BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

おきざりにしてきたこと。

死んでしまいたいというよりは、
漠然とただ消えたい、
いなくなりたいというきもちだ。
そのきもちは とてもつらいもので、
つらいきもちにあえて自分をおとすことで
生きていることを実感したい、
つまり 消えたいとおもうことは 
生きたいというきもちの裏返し、
そのように考えることもある。
痛みをともなう行為をすることで 
生きていることを感じたがる、
手首を切ってみたりすることと 
たいしてかわらないかもしれない。

消えてしまったら らくになるだろうな。
そうおもう。
べつに、だからどうするっていうのでもない、
べつに首をつったり 線路にとびこんでみたりしない。
ただそうおもうだけなのだが。

わたしを案じて
わたしが自分のコンディションにあまり頓着がないぶん
ほんとうにまずくなる一歩手前くらいで
ストップをかけようと
いつも見守ってくれる人が おおぜいいる。
心配をかけていてわるいとはおもう。
その思いやりにほんとにすくわれる。
すくわれるとともに、ほだしにもなる。
やっぱりこの人たちがいるから
いま死ぬわけにはいかんなあ とおもわされる。

だが失ってしまったものをおもうとやりきれない。
わたしにはほんとにたえられない。
心に余裕がなかったとはいえ
やさしくしてくれた人の立場をふみにじり、
うしなうことになってしまった。
弁解の余地もない。
あやまつ、って ほんとにつらいし、
すごくなさけないきもちになることだ。
今回のことではあまりにもいろんなものを
ないがしろにしたり
置き去りにしたりしてしまったが・・・

前にすすむことがむずかしい、
ぜんぶ 過去におきっぱなしにしてきてしまった。

手記-其の拾玖(仮題)-20171212-フェイドアウト

2017年12月12日 火曜日。
この日をもって出社をとりやめる手はずだ。


出社とりやめのまえにやること

<必須>
①専務と話す(録音しておく)
 ・休職の規定はどうなっている?
 ・離職票に記載される退職日はいつ?
 ・タイムカードの2017年11月27~11月30日の欄に
  手書きされていた「傷病」というメモの真意

②専務に頼む・・・就業規則書のコピーをとる

③職場の私物・・・撤収

④やらないこと・・・退職の意思を書面などで表明すること

<実行できればなお可>
⑤パソコンのログを抽出
⑥進行中の仕事・・・できうる限り進めて、先輩に申し送り
⑦メール・・・バックアップをとり完全に削除
       バックアップをとったポータブルハードディスクが
       あることを、女性の先輩にのみ伝えておく

③と⑦は11日中にすませた。
やることはまだまだたくさん、むしろ今日こそ
メインミッションがもりだくさんだ。

まずなんにしても、専務と話さなくてはいけない。

この日の午前中、ユニオンのSさんからメールがあった。
「本日、まだ出社されると思うのですが、
 もし可能でしたら、社長か専務に
 『(職場が)裁量労働制なのかどうか』を聞いてみて
 もらえませんか。
 あらかじめここについて会社のスタンスがわかっていると
 対応がしやすいです。録音もお願いします。」

わたし
「はい了解です。16時くらいに専務が出社してくると
おもうので聞いてみます。就業規則の所在と休職の扱いに
ついてもできるだけ 聞き出します。」

・・・
ただ・・・
専務はわたしの質問にちゃんと答えてくれるだろうか。
どのように質問すれば、うまく聞き出せるかなあ・・。
というのも、
Macから「ターミナル」が消えたこと
そして タイムカードの入院・自宅休養期間の欄に
「傷病」とメモされていたことが ずっと気になっていた。

まず、ターミナルはパソコンのログ抽出に必要なアプリだ。
そして、タイムカードの「傷病」は、労務まわりのことに通じている
(といっても会社経営者なら『知っていて当然』レベルではあるが。)
人でなければ、まず自然には出てこない文言に思われる。
ただ病気で休んだということなら、「病欠」あたりが妥当では?

