BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

ゴンチャロフ

ゴンチャロフの『平凡物語』を読んでいる。中学か高校の時に読んだけどあまりよくわかってなかった。全然おぼえてなかった。こんな場面あったっけ、って思う。バリバリの都会派ビジネスマンでリアリストの叔父と、田舎育ちのおぼっちゃまで純朴な作家志望の甥っ子、というコンビの物語だということくらいはわかっていたが、そのくらいだった。とりあえず図書館の分厚い世界文学全集みたいなのに載ってるやつは高校まででひととおり押さえよう、みたいな気持ちで読んだなかの1作だったかもしれない。ほかに『断崖』と『オブモーロフ』ってのがあって、このみっつでゴンチャロフの3部作という扱いになってるはずで、それらも読んだ。そういう、自分のなかでのキャンペーンを張って、興味関心よりも課題のような感覚で本を読むということをやったことが、たしかに昔はよくあった。

当時はよくわかってなかった。今読むとおおいに楽しめる。「君みたいな男は、田舎にいたが良かったんだよ」みたいな、翻訳の独特な言葉遣いがいい。物語じたいも、今読むとおもしろい。何ということもない話だけど。