BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-「カメラを止めるな! ONE CUT OF THE DEAD(2017)」-180817。

この2日ほどは  
ひどく調子を崩した。
家で ほぼ寝ていた。
カブトムシの幼虫的なものに
なったような気がした。

寝込んだ初日にあたる一昨日、
叔父夫妻が めずらしく 
うちにきたようだ。
注意深く記憶をたどると
たしかに、脳裏に
そんな形跡がある。
叔母が部屋にやってきて、
お昼を食べにいこうとか、
誘ってくれたような気が
しなくもないのだ。

でもはっきり覚えてない。

とはいえ 
外はずっと、風が強かったし
あいかわらず暑かったようだ。
仮に外出しても 
しんどかっただろう。
まあ、寝てて正解だったか。

・・・

今朝、窓を開けてみて、
空がよく晴れているのに、
風がひんやりとして
きもちがよいことに気がついた。
こういう陽気はひさしぶり。
多少 調子が悪くても 
外に出たいと。
近くの映画館に行った。


・・・


カメラを止めるな!
英題:ONE CUT OF THE DEAD 
上田慎一郎監督
2017年、日本

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movie.walkerplus.com


※以下、
物語の細部には触れていませんが 
どんな話であるかの紹介はしています。





おもしろかった~。
いかなる意味でも
想像してなかった内容の映画だった。
アラが見えてくるだろうから
3回はさすがにきつかろうが
もう1回は確実に観たい。

ゾンビ映画の撮影中に
ほんとのゾンビが襲ってきて
撮影チームが崩壊していく」
というドラマを撮る人たちの物語。
シンプルでチープな
完成品ドラマがおよそ35分、
そのメイキングストーリーが
およそ1時間、
あわせてだいたい
1時間半のフィクション映画。
説明するとこれぽっち、単純なものだ。
だけど 観てみると、
とっかかりが少ないことがこんなに 
映画をおもしろく
感じさせてくれるとは、と。
どの役者さんも、
顔も名前もいっさい知らない。
だれなのかがわからないと、
たとえばこの人は前に
あの映画で犯人役だったから
悪いやつっぽいな・・・
とかいうような
予想ができない。よって
展開がまるで予測できない。
これはすごく
不安なきもちになる。
なんでもいいから理解したい
じれったいきもちになる。
だけどちょっと
何かをつかんだとおもう間に
バッサリとセクションが
断ち切られるし、
自分のこれまでの 
貧弱な映画体験にてらした程度で
早合点すると 
つぎの展開の意味不明さに 
足元をすくわれる。
やがて 
多角的で複眼的な視点が 
幾層にもつみかさなった
いやに精緻なつくりの物語だと 
きづかされる。
遊園地のミラーハウスに
入り込んだときのように
普段しない頭のつかいかたを 
ムダにしてしまう。

ただ、まあ
どこまでが監督の
手のひらのうえだったかは 
疑問だ。
勢いがつきすぎて 
操舵がきかなくなったのか
たんなる不手際、
脚本上のトラブル?としか
とれない箇所が
(とくに中盤に)
すくなからず あった。
それはごまかしようもなかった。
しかしながら 
少しくらいもたついても
全体の疾走感は
いやますばかり。

ひそやかな興奮、
愚直なメッセージ、
うれしさとなつかしさ・・・、
いろんな思いや感情が
いっしょくたになって
殴りかかってきた。

・「きょう、行っていい?」が
とても自然で、悪くなかった。

・メイクさんの
「あたしは冷静。念のためよ」
のときの 眼のヤバさ。

・メイクさんがとつぜん
起き上がったのの
意味がわかったときは笑った。

・カメラを止めたくなかった理由。

・あの女性プロデューサーの
風貌にはちょっと驚いた。
このひと お人形か?とおもった。

・ヒロインの演技のじょうずさ。

・ああ、トイレに行きたかったのか。

・「ダサかっけえ!!!」笑。

・安っぽいといったら 
それまでだが、
ある家族の再生の物語が 
ほんのり描き込まれていて、
なんだか かなりよかった。

・・・

高く評価されている映画だ。
だからおなじくらい 
やっかまれるだろう。
本作をおもしろい、と
評価することも
いまや 
やっかみの対象になるだろう。
先行公開された
当時だったら まだ
そんなことも
なかったかもしれないが。

知恵と工夫と
発想と根気があれば
お金がたりなくても
爆発的におもしろい映画が
作れることを本作は証明した。
十二人の怒れる男」だったら
よその国の 昔のだから 
そんなにねたましくないが
おなじ日本人の
30代そこそこの 無名の男が
学校のワークショップか
なんかで作ったらしいフィルムが
まさかまさかで、こんなことに。
本作を認めることは
自分がおもしろいものを
作れない理由が
理由になってないってことを
認めるに等しい。

また、映画じゃなくても
なんでもいいが
何かを作り、
完成までやりとげることの
大変さとよろこびを知っていれば 
いっそう本作は楽しめる。
たぶん、いとおしさに、
泣けてさえくる。
でも、そういう経験が
自分にはないな、という人や
そんなことがあったのが 
もうはるか昔すぎる、という人、
その経験のなかで 
なにか癒えない傷を負った人には
本能的にこの映画は
忌避されるだろう。