もしターミナルの消失に専務がからんでいるとすると、
専務は労務関係の「(闇の?)処理」に精通していることになる。
ようするに、わたしが未払い賃金の請求を企図したときに
証拠としてパソコンのログを必要とするであろうことを見越して
あらかじめわたしの不在時をみはからい 
わたしのパソコンから「ターミナル」を削除した
・・・かもしれないのだ、ログの抽出を阻むために。
となると、
専務はわたしをかなり警戒しているはずだ。
わたしが就業規則書のありかや休職規定にかんして
この段階で急に わけ知り顔で問いただしたとき・・・、
はたしてちゃんと答えてくれるものだろうか。
のらりくらりとかわされそうな気がするな。
そもそも わたしはこの職場において
頭のわるい、仕事できない子キャラのレッテルが
しっかりと貼り付けられている。
わかったようなことをいきなり言い出せば
あきらかにおかしいとおもわれるだろう・・。

どう切り出そうかなあ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そんなことを思案しながら
仕事を片付けているうちに、午後になった。

MP3音楽プレイヤーのPCM録音スイッチをオンにし、
チャージは十分か、録音はちゃんとできるか確認したうえで
専務に声をかけ、時間をもらった。

わたし
「(退職にかんしての)書面の提出がまだできていなくてすみません。
それに、先月のことではいろいろご迷惑をおかけしました。
じつは先月自分が1週間も休んでしまったことについて
今考えると少し 気になることがでてきたものですから
参考までにいろいろ質問させてもらえませんか。」

専務
「うんいいよ。どうしたの?」

わたし
「はい、急病がケガで仕事ができなくなったときや
連絡がとれなくなったとき、会社はその社員の処遇を
どうすることにしているのかなとおもいまして。
あのとき、わたしは意識がないまま病院に運ばれ、
しばらく会社と連絡がとりにくい状況になりました。
携帯を会社におきっぱなしにして入院してしまいましたし。
今回は、数日だったのでよかったかもしれませんが、
もしああいうことが何日も続いた場合、
どうなっていたのかなと。
病気で何日も入院して仕事に出られないようなときや、
意識がなくって本人の意思がたしかめられないとき、
一人暮らしの部屋で倒れて連絡がとれなくなったときなどは、
会社はその社員を・・・たとえばいったん休職とかいうことに
するのですか?
(うーん・・ちょっと口実としてムリがあるか・・?)」

専務
「うーん、一人暮らしの社員が家で倒れて音信不通っていう
ケースは考えたことなかったけど、
社員と連絡がとれないような状況になったら、
おれだったらまず、
その社員の保証人や実家の家族とかに連絡をとって、
安否を確認するだろうね。身元がはっきりしている人しか
採用しないのは、そういうののためだから。
病気で意識がなくて本人の意思がわからないときや、
ケガでどうしたって出社できないときなんかは、
いったん休職扱いにして、家族と相談しながら先のことを決めるよ。
うちは基本的に病気とかで休んでもその月の給与は全額出すんだけど、
さすがにずーっとそうしてるわけにもいかないって話になるからね。」

わたし
「(よかった、食いついてくれた・・)
『いったん休職扱い』にするのですね。
その場合、たとえば
『基本的に毎日1回は、本人かその家族が専務に
連絡を入れなくてはならない』みたいな、
『休職のきまり』的なものは設けているんですか?
わたしみたいに、倒れて病院に運ばれたことはわかっていても
そのあとぜんぜん連絡がとれない、
というようなことになったのは
大丈夫だったのでしょうか。
入院した夜、わたしの母が『連れて帰る』と主張したものだから、
専務は、わたしから連絡があるまで、わたしが帰宅したとおもってたと、
このまえおっしゃってましたしね。」

専務
「休職に関してそんなに厳格なルールみたいなものは
設定してなかったとおもうよ。
まあ仕事していくうえでどうしてもその人に聞かないと
わからないようなことがあったら 会社から電話して
聞かなきゃいけないだろうから、そういうとき連絡がとれるように
しておいてほしい、とは 休職者に伝えるだろうけど。」

わたし
「(設定してなかったと『おもう』、ってなんだよ)
そうなんですかー。ところで、休職とか連続欠勤についての
ことって、就業規則で定められているとおもうんですけど、
会社の就業規則書ってどこにあるんですか?
またなにか 急病やケガで出られなくなったりしたときが
怖いので、就業規則をコピーして家でよく読んで、
やすんでも会社に迷惑をかけないように備えたいんですが。」

専務
就業規則、ここにはないよ。実家のどこかにあるとおもうけど」

わたし
「(ここにはない、だと・・? 就業規則は事業所に必携、
 社員のだれもが読めないと、違法じゃなかったか・・)
あらら、社内にないんですか。見たかったのですが。」

専務
「うん、ここにはない。(キッパリ。)」

わたし
「もう少しいいですか。退職日のことなのですが・・
わたしの書類上の退職日は、仕事納めで忘年会がある
2017年12月28日でよいのですよね?
つまり、離職票に載る退職日のことですが。」

