BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

アニメ「ドリフターズ」13~14話/セリフのニュアンス-190318。

ドリフターズ」アニメ版の
13話、14話を
ぼけーっと 観てた。

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この13~14話で 観られるのは
きたる黒王軍との決戦にそなえ、
自軍増強のために
織田信長があれやこれやと
策謀をめぐらすところと、
その計画の 基礎となる
海洋商業連合×オルテ帝国の
和平交渉のエピソード。

わたし 原作でも
このあたりのエピソード、
スリリングで だいすき。

ただ
アニメの
サン=ジェルミのセリフは
ニュアンスが一部
まちがっている。
何回も聞いたけど・・・
やっぱり
まちがってるとおもうなあ。

それは、
オルテ帝国の全権公使、サン=ジェルミと
海洋商業連合のトップ、シャイロック
和平交渉のシーン。
サン=ジェルミが
・・・こちらから(オルテ帝国から)
ふっかけた戦争なのに
こんな話でなんだけど
お互いにとって
さらなる脅威となる敵が
迫っているから
ここでひとつ 矛をおさめましょう、
でもって もうしわけないけど
和平にあたって
うちになんの賠償請求もしないでね。
・・・と もちかけるところだ。

賠償免除を要求する根拠として
サン=ジェルミは

「どーせうちの海軍も
廻船商人も壊滅してる
海はあんたたちのモノじゃない 
飲んでよ!!」。

この
「海はあんたたちのモノじゃない」が
アニメだと
「海はあなたたちのものではありません」
のニュアンスに聞こえる。

でも、
文脈から考えてこれは
「どうせ海の権利は今やぜんぶ
 あんたたちのものなんだから
(賠償なしの白紙和平でも)
 いいでしょ!」
のニュアンス、つまり
「海はあんたたちのモノでしょうが!」
的な言いかたが 
正解ではないか。

海で好き勝手できる
実権を手にしたことが
賠償金の代わりになるはずだ、
ということだ。

じっさいこの前の前あたりの
エピソードで 
商業連合のナンバー2 ブリガンテが
いまや海洋の覇権はわれわれが
握った、といった意味のことを
言っている。
サン=ジェルミは
商業連合がオルテ帝国を
ボコボコにしたことを
ちゃんと把握している。
いちはやくそれを予測し
オルテ帝国の命運が尽きると
判断したからこそ
彼は 漂流物側に与した。

「海は商業連合の手に落ちた」。
サン=ジェルミは理解している。
それなのに この和平交渉で
「海はあなたたちのものではありません」
は、おかしい。

これはもったいない・・・

おもいかえせば
アニメでは
そもそもの そもそも
いちばんはじめ
第1話の豊久のセリフも
リズムがおかしかった。

平野耕太のマンガ作品は
・・・といっても 
ヘルシング
ドリフターズくらいしか
読んだことないが・・・
セリフがすごく独特だ。
一般的な日本語の言い回しで
考えると
ちょっとおかしい、というような
ところや、
それ必要?といった
繰り返しなども見られるのだが
全体の流れでみると それが
とてもまとまりがよく、
また 忘れがたいシーンを形成する
重要な要素になっている。
あれがすきで読んでるファンは
わたしだけじゃないのでは

アニメでは
基本的に そうした
原作のセリフが
よくぞここまでやってくれました!
とおもうくらい
誠実に再現されている。

だからこそ もったいない・・・
と 思わずにいられない

でも それでも

おもしろいから OK。


商業連合と和平をとりむすんでこい、
信長にそう要請されて
サン=ジェルミがキーキー言う場面
原作でもおもしろかったが
アニメで
キャラクターが動いてしゃべると
ほんとにおかしくて
ゲラゲラ笑ってしまう。

本筋には関係ないが
ヘルシングOVAと同様
ヴェルディのオペラアリアなどの
クラシックナンバーが
じょうずに使われているところも
いいところ。

それにしても
自分が
こんなことを
考えるのもなんなのだが
いったい
ドリフターズ
このようなマンガを
好きこのむなんて
どういう種類の
人間なんだろう・・・

つまんないとおもう人には
まったくもってつまんない
マンガのはずだ。
こんなものがアニメにまでなって
いったい
だれが観るんだ、という
かんじだ

わたしは
ブルーレイまで買っちゃってるが。