BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想『ぐるりのこと。』-120722。

六本木に行かれなかった。

なぜなら用事があったのに忘れていて
今日やらなきゃもう間に合わない
というのが何件かあり、
それなのに起きたのが
昼過ぎだったからだ。

六本木に行ったら
サプライズでジェットが
舞台挨拶に来ていて
言葉をかわし、
彼のほんとうの笑顔を見る機会にめぐまれる
という白昼夢を見るくらい(夢かい。)
きょうを楽しみにしていたというのに。
いたというのに。
とか言ってもしかたないんだが。

来週末は休日出勤で本社に行くから、
帰りに新宿から足をのばそう。

・・・

かわりにはならないが
用事をすべてすませてから
家で映画を観た。

『ぐるりのこと。』
英題:All Around Us
橋口亮輔監督
2008年、日本

f:id:york8188:20190316201713j:plain

www.youtube.com
よかった。
リリー・フランキーって、
いったいなんなのかな・・・
とよく思うんだけど、
「なんなのかよくわからない」
そういう人は、けっこういる。
池畑慎之介
美輪明宏
北野武
所ジョージ
黒柳徹子
Gackt
タモリ
叶姉妹
などなど
よく考えると
「なんなのか」「よくわからない」
人たちばかりだ。

リリー・フランキー
なにというわけでもなく、
ただどんなことにも入り込んで
何となくどこででも
いい仕事する人、
ということなのだろう。
画も描くし、楽器もやるし、
本も書くし、役者もやる。

生活能力のあまりない夫と、
その妻の 10年間の物語だった。

夫が、法廷画家をしているので、
裁判のようすが劇中で
何回もでてくるのだが、
それがすごかった。
被告人役や証人役の
役者さんを、
わたしはほとんど・・・
横山めぐみくらいしか・・・
知らなかったが、
みんなすばらしかった。
どの案件も 
実際にあった刑事事件をモデルにしてると、
はっきりわかった。
裁判とは、きれいごとじゃすまない、
いろんなことが、起こる場所なんだろう。

横山めぐみは、
被害者の親族として、証言する役。
美しい顔を怒りで紅潮させ、
涙で声を震わせながら、
気丈に証言するのだった。
被告人のことを終始
「あれ」呼ばわりしていたのには、やられた。
裁判長が、彼女の話を聞き終えてから
「あれというのは、被告人のことですか」
と質問したとき、
まるで肉体的苦痛をともなうことかのように
つらそうな、
いかにも認めたくない
そんなようすを見せて、そして
彼女は
「・・・・はい、そうです!」。
新聞やテレビでは報じられないことだが
裁判ではこういうことが
あるのだろう。


嵐の夜の、
夫婦の会話の場面もよかった。
木村多江って
こんなにすてきな演技をする人なのか。
弱り切って、自分を痛めつけすぎて、
くしゃくしゃになってしまった
彼女のしょげたちいさな肩をみていたら
大丈夫だよと言って、
背中をさすってやりたい気持ちがふくらんで
こっちまで泣けた。

この夫婦は 過去につらいことがあり
その思い出は、ふたりで共有済みだ。
しかし、妻はそれ以外にもうひとつ
ひそかに悲痛な決断を下していて、
たったひとりで実行してしまっていた。
このもうひとつの決断のほうを、
夫が知っているのかどうかが、
ちょっとはっきりわからなかった。
夫が知らないままだとしたら、
かなりきついなあ。
でもはっきり告白しないままでは、
彼女は、いつまでたっても
救われないはずだ。
救われたように見えたということは、
告白したのかな。

兄嫁役の女優さん、よく見かける。
どんな役にもハマっててすばらしい。
ゴールデンスランバー』(2010年)や
探偵はBarにいる』(2011年)にも出ていた。
なんかあのすごーく惜しいルックス・・・
見たくないけど見たい
そんなかんじというか
すごーく、近所にいそうな。
いや、いないか。
わたしの身近にはいない。
と信じたい。
好きだな。あの人。
ああいう役者さんて
大事だとおもう。 


とても心に残る映画だった。
またしばらくしたら
観たくなるんじゃないかとおもう。