BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

役所/駅前で見かけた人

役所でなんらかの手続をすませて、帰る時、
たいてい、快く軽い気持ちだ。

「自分は『きちんと』やっている」
「社会に参加している大人である」
自治体に確かに存在を認知されている」
「安全である」
という感じが 混ざった気持ちだと思う。
今のところ、たいていそういう気持ちになる。
手続の種類にもよるかもしれない、
もしかしたら。
手続と言っても実際のところ別にたいしたことはしていないのだが。 

 

 

今朝 駅前の、広くなっているところで
宗教団体の人たちが
パンフレットラックを置いて 伝道活動をしていた。
若い女性がひとりいて 
あのメンバーのなかで、びっくりするほど目立っていた。
パーマをかけてダークブラウンに染めた
室井佑月さん風の短い髪
しっかり出した耳元にゴールドの小さいイヤリング
お顔にきちんとお化粧
淡いオレンジ色のセルフレームのメガネ
ダークカラーのジャケットに
黒のミニスカート、黒のタイツ
メガネにあわせたオレンジ色のエナメルのハイヒール
という姿だったのだ。
驚いた。
というのも
あの団体の人たちはわたしが知る限りどなたも 
服装がいつもきわめて質素で、
露出がすくなく、地味なのだ。
それに、トレンド感がないというか、
その装いのまま30年前、40年前の
同じ場所にタイムスリップしたとしても
違和感がないだろうなと思うような
いでたちである、というイメージが
わたしのなかでは定着している。 
たとえばこの季節なら
男性はスーツ、というより「背広」。
女性は帽子、オーバーコート、
ノーカラージャケットに膝下スカート
濃いめの肌色ストッキングに
黒か茶色の、ヒールの低い、パンプスが多い。
おばあさん→お母さん→孫娘へのお下がりも
普通にありなんじゃないかとおもうくらい
「いったいどこでその服を入手されたのですか」
的なものを着ておいでのことも
めずらしくない印象だ。
今朝も、あの女性以外はみんなそういう服装。
あきらかにただひとり彼女だけが、全然違う感じだった。

とてもおしゃれで 
なんといっても 彼女に似合っていて、目をみはった。

あの団体のメンバーのコミュニティにおいて
ああいう感じの人も、アリなんだなあ。
服装に明確な規定とかはなく
単に地味で質素が美徳・・・という空気があって、
それを 誰が言い出したというわけでもないが
忖度しているだけ、ということなんだろうか。
だとしたら彼女だけあんなに華やかで、
団体内で悪目立ちしたり あの人ちょっとねえ、と
陰口いわれたりしていないんだろうか。

とにかくわたしの目には あの女声は
素敵でカッコ良くうつったな。

もしあの人にパンフレットを差し出されたら
0.001%くらいの確率ながら
うっかり受け取るかもしれない。
メガネ店かスーツ店のチラシだと思って。