BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『勝手にふるえてろ』-190708。

英題:Tremble All You Want
大九明子監督、2017年、日本

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着るもの、履くもの、小道具、セリフ、人名、
ちょいちょい凝ってて、みんな意味があるのが
おもしろかった。

赤と青の使いかた
付箋の赤色が、水にぬれてさらに濃くなっていくところ
紫谷 という人名
良香/ヨシカという名前と「いいにおい」がする彼女の部屋
ヨシカの履くものの描写 
水音や、ピンポン玉の弾む音

ヨシカに恋する男・ニ(キリシマ)が
もしいなかった場合・・・
ヨシカは自分のカラを破ることができたんだろうか?
ヨシカが10年一方的に恋してきた男・一(一宮)は
単に、彼自身の複雑な自意識のカラに、閉じ籠っていただけ。
ヨシカのことは名前も覚えておらず、
デリカシーのかけらもない男だった。
彼と、もし、これから二人きりで会う機会が持てたとしても、
臆病なヨシカの心を 開かせることが一にできたかどうか。
キリシマが彼女を見出したタイミングが
今であったことの理由はあるだろうか
「そういうお話だから」ということ以外に。
・・・よく考えると、それが、ないようだ。
すごくおもしろい映画だったと思うけど、
キリシマとヨシカの関係について
もっと描いてくれていたら、もっと納得して
観ることができたかなという気がする。

映画の感想-『メアリー&マックス』-190706。

原題:Mary and Max
アダム・エリオット監督
2009年、豪

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愛を獲得したときの、幸福感や、万能感は
ときとして人を、ひどく鈍感にしてしまうね。

孤独がいかにつらいものであるか、
他人の無神経さにどんなに心が傷つくか、
よくよくわかっていたはずでも、
自分が欲しかったものを獲得してしまうと、
すぐ心の痛みを忘れてしまい、
他人の心にも、寄り添うことが難しくなる。

でも、それは、人間が完璧な存在でないということの
証拠のひとつでしかない。
愛が人間をだめにするとか
人間に愛が不要であるとか
そういうことにはならないんじゃないかと思う。

「僕は『アスピーのままでいたいんだ』と、
マックスが主張したことが、大変印象的だった。

マックスの部屋には、彼にとって本当に大切な物しか
置かれていなかった。

映画の感想-『エリカ38』『愛がなんだ』-190704。

『エリカ38』
日比遊一監督、2018年、日本

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観ていてきれいでもなく楽しくもなかったけど、
なんとなくどうなっていくのか気になって・・・
一種のゲテモノ見たさ感覚で ずるずると観続けた。
タイ人の恋人がエリカに送った手紙の内容が印象深い。
彼女がもう戻らないことを、わかっていたんだろう。
ラストだけは、本作において唯一本当に美しい場面だった。

本作は、実際にあった出資詐欺事件をもとに作られた物語だ。
被害者たちへの取材の録音音声が、エンディングで流された。
あの音声を入れたことが この映画の
「勝ち」を決定付けたと思う。

・・・

『愛がなんだ』
今泉力哉監督、2019年、日本

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www.youtube.com恋は、合法の麻薬みたいなもんだな。
みんな実にだらしなくて、みっともなくて、
恥ずかしくて、ほんとにすごくダサかった。
2時間観てても、登場人物たちのほぼ誰一人として、
「進歩」ということをしないのだった。
でも、そこに実のところ共感を覚えるのだ。
映画は道徳の授業じゃないのでね・・・。
誰でもみんな、恋はこうみっともなくて、
恥ずかしいものなのかな。
そうだとすると、自分だけじゃないんだなって、
非常になんというか、ほっとする反面、
つくづく、もう二度と恋をしたくないんだけど(笑)!!

それにしても、あの子、スミレっていう名前か。
スミレの花言葉は 花の色によって違うとか。

白:誠実/謙遜/あどけない恋/無邪気な恋
紫:ささやかな幸せ/誠実/真実の愛
黄:慎ましい幸福/牧歌的な喜び
ピンク:愛/希望

あの子が、登場人物のなかでいちばん
純でまじめな女の子だったのかもね。

足が疲れた/表記-190704。

今週は移動が多く、たくさん歩いている。
足が疲れている。
天気はずっと雨だったけど、
案外カサの出番が少なく済んでいることはよかった。
短時間にざっときても、たまたま電車に乗っている時だったり、
また、地下鉄の通路を駆使しまくったりして、切り抜けた。
どうせ睡眠時間が短いから、始発電車を利用して
雨足が弱いときを狙ったりもした。
始発電車はすいているし、一日が充実しているような気分を
味わうことができるというところが、いい。

・・・

 

わたしは和語やひらがなが好きで、文に多用するが、
あんまり遣うと読みにくいこともわかる。
漢字やカタカナ言葉にも、活躍してもらうように意識したい。

ただ、自分の表記スタイル・・・和語とひらがな多め、
かつ同じ文中で同じ言葉でも漢字だったりひらがなだったりする
(自分のなかでは、こだわってやっている)・・・が、
誰の影響を受けたものか、最近はっきりと自覚した。
渡辺京二さんだ。
渡辺京二さんの評論集成とか、
まとめてガーっと読み直してたんだけど、
なんか見覚えのある文章だなあ、見た感じが。・・・と思って
考えてみたら、自分だった。
わたしが渡辺京二さんの本が大好きだから、
いつのまにか表記スタイルをコピーしていたのだ。
理屈じゃうまく言えないが、そっくりだ。

抜き書き-渡辺京二「父母の記」-190704。

...今になってわかるのだが、その大勢出会った人のなかで、しみじみとなつかしく、よき人だったと思い返されるのは、必ずしも最も親しくつき合った人、最も関わりの深かった人とは限らぬのである。自分に対して正しく振舞って下さった人が誰であったか、誰をもっと大切にせねばならなかったのか、今ごろようやくわかって来るというのも情けない。...


渡辺京二「父母の記」-〈ひとと逢う〉

映画の感想-『貞子』-190703。

中田秀夫監督、2019年、日本

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www.youtube.com朝一番で観た。
スクリーンは貸し切り状態だった。
ひとりっきりで観ることになったので
内心ビクビクものだった。
だけど、
ホラー映画が大の苦手のわたしでも
本作は、ちっとも怖くなかった。
ついでに言うと、おもしろくなかった。
でも池田エライザちゃんはきれいだった。

ふと思う-190703。

毎日読みたい本読んで、映画いっぱい観て、
歩きたいだけ歩いて、食べたいときだけ食べて、
話したいときだけ話して、
こんなに自分のやりたいことばっかりやって、
生活してていいのかなあと思う。

こういう生活を送りたいと思ってても、
わたしひとりでは絶対に実行に移すことがなかったと思う。
やっちゃいけないと思っていたからなあ。

まわりの人たちが、わたしがこういう
暮らしができるようにしてくれた。
わたしの背中を押してくれたし、
手をひいて導いてくれているのだ。