専務
「えーとね・・・うちは20日締めだから・・
いや、離職票には2018年1月20日となるはず。」

わたし
「(ことさらびっくり顔で)え、来年の1月ですか?」

専務
「来年の1月20日だよ。おふくろ(社長)からも話があったと
おもうけど、28日って締め後でしょ。だから本来は
締め前の12月20日で退職でもいいんだけど、忘年会あるし、
それに年末進行で忙しいから、できれば最後まで働いてほしい。」
「もっとも、体調も万全じゃないだろうから、
遅くでてきたり、必要なら早退したりしてもらっても
べつにいいんだけど。できればね。」
「で、締め後退職だから、本来こういうときは、21日~28日の
日割りで給与を出すんだけど、計算がめんどくさいからさ、うちは
1か月分ぜんぶ給与だすんだよ。締め後退職のときはいつもそうしてる。」
「でも、書類上の退職日は、来年の1月になるよ。だから12月28日から
来年1月20日までは有給消化ってことで。」
「でも・・・そうだったとおもうんだけど、自信ないな。
おふくろに確認して、1月20日じゃなかったら、知らせるよ。」

わたし
「(そうだろうなとおもったよ・・・)
そうなんですかー、ずいぶん手厚いのですね!
正直たすかっちゃいます(シレっと。)」
「これでかなりすっきりしました。
あ、もうひとつ聞いておいてもいいですか。
うちの職場って、労働形態としてなにを導入しているんですかね。
みなし労働時間制とか、裁量労働制とかそういうのありますよね。
定刻は決まっていますが、みんな時間通り来ないですよね~(笑)
でも、みんな、遅刻してもなにも言われてないから・・・ 
どういうシステムなのかなーとちょっと 思いまして。
裁量労働制ですか?(切り込みかたがすこし乱暴かな?)」

専務
「えーとね 毎月このくらいは残業するだろうという時間を決めて、
その分を固定残業代として払うっていう。
その分より少ない時間しか残業しなくても固定残業手当はだすけど、
その分より多く働いても、固定残業手当以上は出しませんよっていう。
こういうの なんていうんだっけ。裁量労働制だっけ?」

わたし
「(みなし労働時間制だとしたら みなし時間分を超過して残業したら
そのぶんは別途残業代支給、じゃないと違法では・・・? あと
『なんていうんだっけ』ってなんだよ。)
急に聞かれても専務だっておわかりになりませんよね(笑)。
でもこれも、就業規則書にはちゃんと書かれているんですよね?」

専務
「うん、就業規則には全部書いてあるはずだよ。」

わたし
「でも就業規則書 会社にないんでしたね(笑)」

専務
「うん、ここにはない(キッパリ。)。」

・・・・・・・・・・・


ミッション①の結果。

①専務と話す(録音しておく)
 ・休職の規定はどうなっている?
  →とくに厳しいものがあるわけではない 
   社員の状況を見て柔軟に決めているようだ
 ・離職票に記載される退職日はいつ?
  →2018年1月20日でほぼ確実
 ・タイムカードの2017年11月27~11月30日の欄に
  手書きされていた「傷病」というメモの真意
  →確認していない
 ・裁量労働制か?
  →わからない。話の内容を総合したかぎりでは
   みなし労働時間制であることはたしかのようだ。
   しかし、「固定残業手当分(および所定労働時間外分)を
   超過した分の残業代は、払わない」
   という意味のことを言っていた。
   これは考えようによってはおかしい。
   みなし労働時間制(裁量労働制もこの一種だ)の場合、
   所定労働時間(毎月このくらいは働くよね、と社内で定める時間)
   を超えた残業代については、別途支払わなくちゃいけないはずだ。
 
・・・

タイムカードに手書きされていた「傷病」という文言の意味を
確認したかったが、ここまで聞き出すのに時間がかなりかかり、
さすがにめんどうくさがられるかなとおもって、やめた。
しかし、もうあえて確認しなくてもいいかな、とも。
感触としては、専務は、どうも労務にあまり詳しくない。
就業規則書を会社に置いてない」なんて
あきらかに違法とわかる事実を
こうもきっぱり言い切ったのが なによりもの証拠だ。
なぜ「傷病」なんて専門的なワードを遣ったのかわからないが
警戒レベルをすこし引き下げてもいいような気がしてきた。
いや、素人判断は禁物か。
ターミナルがわたしのパソコンから消えたのは・・・?
これはほんとに謎だ。
いったいなんなんだろう・・・

・・・・・・・・・・・・

そのほか、本日のミッションの結果。
②専務に頼む・・・就業規則書のコピーをとる
→できなかった、なぜなら就業規則書が会社にないからだ!

