BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『キック・アス』-121002。

午前中は家で履歴書を買いたり
掃除や洗濯をしていた。

すくなくとも自分の年齢の倍の
60回くらいは面接をうけないと、
どこにも採用されないだろう
という覚悟はしている。

履歴書って、
1文字間違えただけでも、
ぜんぶ書き直しだし、
書くのがすごく大変だ(-_-;)

文章にふれていられる仕事がしたい、
どんな小さな接点でもいい
本を作る仕事がしたい
映画がほんとうに好きだから
映画に関わる仕事もいいなと
思ったりしている。

わたしは妙に楽観的だな。
楽観視できる要素なんて
すこしもないのに(-_-;)

・・・


キック・アス
原題:Kick-Ass
マシュー・ヴォーン監督
2010年、英・米

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www.youtube.com



ものすごく話題になったことは
知っていたが、
公開当時は観なかった。
たしかにおもしろかった。
思ったよりも
ちゃんと作られていた。
ヒーローオタクの女の子が変装し、
街の悪者にたちむかう痛快アクション
などといったような
その程度の物語しか
わたしは想像していなかった。

けれど実際にはもっと
複雑に入り組んでいたし
女の子(ヒット・ガール)だけでなく
もうひとり、主役がいた。
このもうひとりの主役、
バットマンとかスーパーマンのような、
ヒーローに憧れる男子高校生・デイヴ。
通販で買った、かっこわるい
ジャンプスーツに身を包み
人並み程度の体力しかないのに
正義感ひとつで街へ飛び出し、
ギャングと大立ち回りをしてみたりする
彼こそタイトルロール、
「キックアス」だ。

作った人が、相当な映画通なんだろうが、
映画をいろいろ観てるとわかる、
いわゆる「あるある!」的な展開を
意図的におちょくっているかんじが、
随所で見受けられた。
こちらの予想を次々に裏切って、
話をひっかき回してくるので、
飽きることがなく
すごく楽しかった。

ニコラス・ケイジが出ていてびっくり。

ヒット・ガール役の
クロエ・グレース・モレッツがよかった。
コスチュームと髪型がよく似合っていたし
大人になっていない細い手足が
すごくかわいい。
美少女というわけではないが、
眼がクルクル動いて魅力的。
「腐れ○○○○野郎」
「○○にキスしな」などと、
にくったらしく口をゆがめて
言い放つのに笑わされた。

ただ、おもうに
悪者退治とかヒーローとかいう
次元を飛び越して
彼女が父とともに
やっていたことは
完全な復讐、殺人、殺戮だった。
笑いをまじえ軽快に、
さわやかっぽくしていたが、
その実、重い物語だった。

お父さんに
マシュマロ入りのココアを
いれてあげるような
やさしい、ふつうの少女としての一面を
ヒットガールは 持っていた。
ただの女の子として 自分が
求めているものはなんなのか
聡明な彼女はそういうことを
まったく考えないわけじゃ
ないみたいだったが
お父さんが好きだから、
期待に応えたかったのだろう。
お父さんは、
彼女のただの女の子としての側面を
見てあげていなかった。
彼には彼の、復讐することでしか
癒せない 深い傷があった。
だからこれが彼なりの
娘への接しかたであり
愛情の示しかたなのであり
親子のつながり方だったのだ。

この父娘の間にはまちがいなく、
双方向性の信頼と愛情があり、
世間一般のそれとはだいぶ
ちがうように見えても
とてもよい親子だったことはたしかだ。
わたしはべつにそこを、
疑うわけじゃない。

でも、デイヴ/キック・アスが、
負傷したヒット・ガールを、
ふつうの小さな女の子にするように
優しくケアする姿にはぐっときた。
本来、ヒット・ガールは、
このように大人に気遣われ、
守られてしかるべき、
ちいさな女の子なのだ。

なんかよかったね
この映画。

おもしろかった(^O^)
また観たい。

本作にでてきたような
すごくダサいわけではないが
中途半端にイケてない高校生 とか
けっして悪いやつではないが
どこか将来性に欠ける大企業の御曹司 とか
ビミョーなキャラクターを、
顔でズバリ表現している役者さんを
いったいどうやって見つけてくるだろう。
こういう、ぴっっったりの役者さんを
見つけてくる、
慧眼の担当者さんには、
心から敬意を表したい。