BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『暗殺のオペラ』-190105。

2年くらいも前に書いた、
花戦さ』という映画の感想ブログが
なんでか とにかく よくよく読まれる。

york8188.hatenablog.com


なんで読まれるのかわからない。
駄作か良作かでいえば 
良作と記憶してるが
かといって
日本現代映画史において、今後そうそう
意義をもってくる映画とは おもわないし
(イヤ、何様。)
レンタルで、人気あるのか?
ぜんぜんそういう
映画じゃないとおもうんだけどな。
謎だ。

まあでも、
最後にたどりつく意見といえば
いつもこうだ、
一瞬でも 当ブログをのぞきにきてくださって
ほんとうにありがたい。
おかまいもできないが どなたさまも
ゆっくりしていっていただきたい。

・・・

旧年の暮れ、山梨に向かう前日には、
友人のお宅を訪問して
ショウガだしの鳥鍋をごちそうになってた。
彼とは高校時代からの長いつきあいになる。
今年うちの書棚を制作してくれる予定となっている
大道具作家のMさんを、
わたしに紹介してくれた人でもある。
彼にはいつもたいへん面倒をかけてる。
わたしは とにかくほんとに
落ち着かない人生を送りまくっているし
やることなすこと 
やっかいごとに発展してしまう。
ほんとうは 平穏無事なおとなしい日々を
送りたいと、これでも思っているんだけど。
そんなわけだから昔から
心配をかけまくってきた。
心配をかけるために友だちになったような
気がしてくる。
その問題は彼だけでなく 夫人にまで
すくなからず波及している。
夫人がとってもおだやかで、
やさしいかたで、だいすきだ。
おうちに招待してくれたのも 夫人だった。
夫妻には ちっちゃなお嬢ちゃんがいる。
筆舌に尽くしがたいほど、カワイイ。
まあ、いっても、赤ちゃんてのはだいたい
それぞれにカワイイものなのだが
おとうさんが
「それはそうなんだけど、でも
ほんとうにカワイイので、見て」
というので 写真を拝見したところ
ほんとにカワイかった笑

実物はさらに 
カワイさが もう、尋常でない。
とくに、ほっぺたが ぷにぷにしていて
マシュマロのようなかんじで最高だ。

あのような子が おうちにいて
日々スゴイスピードで
成長してるとおもうと
かたときも離れたくないだろうね。
見逃しちゃうじゃん、離れたら、成長を。

・・・

この日、友人が、
古い映画の ブルーレイディスクをかしてくれた。
持って帰って、以来ほぼ毎日1回は観ている。
ここまで集中して観るのは
クリストファー・ノーランの『ダークナイト』や
アニメ『ベルセルク』の劇場版以来だとおもう。


『暗殺のオペラ』
原題:STRATEGIA DEL RAGNO
ベルナルド・ベルトルッチ監督
1971年、伊

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www.youtube.com


付録のブックレットに
ラストエンペラー』でベルトルッチ監督と組んだ
坂本龍一さんの話が収められている。
内容がおもしろい。
ぜひどなたにも読んでみていただきたい。

本作は、ハッキリとわかりやすい結末があるような、
一般的なドラマでは、ないとおもう。
それに、なにせ昔の作品なので、
ついていけないとか、たいくつだとか
感じる向きもあろうかとは おもう。
そういう意見があっても べつに驚かない。

ただ わたしは不思議と飽きない。
なんか ちょっとわれながら
おかしいんじゃないかとおもうほど
じーっと 観入ってしまう。

映像がきれいで 凝っている。
あの 庭でスイカを食べるシーンの夕闇は
あれは、たしかに覚えのあるものだ。
たのしかった縁日の帰り道とか
旅先の夜の散歩で、みることがあるものだ。
そのとき感じる美しさを、
とらえて形にできると おもうことがまず
わたしにはない。
この映画は、形にしてしまっている。
それは思いを呼び覚ます。
ただの映像美とはいえない。

一度は鑑賞する価値がある。

ラストがなー
どう理解すればいいんだろう。
わたしが 字幕の記述に
とらわれてしまってるのだろうか。
回想シーンにおいて、父は
「街の人たちは、この計画に
それと知らずに参加する」と。なのに、
なぜ 街の人びとが息子の告白を
「そんなこといまさら 言わなくたって
街のもんはみんな 知っているんだよ」
という顔をして聞いていたのか わからない。
あ・・・ でもそうか
裏切り者でもあったから、か。
で いいのかな??
裏切り者と英雄とのポジション転換てのがなー

「自分で自分がわからなくなったんだ」
という訳だった。
ドライファ夫人との関係のどんづまりに
じつのところ かなりまいっていたのかも。

ボルヘスの原作がどうだったか。
家にあるとおもうんだけど・・・
ど、どのへんにあるか
片づけないと わかんない・・・

ラストの、駅のシーンはよかった。
列車が25分遅れというのも、
新聞がこないというのも。
「来ないことがあるんですよ、
まるでこの街が ないみたいに」。
いま、たまたま25分遅れなだけで、
基本的にはちゃんと列車がくる、にしては 
見るからにあちこち雑草が のび放題で、
線路にもっさりとからみついていて、
これじゃ列車が来たとしても、とてもまともには
走れない。
本当は、こうなってから時間がずいぶん経過している。
駅じたいが 死んでいるのだ。
息子が、亡き父の秘密ごと、街に抱きすくめられ
外に出られなくなった、ということの暗示なのかも。
彼はもう 帰れないのだ。
英雄であり裏切り者でもあった男を、
父に持つということは
英雄の子であり 裏切り者の子でもあるという
たえまなくスイッチする立場を
引き受けなくちゃならないことになる。
ふたをあけてみたときにはすでに
引き受けるかどうかを決める権利を喪失している、
宿命とでもいうべきもの、・・・というと、
オイディプス王』をおもいだすな。

この映画、昨年末あたりから全国で順次
リバイバル上映されているらしい。
ベルトルッチ監督が 亡くなったことを
受けての企画なんだろう。

観に行きたーい。