BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-「ドラゴンタトゥーの女 The Girl with the Dragon Tattoo(2011)」「海洋天堂 Ocean Heaven(2010)」-120220。

ドラゴン・タトゥーの女
原題:The Girl with the Dragon Tattoo 
デヴィッド・フィンチャー監督
2011年、米・スウェーデン・英・独

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すごくおもしろかった・・
楽しみにしてきたかいがあった。
ただ、かなり衝撃的だ。
むごい場面が多い映画が苦手な方は、
やめといたほうがいい。
わたしも、ところどころ
しんどくなって目をつぶった。
でも、気持ち悪いだけ、
怖いだけの映画ではなかった。
「観てよかったな」
という思いの方が、強く残った。

リスベットのことが
いとおしくてたまらなくなった。
リスベットは、年齢は大人だけど、
中身がちいさな女の子のままだった。

フィンチャー監督の映画からは
監督が、性愛を
よきものとしてとらえていない
という感じをうける。
彼の映画の性行為シーンを、
観て喜ぶ人がいるようには、
あまり思えない。
すくなくともわたしは、
妙に不潔?というか、
なにかこう 場違いで
暴力的だなという印象を受けたり
寒々しい気持ちになったり
痛そうだなと思ったりする。
しかも妙に何度も、執拗に、
そういうシーンが出てくる。
これはなにか監督に
おもうところがあるんだな、と
思わずにはいられない。

また 彼の映画のなかでは、
男性がかっこよく描かれることがすくない。
女性の強さや偉大さありきの男性、
そんな描き方をしている場合が多い。
本作ではダニエル・クレイグ
「セブン」ではブラッド・ピットと、
男前の俳優をわざわざ出しておいて、
物語中では彼らに、失敗をさせる。
身も世もないほど泣きわめかせたり、
女性を傷つけさせたりする。
男性をおとすことで
女性を上げたいのか、
女性にたいする畏怖と憎悪の
ないまぜになったなにかなのか。

機能不全になった恋愛関係や
夫婦関係を
扱うストーリーも多い。

人間のばからしさ愚かさを
その営為をとおして見つめ、
かなしむ視点を感じる。
ばかで愚かだ、でも
見限ってしまうこともできない、というか。
ファイトクラブ
パニック・ルーム
「セブン」
ソーシャルネットワーク
あたりを観たかんじでは、
そういう感想をもつ。

もっとも、
本作などは、原作がある。
監督が
そういう要素を持った
ストーリーやプロットに
惹かれやすい、
ということか または
そういう話で映画をつくらせると
すごくうまい監督だ。かもしれない。
それから、
かなり強い、宗教のにおい。
それも、どちらかというと
アンチ的な。

わたしは
フィンチャー監督作品が好きだ。
彼の映画と知らずに観ても、
良かったなと思ってあとで調べたら
「これフィンチャーだったのか」
となることが続いたので、
いまや彼が監督の映画は、
発表されれば
かならず観るようにしている。
暗くハードな物語が多く、
観るとたいてい、1週間くらい
メンタルの低迷に悩まされるが、
それでもなにか、観たくなる。

・・・

「海洋天堂」
原題:海洋天堂
英題:Ocean Heaven 
シュエ・シャオルー監督
2010年、中国・香港

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本作はもう昨年夏の公開初日から
いまにいたるまで、
ゆうに10回以上は
観てきた。
この映画を深く愛している。
一昨年の秋くらいから
ずっとこの映画のことを考えてきた。
2011年7月9日の公開初日を
それこそ指折り数えて待ち望んだ。
いまでもかわらず
この映画の存在を励みに、
毎日がんばっている。

こんなにも長く
わたしを支えてくれて、
偉大な映画だとおもっている。

わたしは本作について
思い入れや主観ぬきの、
冷静な感想を書くことが、
とてもできない。
おどろくべきロングランだが、
さすがにもう
さよならの時期がちかづいてきている。
いまさら人に
「映画館で観てください」と言うのも、
あんまり現実的じゃない
春に、DVDが発売される。
お店で見かけたら手にとって、
カバーだけでも
ながめてみていただきたい。

「海洋天堂」の公開がおわってしまったら、
ほんとにさびしい。
そのつぎは10月の
「エクスペンダブルズ」を
待たなくてはいけないのか・・

ニュー・ドラゴン・ゲート・インと
白蛇伝説
いつ日本で公開されるのかな(T_T)