かわいいだけじゃない
安定感が必要だ。
生田絵梨花ちゃんは、
かわいらしいし歌もじょうずだ。
ただ、包容力、
存在感みたいなものは 
あるとは言えないとおもう。
必要なのはかわいさや
歌唱力ではなかったのだ。

安藤サクラ
本作における演技は
とても評判がよかったそうだ。
だが、わたしに言わせれば
彼女よりも、裏番長を演じた
大野いとのほうが
いい味をだしていた。

市村正親伊原剛志
すっごくリラックスしていて
やたらとたのしそうだった。

ミュージカルシーンは
だめだった。
かなしいかな 
お金がちっともかかってなかった。
ミュージカルで
お金がかかってないのは
もうだめだ。
お金かけないと。
ダンサーやコーラスの数がすくない。
もりあがらない。
本職の歌手である
市村正親一青窈などは
じゅうぶん聴けたが
ほかの役者さんは 
ふだん、歌う人ではない。
ソロナンバーを
フルで1曲はきびしい。
もっと演出でアゲていかないと、
画面がもたない。
へたではなく
「ふつう」の歌というのは
かえって聴く側にはしんどい。
時間がたつのが遅く感じて、
観るのをやめようかと
とちゅうで何度かおもった。

ただ もし、観るのを
とちゅうでやめたら
よくなっていった終盤を
知ることもなかった。
がまんしてさいごまで
観てよかった、とはおもう。

余貴美子の、
おっかさんの演技は
トラウマ級だった。
あのようなシーンを
観ることになるとは
こちらとしても 
思っていなかったから 
正直たじろいだ。

ラストは ちょっとくやしいが
それなりにぐっときた。

まあでも 
愛は時を超える、という
考えかたもあるからね。