BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想をおもに記録しています。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想「愛と誠(2012)」-180725。

「愛と誠」
(三池崇史監督、2012年、日本)

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観てみた。
全体的には あくびしいしいで、
おもしろいとか、いいとか感じたところは
多くなかった。
だが、
終盤にちかづくにつれ 
加速度的によくなっていったことは 
たしかだ。

いちおうメインキャラクターたちの
年齢設定が10代後半のはずだが
役者さんの実年齢が全員 
どう低くみつもっても25オーバー。
そこに いいかんじの開き直りをかんじた。
伊原剛志などは
「『おっさんに見えてしまう病』にかかっている」
と 劇中にもかかわらず 
くるしいいいわけをしていた。

妻夫木聡さんが演じた 主役の誠は
まああんなものかなとおもう。
誠自身の意思がみえにくかった。
とにかく 周りにふりまわされていた。
ふりまわされていることに
気づかないほどの
バカにも見えなかったが
彼が自分の状況をどう考えているのかは
あまり伝わってこなかった。
原作を読んでないから 
なんともいえない部分はある。
もともとあんなかんじのキャラなのかも。

ただ、ひとりの人間が
その半生を賭けるほどのことが
他人からみると 
ぜんぜんたいしたことじゃない、
そういうのは、ままある。
裏番長が 
「案外と骨のない、おセンチなやつだ」
と、誠の苦悩を一笑に付したことも
わからなくもない。
誠にとっては一大事でも、
他人にしてみたらぴんとこない。
自分の人生を左右するおおごとなんだ、
このために今まで生きてきたといっても
いいくらいなんだ
だからじゃまをしないでくれと 
もしくは助けてくれと
もし 周囲にむけて訴えるならば、
相当の大声で、相当の本気で叫ばないと
それも何度も、のどがつぶれるまで叫ばないと、
意外なほど 伝わらないのだろう。

誠の場合は
まず助けを求めるという選択肢は
まったくなかったから・・・
それはしょうがない。
じゃまをしないでくれ
(ほうっておいてくれ)は
何回か 彼なりに一応言ってたのだが
いかんせんまわりが病的に
人の話を聞かないやつらだったので
これも・・・
気の毒だがしょうがない。

最後の最後に 
誠の運命に
強烈なツイストをかけてきたあの男、
あれも誠にしてみたら 
こいつ誰だっけ、
おれはこいつにいったいどんな 
恨みをかうようなことをしたんだっけ、と
かなり考えないと 
思い出せないくらいのことだろう。
言わないし、顔にも出さないけれど
本人のなかにだけグツグツとたまって
あるとき ついに噴出する、
そういうものがあるのだ。

斎藤工さんの演じた
きみのためなら死ねる!」
で おなじみの岩清水弘は
まああんなものかな、とおもう。
「自分で愛を助けに行きたいのはやまやまだ。
でも、愛が助かることが自分の願いであり
そして自分の力では、愛を助けられる確証がない。
愛を確実に助けられるのは自分ではなく、誠。
だからくやしいけれど、愛を助けにいってくれ」
と誠に懇願する姿は、
あれはかなりぐっときた。 
不思議にうそっぽさがなく
ちゃんと説得力がある、という驚き。

武井咲ちゃんは 
どうせああいう役回りならば
もっと「超絶天然かんちがいお嬢さま」を
押し出してほしかったような気はすこしした。
もっともっとどぎつく 
そういうキャラを演じられる女優さんが
ほかにいたのではないか、とも。
だが、
代替候補の女優さんを
勝手に検討してみたものの
どの人も だめだ。
わざとっぽいし、いやみっぽくなる。
武井咲ちゃんで、やっぱり最適解かも。
乃木坂46生田絵梨花ちゃんだけは
代替案としてどうしても
あきらめきれないのだが
彼女だとちょっと
キャラクターがうすすぎる。
かわいいだけじゃだめだ。
「母性愛すらこえた無償の愛」ということになると
なにかどっしりとした・・・
菩薩のようなほほえみと・・・
かわいいだけじゃない
安定感みたいなものが必要だ。
生田絵梨花ちゃんは、
かわいらしいし歌もじょうずだ。
ただ、包容力、
ほっとするような存在感みたいなものは 
あるとは言えないとおもう。
必要なのはかわいさや
歌唱力ではなかったのだ。

安藤サクラさんが
なにかの映画賞で、
本作において助演女優賞をもらったそうだが、
彼女よりも、裏番長を演じた女優さんのほうが
いい味をだしていた。

市村正親さんと伊原剛志さんが
すっごくリラックスしていて
やたらとたのしそうだった。

ミュージカルシーンはだめだった。
かなしいかな 
お金がちっともかかってなかった。
ミュージカル映画として、
それではもうだめだ。お金かけないと。
ダンサーやコーラスの数がすくない。
もりあがらない。
本職の歌手である
市村正親さんや一青窈さんなどは
じゅうぶん聴けたが
ほかの役者さんは ふだん、歌う人ではない。
ソロナンバーをフルで1曲はきびしい。
もっと演出を凝っていかないと、画面がもたない。
へたではなく「ふつう」なのが、かえってしんどい。
時間がたつのがむだに長く感じて、
観るのをやめようかと
とちゅうで何度かおもった。

ただ 観るのをとちゅうでやめたら
よくなっていった終盤を
知ることもなかっただろうから
がまんしてさいごまで
観てよかった、とはおもう。

余貴美子さんの、
おっかさんの演技はトラウマ級だ。
あのようなシーンを観ることになるとは
こちらとしても 思っていなかったから 
正直たじろいだ。

ラストは ちょっとくやしいが
それなりにぐっとくるものがあった。
まあでも 愛は時を超える、という
考えかたもありますからねえ。