BRILLIANT CORNERS-2

観た映画・読んだ本など関心ごとへの感想メインの、なんということのなさすぎる身辺雑記帳です。 少しずつ、いろいろ更新してまいります。 お気が向いたらお読みいただければさいわいです(^O^) ブログのタイトルは、セロニアス・モンクのアルバムから。「すみずみまで光り輝く」というような意味だそうで、なんとなくいいなとおもうもんで。

メガネブラスクインテット

きょうは「メガネブラスクインテット」という金管5重奏団の演奏会を聴いてきた。(仙川アベニューホール 19:00~)

その名の通りメンバー5人ともメガネをかけていた。
といっても5人ともメガネをかけているという点をとくにネタにするでもなくコミックバンドとかではない真面目な5重奏団。
べつにメガネってとこ売らなくてもいいとおもうけどな(^^)

ホルン担当にして紅一点の鈴木希恵ちゃんとは、
学生時代に市民楽団でいっしょに活動していた。
色が白くて笑顔がかわいくて、年のわりにおちついて大らかな性格が
「神々しい」というので、
仲間から「神さま」という 今おもうとザツなニックネームで呼ばれていた子だった。
神さまとか超おもしろい・・と内心わたしもかなりツボだったのだが
あまのじゃくなタチのわたしは ついに一度も彼女を「神さま」とは呼ばなかった。
呼んでみたかった気もする。
いまならみんなはたぶんもう神さまとは呼んでないとおもうから、
わたしだけ呼んでもいいかな(^_^)


今夜の演奏会のプログラムは
テレマンなど1500年代後半から1600年代前半の作曲家の作品からはじまって、
近現代のものまではばひろかった。

すごくたのしかった!
みんなうまかった。びっくりするくらいうまかった。
このくらい吹けたら気持ちよかろう。
金管アンサンブルの良さを存分に味わえた。

前半もよかったけど後半のほうが みんないいかんじに
力がぬけてきたので演奏の質がますます上がったのと、
近現代の受け入れやすいイメージと構成をもった曲目が
おおかったので気楽に楽しめた。

知らない作曲家のものばかりだったが聴いていてたのしかった。

文章でうまく伝えられるかわからないが、たとえばおなじ旋律でも
「らららららー」と演奏するのと
「タタタららー」と演奏するのとでは
聞こえてくるイメージがまったくちがう。
らららららーと演奏するのか
タタタららーとするのかは
作曲家が楽譜で指示をしていて、
奏者はそれをちゃんと認識してそのとおり吹くことがもとめられる。
ソロももちろんだがみんなで合奏するときも
全員がその意識をもってみんな一緒の吹き方をしてはじめて
音楽が美しく成立する。
たかが、らららとタタタのちがいとおもうかもしれないが、
そういうのの区別をくっきりさせることは
その音楽をくっきり描き出すためのだいじなだいじな要素だ。
しかも 自分はやってるつもり!じゃなくて
聴いてるほうにそう聴かせられなきゃ意味がない。
言葉でいうぶんにはかんたんっぽいけれど
実際にはテクニックと曲にたいする理解とがなくてはむずかしい。
タタタとらららを吹き分けるには
タンギング奏法とレガート奏法うんぬんというような
もう数十、数百のいろんな発音プロセスが存在する。
それを一瞬でやるのが楽器演奏だ。
そうかんがえるとなんかえらいこっちゃ!!
結局何がいいたいかというと
きょう聴いたメガネブラスクインテットのみなさんは
すごくその「吹き分け」による表情づけがよくできていた。


ラストはトランペットをもう1人追加して、
スターリン政権時代のロシアで活動していた伝説的トランペッター、
ベーム氏が作曲した、金管6重奏曲を演奏していた。
わたしはぜんぜん知らない人なんだけどベーム氏はドイツ人で、
東欧を中心に活動して最終的にロシアの歌劇場に腰を落ち着けて
演奏をしていたんだって。
ところがスターリン時代に入って起こった外国人排斥運動が
歌劇場にまで累をおよぼし、
ドイツ人だった彼は職を追われ、
シベリアかどこかの強制収容所とおもわれる抑留施設に送られてしまった。
その後、彼がどうなったかくわしくはわからなくて、
1938年ごろ収容所で死亡したと考えられているんだそうだ。
けれども傑出したヴィルトゥオーソだったし、
たぶん人間的にも愛された人だったのだろう、
公式に死亡したとされたのにもかかわらず
「ドイツのオケでトランペット吹いてるのを見た」とか
デンマークで見かけた」とか目撃情報、生存説が
まことしやかにながれたことがあったそうだ。

きっと彼の職場だった歌劇場でも、
彼の解雇と拘束に反対した仲間はたくさんいたんだろうとおもう。
そんな彼の母国ドイツも、ユダヤ人などに対して
同じころに同じようなことをしていたわけで、
このエピソードがMCで紹介されたときは考えさせられた。

そんなヴェーム氏作の6重奏曲、名トランペッターだっただけあって
トランペット泣かせのむちゃくちゃな難曲なのは
聴いていてひしひしとつたわってきた・・
みんなあんまり顔にださず平気そうに吹いてたのはさすがプロだ。
楽譜をめくる動作の必死さや血眼っぷりが一人残らずすごかったけど。

超絶技巧の展覧会に走ることなく曲としてすごく堅実というか、
全体的な美しさかっこよさがちゃんとあるすてきな曲で、
感動的でもあった。





わたしは無論、聴いていただけで 演奏はしなかったのだけれど、
なんだか聴いていたらぽかぽか体があたたかくなってきて、
1日楽器を吹いて過ごしたみたいに体のすみずみにまで酸素がいきわたって気持ちがいいような気分になったのがふしぎだった。



わたしもまた楽器をやりたいなあ。