④やらないこと・・・退職の意思を書面などで表明すること
→問題ない。

⑤パソコンのログを抽出
→実行したかったが、仕事が忙しすぎてできず。

⑥進行中の仕事・・・できうる限り進めて、先輩に申し送り
→実行した。

・・・・・・・・・・・・

1時間ほど残業をして退社。
タイムカードの写真を撮り、ユニオンのおふたりに送信。
おふたりには、本日をもって出社をとりやめることを報告した。

明日13日、ふたたびユニオンさんと面談を行い、
さっそく会社に 団体交渉の申し入れをする予定だ。


・・・・・・・・・・・・

ところで、
この時期のわたしは いま考えれば
一種の過集中の状態にあった。

退院→復帰後まもないころは、体調が悪く頭もまわらず
ひどくぼーっとしていて、とにかくだるかった。
しかし、G夫妻の懸命の説得と
ユニオンさんへの接触がきっかけとなり、
なにをすべきかがはっきりしてくると、
自分の頭でものが考えられるようになり、
・・たとえば専務と話しながら次の話の切り出しかたを
思案したりといったような・・いくらか複雑な思考も可能になった。

さらに、
仕事に行く前にも、退社したあとにも、予定をぎっしり詰め込んだ。
21時すぎから友人と会って何時間も話をしたり、
自習室やネットカフェなどにいって飽かず本を読んだり
何かを書いたり、そんなことを連日やっていた。

食事をとらずとも、夜眠らずともまったく疲れを感じず、
夜更けても朝がきても、「次」のことを考えていた。

出社をとりやめて、団体交渉の準備を始めてからは、
都内の図書館・・・とくに国会図書館
朝から晩まで通い詰めるようになった。
自分と同じようなケースで 会社と闘って
勝ったとか負けたとかいった・・・
労働審判判例記録が ないかなと考えたのだ。
国会図書館では、だれでも、国内の民事・刑事裁判の
判例記録を探して読むことができる。

とにかく動き、考えに考えた。
それによって、ほんとうにいやなことを
心から追い出そうとしていたと感じる。
ほんとうにいやなこととは、
上司の恫喝の記憶だった。
わたしはもうあれを 思い出すのがいやだった。
なにしろイヤでも思い出す。そうしてひどいと倒れる。
失神して倒れるとあっちこっち体をぶっつけて痛いし、
なにより、あのつらかった日々のことを
あたかも今このときのことかのように
追体験させられるのが イヤでイヤでしょうがなかった。
べつのことを考え続けてさえいれば、あの記憶が、
ほかのことを考えているという事実に免じて
わたしのことをほうっておいてくれるような 気がしていた。


けっきょくミケランジェリに帰ってくる-180328。

ベネデッティ・ミケランジェリ
自分のコンディションとか環境がどうであれ、
彼の演奏はすき。
還りたくなる演奏家

録音の残りかたは、移り気で散漫。
あったりなかったり
録ってたり録ってなかったり
そろってたりバラバラだったり
そして異常といってもいいほど 
せまいレパートリー。
そんなところがまた らしいというか、
気にしいで神経質で完璧主義なくせに
ポヤ~ンとした印象で すきだが・・。
ドビュッシー前奏曲
(第1集、第2集でひとそろい)も
第1集は容易に入手できたけど、
第2集が、みつかりにくいという
よくわからないことがおこり、
困らされたことをおぼえている。


www.youtube.com

 

これは第1集、78年の演奏だそう。
CDもっているんだが(下のリンクのもの)
オフィシャルかな、これ。
なんとなくあやしい。
ミケランジェリは 
海賊版も多かったときく。

goo.gl


かつて動画共有サイト
このラヴェル
ピアノコンチェルトの演奏動画に
初めて触れたときには、うちのめされた。

www.youtube.com


会社で徹夜した日に
もう自分以外にだれもいないんだからと
ヘッドホンをはずし、
洪水のような大音量でこの曲を聴きながら
仕事をしたことをおもいだす。

オーケストラは 
微妙・・・といったところか。
しかし、グルーヴ感みたいなものと、
指揮者がミケランジェリによせる信頼、
まんざらでもないミケランジェリ
そんなかんじのことが
あたたかく伝わる演奏なのが、良い。
スピード感もこのくらいがちょうどいい。
ピッコロとトランペットが
ギリギリのラインで
ふんばっててかわいらしい(^^)
もっとメジャーなオケでも、
もっと退屈で、
戦意の感じられない演奏をしている盤を
いくらでも聴いたことがある。

