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BRILLIANT CORNERS-2

観た映画・読んだ本など関心ごとへの感想メインの、なんということのなさすぎる身辺雑記帳です。 少しずつ、いろいろ更新してまいります。 お気が向いたらお読みいただければさいわいです(^O^) ブログのタイトルは、セロニアス・モンクのアルバムから。「すみずみまで光り輝く」というような意味だそうで、なんとなくいいなとおもうもんで。

「女帝:夜宴 The Banquet(2007)」。

「女帝 エンペラー」
(原題:夜宴 英題:The Banquet 馮小剛監督、2007年、中国)
という映画を観た。

movie.walkerplus.com



まあまあだった。
映画館で観た記憶があるんだけど、最後のほうはぜんぜん覚えていなくて、
初めて観たような気がした。
もしかして映画館で観たとき寝てしまったのかもしれない・・

もともとのタイトルは「夜宴」というらしい。
この「夜宴」のほうが映画に合っているなあとおもった。

シェイクスピアの「ハムレット」を、ガートルード目線で描いた感じかとおもう。

ガートルードとハムレットは実の親子で、
ふたりのあいだに恋愛感情があったわけじゃないが、
ワン皇后とウールアン皇太子は義理の親子で、ふたりはかつて恋愛関係にあった。
ワン皇后がなぜウールアンを好きなのか、
そこまで彼に入れ込む理由があんまりよくわからなかった。
ウールアンもそれほどワン皇后が好きなようには見えなかった。
どちらかというと自分の父を死に追いやって帝位を奪った叔父への、
復讐心のほうが強いように見えた。
はじめはほんとに皇后が好きだったかもしれないが、
チンニー(オフェーリア的な立場)の真情に心がうごいてきてたのかもしれない。

ハムレット」のオフェーリアもかわいそうだが
「女帝」のチンニーも気の毒すぎた。
ただ本人は、あれで幸せだったのかもしれない。


ワン皇后とウールアンは今上帝を恨んでいた。
けど今上はそんなに悪い奴には思えなかった。
今上がウールアンの父を謀殺したのはほんとうのようだが、
そんなのは古代の王朝ではいくらでも起こったことのはずだろう。
もちろん人殺しはいつの時代にも犯罪だが、
今の感覚でこの映画を観てはいけない。
むしろ今上帝は この時代の王さまにしては、底抜けといっていいほど寛大で、
妻にも家来にもやさしいほうだとおもった。
こんなに臣下にコケにされていたら、もっとキレてもおかしくなかったとおもう。
見た目もけっして悪くなく、
「うわっ気持ち悪い・・」と感じるような不快な存在感もなかった。
ワン皇后は今上帝に毒を盛ったりもしていたが、
今上帝が倒れたときなんかには、取り乱して泣いたりもしてたし、
こんなやつ早くいなくなればいいなどと、
本気で思っているようには見えなかった。

今上帝を愛していたかどうかは別としても
あんなに大事に尊重されていたのだからやっぱり、情がうつってたんだろう。

今上帝にはそれだけの器と誠心があったということだ。
わたしにはあの帝は賢帝の部類に入れても良いくらいの人におもえた。

ウールアンはワン皇后への想いがなくなっていたわけではなかったが
チンニーの純粋な愛情に心動かされてもおり

ワン皇后はウールアンにいまも恋しているようだが
今上帝の真情と、ふところの深さに、ほんとうはほだされつつあった。

けれどもウールアンもワン皇后も、
自分のなかに長い間育ててきた怨念や憎しみを
もうどうすることもできなくなっていて
いっぽうで湧きつつある、新しい愛情に動揺しながらも
もう、ずっとつきすすんできた道をそのまますすむしかなかったのかも。

そうやって「怨み」をはらしたところで
ほんとうに自分たちが幸せになれることなど ないと、
わかっていても。



チャン・ツィイーがよかった。
昔の貴人のお化粧なのでいまの感覚で見て
「美人」というかんじではなかったにせよ、
これがもしいまの感覚の美人女優さん・・たとえばファン・ビンビンみたいな
ああいうかんじの美女だったら、たぶんハマらなかったと思う。
化粧も似合わなかったんじゃないかな
浮いたと思うよ。

チャン・ツィイーが昔っぽい顔だとか言いたいわけじゃない。
ただ、合っていたんだよな。やっぱり。



この人、きれいで踊れてアクションができるだけの女優さんではないなあと感じた。
ラストの長い独り言のシーンはよかった。


映像もきれいだった。

音楽は、すごくかっこよかったけど、
ときどきあまり場面に合っていないように感じた。



ところで 話の筋とは関係ないことだけど、
中国の王朝ものって
大掛かりな儀式の場面なんかがよく出てくる。
お城の中だけでなく外にまで、大地をうめつくすように何万人もの家来たちが並んで。
実際には、ああいう儀式のとき、外の人たちは、
中でえらい人がなにをやってるかなんて全くわからないで、
何時間も立たされていたんだね。
今みたいに巨大モニターとかもなかったわけだし。
式次第が案内されたとしても、
なにをやってるのかが見られないんじゃ最低に退屈だよな。

やってらんないよ!!拷問だなこりゃ。

わたしならぜったい行きたくない。そんな儀式。

となりの人としゃべったり、ちょっとしゃがんだり、
なんか食べたりしちゃいけなかったのかね。
いつ終わるのかもわからないまま何時間も立たされるなんて
絶対にいやだな。

知りたいなあ、そういうこと。
古代の人が日記なんか書き残していたらなあ。

王に仕えた人たちのなかでも、
儀式のときに 城の中ではなく
外に並んでなきゃいけなかったような人たちの
リアルを描いた映画、あれば観てみたい気がするよ。