BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『海獣の子供』『プロメア』-190902。

※ネタバレというほどのことは書いていません。



海獣の子供
英題:Children of the Sea
渡辺歩監督
2019年、日本

f:id:york8188:20190702230354j:plain

www.youtube.com
大胆にして緻密、饒舌な映像表現に圧倒された。

言葉によってこの映画を解釈しようとすることに、
はたしてなんの意味があるのかと思ったほど、
映像そのものが、心に直接呼ばわってくる映画だった。
それはとても声高だった。
また、潮の、生き物たちの、なまなましいにおいや、
肌触りの現実味。
しかもひとつところに停滞しているのではなく、
絶えずうごめき、ものすごいスピードで
スクリューのような軌跡を描きながら循環しているような
いや・・・なんかだめだな、正しく言えてる感じがしない。

ともかくわたしの狭量な感受性ひとつでは、
受け止めきれないものを、伝えてきてたように思う。
観てて、何か、強烈な感情が沸き起こり、さかまくのだが、
その感情に、名前を付けることができなかった。
それがわたしにとって一番の問題だった気がする。
かなしいんじゃないし、うれしいんでもない。
感動しているのかもしれないけど、
何への感動かと聞かれたら、答えられない。
観終わったあと、しばらく席を立つことができず、
しまいに、なんだか気分が悪くなってきて、
手洗いに駆け込み、戻してしまった。
映画観るだけで、体に変調をきたすなんて、
3D映画を観たときだって、ここまでのことにはならなかった。

本作を観るときは、心や体のコンディションが
万全なときを選ぶことを、どなたにもおすすめしたい。
ネット予約で席をとってあっても、
当日カゼをひいたとか、寝不足とか、悩みごとがあるとかなら
観るのは他の日にした方が賢明だと思う。
わたしのような者でさえ、この通りであるから。

この映画は、また日を空けて、何回も繰り返し観たい。
一度に全部受け止めようとか、理解したいとかいう考えは捨てて、
ムリをしないように、少しずつ少しずつ、
映画が語りかけてくることに、耳を澄ませてみたい。

・・・

『プロメア』
英題:PROMARE
今石洋之監督
2019年、日本

f:id:york8188:20190702233119j:plain

www.youtube.com

この映画、ずいぶん評判がいいようだが、
ダメだろこれは。2時間が苦行でしかない。

全24回の連続アニメシリーズとして発表すれば
もしかしたらおもしろいのかなと思うけど
長編映画でやる話じゃないと思う。

情報をつめこみすぎており、整理もなされておらず、
効果音がやたらとやかましく、
映像は動きがでたらめすぎて何をやってるのかわからず、
キャラクターの誰にも、共感することができない。
ストーリー展開、臨場感を伝えてくる効果音、
躍動感ある美しい映像、魅力的なキャラクター、
どれも、映画を楽しむのに必要な要素のはずなのに、
この映画では、映画を楽しむことを、
これらがむしろ、阻んできた。
音がなー。
うるさいんだよ。
耳障りなだけだった。

よかったのは松山ケンイチの声とSuperflyの主題歌。

完全オリジナル作品っていうことの心意気は買うが。
この映画の何が良くて、みんなそんなにほめるのかな?