ミケランジェリのピアノの音は 
こんなにやる気なさそうに弾いてるのに
どこまでもすきとおって、
ここちよく冷たい。
でも硬さや重さとは無縁、
するするとのびて、
うつくしい。

ただ この動画は 
彼の晩年のものとみられる。
たしか90年代の中ごろ亡くなったはずで、
90年代初頭のコンサートが
最後になった と聞いてる。
この動画は 82年とある。
すばらしい演奏で 
わたしはすきだが
彼の若いころの演奏を聴くと
音のハリが・・・残酷なほど
あきらかにちがう。
もっとはずんでいて、キレを感じる。

さきにのべた ドビュッシー前奏曲で、
60年代の演奏動画があった。

www.youtube.com


粒のそろった
硬質な音色がめだちます。
ルバートをあまり
意識してないかんじだろうか。
若いころは 
いくらか意欲的なアクションで
弾いているようにみえる。
78年の同曲の動画でも 
82年の ラヴェルの動画でも、
こんなふうに前傾姿勢で
弾く姿なんて 見られない。

晩年にいたり体はどうしても弱るので
ハリのある音や疾走感を
前面に押し出すことは
むずかしくなった一方で、
むしろ力は いいかんじに抜け、
どこまでも広がり のびやかに歌う演奏を
獲得していったのだろうと。

小休止-20180326

以前、自分なりに考えてみた結果 
おもいあたったことなのだけれど、
わたしは心身ともに堕ちれば堕ちるほど
多少ましなものが書けるようなのだ。
だからいまのうちに書いとけと おもわなくもないが
なんといっても体が言うことをきかないレベルの場合
これは どうしようもない。
今夜はこれで、もうおしまいにするつもり。

このところ、読書に 関心がない。
書店に行ってみても、
自分がすきなかんじの本を出してくれることが多い
出版社のサイトを見ても、
食指がうごかない。

でも、本を読むことしか基本的に知らない、というところがあるからか 
やっぱり なにか本があってくれないと おちつかないようだ。

それで、週末、図書館に行き、何冊か本をかりておいた。
ふだん、まず読まないような たぐいの本を 中心に。
トルストイのクロイツエルソナタ(これはだいすき。)のほか、

働く、生きる、生活する、ということに悩む
現代のビジネスパーソンに向けた
ごくライトな哲学本、
自己啓発本
故・日野原重明さんのメディカルエッセイ、
スリランカ最古の叙事詩、「マハーワンサ」。

さいごのやつ・・。
まあ なんか・・ いまなら 
入ってくるかもしれないなとか おもって・・

音楽も 関心がうすいが
あまりこのところきいてなかったものをきいている。
ピストルズやレッドホットチリペッパーズ、
グランドファンクをひさしぶりに。
あと、シューマン
すごくいいようにおもう。花の香りがするみたいだ。





手記-其の拾捌(仮題)-20171211AM-2~20171211PM

2017年12月11日(月曜日)
午前 出社前 
NPO法人POSSE 労働組合総合サポートユニオンさん 
面談 初回(都内事務所)。

総合サポートユニオンの組合員おふたりのことは
以後 Sさん M子さん
または ユニオンのおふたり、と呼ばせていただく。

退職後傷病手当金の受給条件を確実に満たした状態で
退職したいと考える自分にとって
退職日(離職票に記載される、書類上の退職日)は
非常に重要だった。
会社に退職の意向をつたえたときにうけた、会社のリアクションでは、
その部分が不明瞭だったため、心配であった。
ユニオンのおふたりに相談したところ
おそらく 書類上の退職日は2018年1月20日と思われる、
やはり 会社ともう一度話して明確にしておいたほうがいいと言われた。

やっぱりそうだよなーと 考えがかたまったところですこし安心し
相談をさらにつめていった。

わたしの場合は 
働けなくなった原因が病気である
(辞めたあとすぐ働けるような状況ではない)
未払いの残業代がかなりあるとみられること
おそらくその請求が可能である
さらに
今回の問題の背景に およそひと月にわたった
上司による度を越した叱責、つるしあげがあった

