ああ。トルフィンが荒んでいく。
ノルド語の通訳の男が
上官が話すフランク語をそっくりそのまま
完全コピーで伝えていたのがおかしかった。
日本語のアニメであるから
フランク語もノルド語ももちろん全部
日本語で表現されるのだが
(『ドリフターズ』みたいに
新しい言語体系をわざわざ作って
声優に覚えさせてしゃべらせて
日本語の字幕をつけて放送するというような
けったいなことをやるアニメもたまにはあるみたいだが)
例えば上官がフランク語で
「あの川は急で、我々さえも手を焼いているくらいなので
まさか敵がそこから攻めてくるはずはない」
と話せば、
通訳はトルフィンにそのまま
「あの川は急で、我々さえも手を焼いているくらいなので
まさか敵がそこから攻めてくるはずはない」
と伝えるのだ。
こんなこと、おかしいと思う。
別の言葉なんだから。全く同じ表現はできない。
「敵は川からはこない、流れが急だからありえないと
彼は言っている」
その程度にしておけば必要十分だし、自然だったと思う。
すべて日本語で表現しているだけに
完全コピーはさすがに不自然に聞こえすぎた。
何もまったく同じことを言わせなくても良いのに。
芸が感じられず、ちょっとがっかり。
アシェラッドの誓いの立て方は、
「全能の神オーディンの名において~」
「全能のオーディンの名にかけて~」
「我が祖アルトリウスの名にかけて」
「アルトリウスの名において」
大きく2つに分かれるな。
トールズの決闘の申し込みに応じたときは
「オーディンの名にかけて」、
事前に交わした約束を、反故にした。
ビョルンが起こした事態を収拾するために、
やむをえなかった部分もあったように見受けたが。
だが、トールズの遺言を聞き届けたときには改めて
「アルトリウスの名にかけて」、速やかに兵を引く
と約束し、その通りにした。
きっと、本当に約束を守る気がある時、
やり遂げようとすることがある時には
母方の先祖、アルトリウスに誓うのだろう。
父方の信仰の対象であるオーディンではなく。
自分のルーツは母方の高貴な血筋にこそあるのだ、と
アシェラッドは考えているんだと思う。
すごく複雑で、難しい人物だ。