働く人が、労働のことでこまったとき、相談できるおもな窓口として
労働基準監督署
労働審判
労働組合員となって団体交渉をおこす
の3つが考えられるが

①は無料であり、公的機関のため動いてくれれば会社にとって相当な
 プレッシャーとなるものの 
 そう簡単に動いてはくれず、ハラスメントの相談は管轄外
②はきわめて迅速(原則3回!)かつ比較的安価に終わるが、
 小規模でも裁判であるから、証拠監査が厳密であり、
 しかも勝てる保証はない。
 勝てない(得られるリターンが支出をしたまわる)試算の場合
 代理人側が「これは損なだけだからやめたほうがよい」と
 言ってくることもある。
 また、未払い賃金の請求など 額の算出に必要な証拠資料が揃えやすい
 案件の訴えには向いているいっぽう、ハラスメントなどの
 デリケートな問題、証拠審査がむずかしい問題には
 「3回で解決」という原則のある労働審判は、向かない。
・・・
これらの理由から、

・ハラスメントを含め労働まわりの問題はなんでも対応してくれる
・労基署や労働審判では通らないかもしれない微妙な証拠資料でも
 交渉次第でじゅうぶん有利にはたらかせられる
・あきらめなければ勝てる可能性が高い
③の道を選び取った。

会社を相手取り、
・未払いの残業代の請求
・激務要因の急病、入院→退職であるため賃金保
+のちに、上司のパワーハラスメントについての
 謝罪の要求と慰謝料の請求
これらの要求をまとめて行っていくことに 決定。

ユニオンのSさんは、ホワイトボードに今後の交渉フローを
書き出していきながら、
「われわれも未払い賃金と賃金保障もろもろひっくるめた
 フルコースバージョンは ひさしぶりにやります(^^)」
と笑っておられた。

ところで、
わたしもこうなるまで知らなかったんだけれど・・・、

労働組合って、会社のなかで結成されているもので、
賃金上げろ!みたいなことで 春になるとワーワーやってる的な
みんなでおそろいのハチマキつけて・・・的な
そういうイメージがなんとなくないだろうか。
実際には、もちろん会社のなかで結成されている労働組合
たくさんあるが、
こうして どこの企業にも属さない団体もある。
べつにハチマキとかしめてない(^^)
1人でも、入会できる。

・・・
このように 団体交渉申し入れの方向がきまったところで、
ユニオンのおふたりは
次回の打ち合わせまでに、
会社に送る団体交渉申し入れのための書類をそろえておいてくれること
わたしがこの日 持参した雇用契約書や給与明細をもとに
未払いの残業代の試算をだしておいてくれること
を約束してくれた。

わたしは、
やはりいまのところは退職届などの書面はいっさいださずに
(つまり いずれ辞めるけれど手続き上は宙にうかせておく)
集められるだけ証拠を集めて 出社をとりやめること・・・
わたしにいま集められる証拠とは
・取れれば、パソコンのログ
・出社とりやめまでの今後幾日かぶんのタイムカード
就業規則

ほんとうは、上司にうけた叱責の内容がわかるような
日記や業務日報、録音データなどがあればなお可。
M子さんからは、
「いまからでも、ボイスレコーダーを1日中、オンにしておいた
ほうがいいですよ。いつなにを言われるかわからないので」
と言われた。
だが、先述してきたとおり、
上司のストレスやイライラの原因となっていた
仕事は、わたしが復帰したころにはちょうど終わっていた。
そのため、さいわいわたしは まえのようにひどく 
どやされることは いっさいなくなっていた。
彼の怒声の録音をとったりすることは
たぶんないだろうな、とおもった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2017年12月11日(月曜日)
午後 出社

この日、専務に就業規則書のありかなどを教わり、
コピーをとらせてもらおうと考えていたが、
専務は終日外出とのことで、話すことができなかった。

ついでに、
またそれかい!というかんじなのだが
仕事がいそがしい!!!
同僚や上司は 専務から
わたしを早く帰らせるようにときつくいわれているようで、
やれ 定刻に帰れ、いま帰れ、すぐ帰れと
内線で言ってくるのだが、
帰れるわけないだろこれで!
わたしが終わらなかったとき
かわりにできる者がいないだろ!

そんなわけで、きっちり最後まで勤務。
しかし、定刻前30分間、なんとか時間をつくり、
私物を完全に撤去。
ポータブルハードディスクにバックアップをとった状態でメールを全削除。
パソコンのログ抽出にトライ(「ターミナル」相当の無料ツールを
ネット上でさがしてみたが 海外製でマニュアルも不十分なようす、
今日中の作業完了は断念)
タイムカードを携帯電話のカメラで撮影。
で、退社した。

奇妙なほどきれいに片付いてしまったわたしのデスクをみて
隣の席のデザイナーさんは
「あれ、でも、まだ退職じゃないんでしょ?
ずいぶんきれいになっちゃったね」。
「ちょっときれいにしようとおもったら
大掃除になっちゃいました(^^)」
・・・
大丈夫だ、うそは言っていない(^^)

出社とりやめは、明日だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰りの電車を待っているとき、
わたしの教育係を担当してくれた女性の先輩と 居合わせた。
彼女には、うちあけた。
わたし
「あしたをもって、会社に来るのをやめようとおもいます。
いろいろ考えたんだけど、この会社、かなりおかしい。
ほんとはこういう・・・きれいじゃない辞めかたは
したくないんだけれど、
正直言って 身の危険を感じてる。
どこまでできるかわからないけど、自分なりに戦って、
受け取ってしかるべきものを 受け取る権利だけは
回復させたい。」

先輩
「当然だね。倒れたんだからね、なんていったって。
でも、残業代の請求だけはムリだとおもうな。
請求するつもりならの話だけど。」

わたし
「・・・
あさってから、ふっつりこなくなるから、
〇〇くんとか△△さんの仕事、わたし、できないから、
いろいろ迷惑かけますけど、
データ収集とか、いまの段階ですませられることは、
ぜんぶ終わらせてから消えますから。
わるいけど、しばらく わたしと会社のみんなとの
陰の窓口になってください。申し送りをしますから。」

先輩
「安心してフェイドアウトしていいよ。
わたしもさ、今回のことで、会社のクソなところ
再確認したから。もうほんと、辞めたいって気持ちしかない。
春までに、辞めるわ」
「っていうかわたし、専務がだいっきらいなんだよね。
もう顔もみたくないよ。Yちゃんは、部屋が別だから
聞いてなくてよかったとおもうけど、
あいつは、ほんとにYちゃんが入院してるあいだずっと
Yちゃんが休んでいることの悪口をいっていたし、
いまでも言ってるよ、なにかと。」

わたし
「でも、先輩辞めるっていったら ぜったいものすごく
慰留されますよ。引き留め作戦とかにでてくるかも。」

先輩
「いいんだよ。そうしたら、『あ、そういうことするんですか~
だったら なおさら辞めまーす』っていって、退職届たたきつけて
辞めてきちゃえばいいんだからさ(^^)」
「まあわたしは健康だから病気とかぜんぜんしなかったし、
残業代とかもすくなくともここ2年は 請求するほどないしね(^^)!」

わたし
「先輩は、『神童』だもんね(^^)」
※この先輩は入社当初から能力の高さをみとめられ
 「神童」と称されたという 逸話の持ち主だ。

先輩
「そうだよ、『神童』(^^)。」

・・・
わたしはこの女性の先輩と 
プライベートでも親交があるからわかるのだが
このように、わりと「言うこと言うし、やることやる」タイプに見えて、
じっさいはわたしなんかより ずっと「気にしい」であるし、
とても「女の子っぽい」ところがある人だ。
たとえば ひとりでお店にはいって食事をするみたいなことがいっさいできず、
周囲になにか理不尽なことをいわれたとき、言い返すという発想もない。
ストレスの許容量がわたしなどよりずっとあるのか、はたまた
自分に合ったストレス発散の手法をしっている(ゲームとか!)
からなのか、ちょっとよくわからないが、
わたしは彼女が けっこう繊細で、
気が優しく、妙なところでもろくもあることを知っている。
上記のように 強気っぽいことを言っていても、
内心 わたしを気遣って いろいろと
がまんしてくれるつもりなんだということくらいは、感じた。



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同日、夜。
東京近郊でG夫妻とまちあわせて、
きょうのユニオンさんでの初回面談の結果を
報告した。
すでに 自分にできることはさだまってきており
この件にかんしての話はそこそこに
3人で夕食をたのしんで、おわかれした。

たしかこのときも、おくさんに
「Yちゃんは、起こっていることの内容や
想像できる心の状態からかんがみても
元気すぎる」
と指摘された。
本来もっとがっくりまいっていてもおかしくないのに
テンションが高すぎるということだ。
わたしもちょっと、そういうかんじはしていた。
しかしながら、自分ではどうすることもできない。
そのうち、がくんと「落ちる」ときがくる、ということですね・・・
と不安がるわたしに
「そうだけど、でも大丈夫。わかっていれば、対処できるし、
ああ、くるべきものがきたんだなと、思うだけだから」、
といって、笑ってくれた。











ほぼ寝てた日曜日

きのう 外出時に体調を崩してからおちつかず
外出予定をほとんどとりやめて家で寝てた。
近所をすこし散歩はした。

帰りに図書館に寄った。
クロイツエルソナタ光文社古典新訳文庫で読んでみることにした。
でも まえに(トルストイじゃないが)誤訳だらけだと
評判になってたのは あれはこの新訳文庫の話だったか。
スタンダールの訳がひどすぎるって、学者さんからクレーム。
その学者さんが批判のなかで提出した誤訳リストを、わたしも読んだ。
それが載っている「スタンダール研究会会報」が
PDFでダウンロードできたので。
(わたしは 言っても 普段そ~んなにはスタンダールに興味ない。)
仏日辞書を使って 誤訳といってもどの程度なのか
自分なりに考えてみたりしたものだ。結果、意訳にしても
いいわけできないまちがいも かなりあった。
訳者が、たのしくなって、調子にのっちゃったのかも(^^)
批判をうけて、編集部は、みずみずしい新訳で読者からは好評です~
とか いっていたんだけど、
オレンジ味のゼリーを購入したのに
オレンジなのはパッケージだけで 中身はみかん味で
でも「みずみずしい」からいいか!とは
わたしは ならないような気がする(^^)
それでもいいと読者がほんとに言ったのだとすれば、
その読者の「そのあと」を知りたいし、訳者の考えも 知りたい。

聖書の話だが、あれは もとは
旧約はヘブライ語アラム語
新約はたしかギリシャ語で書かれたものが
各言語に翻訳されたと記憶している。
翻訳していくなかで、どうしても
原語のこれに相当する表現が 日本語にはない!、
そういうことってあったとおもう。その問題をどうするか、
訳すと、原語とどうしてもちがうものになる、という事実を
どう考えていくか、っていうことって だいじなことだったはず。

それは聖書にかぎらず、
翻訳ものや 古典文学の現代語訳ものを 読む、あつかううえで
気にするべきことだ。
もし、なんの疑いもなく、出されたものを 
わ~ みずみずしい、わかりやすいとうわっつらだけ楽しんで、
それがその作品のすべてと 考えるとすれば つまらない。
いろんな訳が用意されているならば それぞれに親しんで、
おなじ場面のはずなのに表現がこれだけちがう・・・
といったことをおもしろがってみたりし、
自分なりの その作品の世界を作り上げ、
深めることは せめて試みるべきじゃないか。

小休止-手記にからむ-20180324

倒れるほどまでにまいってしまうまえに
さっさと辞めてほかの場所をさがす
そんなふつうのことができなかった。
上司に連日 怒鳴られても なにも言い返せなかった。
なにもかも遅すぎるという段階になってはじめて
いろんなことにきづいた。
周りの人にたすけられ やっと動き出せた。
ひとりではなにもできなかった。

それは、
ひとえに 自分が馬鹿者だからだと。そうおもってきた。
いまもなにかというと、そうおもって
慙愧の念に堪えないおもいがする
わたしが会社と闘ったことなどはしょせん
負け犬の遠吠え。
「できる人」は、そもそもこんなことにはならないのだ。

けど、ユニオンのおふたりや周囲の人びとが
何度も何度も この手をとるようにして
ひとつひとつときあかし はげましてくださった。
そのおかげで、
「自分が馬鹿だから、じゃなかった」ということを
理解するようになってきた。

このことは、わたしの自尊心の回復とか、
ちっちゃなことに、とどまる話ではない。
広く、わたしと似たようなことで
悩んでいる人の 問題解決の端緒となる
重要な考えかたなのではないか。

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かなしいほど 体も心も 思うようにならない。
そこそこの目に 遭ったにしちゃあ、
ずいぶん元気なほうだが、
いつなにが起こるか読めないところもある。

きょうも電車を途中下車し
1時間以上も手洗いに籠城。
ちょっと前までは元気に東京の街を歩いてて
夜からは地元でおこなわれる
ライブを聴きに行くことを たのしみにしており
先に会場に行っていた友人に
もうすぐ行く的な連絡まで 入れてあったのだが。

抜け出したかとおもえば また別の長いトンネル
そんなことをこれからも何回もくりかえすのかな。

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津島佑子の「ジャッカ・ドフニ」 文庫がでていた。
「狩りの時代」も読みたい。
だが現実には 体力気力がなく短篇ばかりを 読み散らかしている。
作品がわるいといっているわけじゃ けっしてないが
なんだか本の内容が心にひびかない。めっきり読まなくなった。

おもえば世界に色がない。音にも色を感じにくい。
まったくないわけじゃないが 鮮烈さにかけるようだ。

桜が開花したことをしらず
そもそもそんな季節であることにも とりたてて関心なし
おまえはいったいなにをみているんだと
なんでそんなに なにもわからないんだと
このまえ、友人に あきれられた。