BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

「ふしぎの国のバード」5巻-181027。

きょう 生活用品の買い出しをおえて
書店によりみちし
佐々大河「ふしぎの国のバード」5巻
市川春子宝石の国」4巻
平野耕太ヘルシング」1巻
を買って帰った。
ヘルシングがあったのには驚いた。
ドリフターズ」の新刊が
待てど暮らせど出ないので
ファンがうるさくなってきて
もうしわけていどに過去作品を
ひっぱりだしてきたのかもしれない。
でもそれにしても
そんなにおおきな書店でもなかったし
どこの古書店でも
みたことなかったのに。


「ふしぎの国のバード」
とってもよかった。
画が、もう、飛躍的に
うまくなっていた。
表紙のイザベラの表情で
まずそれをすごく感じた。
デッサン的なものが
素人目にみてもあきらかに
まだまだ変ではあるが。
こんなに画がうまくなっても
デッサンが狂うということは
たぶんデッサンてすごく
むずかしいものってことなんだろう。

探検家になるまえのイザベラの
思い出が描かれていた。
朝焼けがきれいだわと、
妹が空をゆびさしたのに
その色彩が、うつくしさが
ぜんぜん心に映らない。
いまでいうおそらく
抑うつ状態にあったイザベラの
くらく沈み、かたまってしまった
心もようがよく伝わってくる
エピソードだった。

ビショップ医師のすすめで
トライした海外旅行において
彼女はその後の人生の
方向性を決定づける
できごとと出会いを体験する。
あのなにか一種の覚醒
召命の瞬間めいた
彼女の変化が
くっきりと描き出されていて
とてもよかった

鶴吉の心づくしで
ひさびさにお肉料理を食べることができ
おいしい、といって涙ぐむイザベラ
かわいい。
そのシーンでなぜか、
鶴吉とイザベラがいままでになく
それぞれに年齢相応というか、
このふたりの年齢はすごく
ほんとうは離れているんだ
ということを実感した。
たしかじっさいふたりは
20かそれ以上離れてて
イザベラはすっかり妙齢だったと
記憶してるが
マンガではイザベラが
25歳はこえてないかのように
描かれているから
ふたりの年の差があんまり
わからないのだ。

鶴吉は、こっちにむけた背中が
若々しいというか、むしろ
ちょっと子どもっぽかったから
そう感じたのかも
でもイザベラが当時の実年齢相応だ、と感じたのはなぜなんだろうな


作者は本作が
初のマンガ作品だそうだ
さいしょのころ、
画がじょうずじゃなかったから
「たしかにな」、とおもってた
でも、そのさいしょのころから
やっぱりすごくおもしろかった
へただけど、きらきらしてた
熱意と真摯さが伝わった
ひきつけられるものがあった
だから読んできた。
そのパワーがますます
つよくなってきている。
力まかせ、心意気に
ものをいわすのではなく
つたえる技術がついてきた。
よりつよく、より効果的に
読み手の心にうったえかけられる
ようになってきたんだとおもう。

ただ
この巻の最終話のラストシーン、
鶴吉の手をふるえさせるなら
イザベラの背中ごしに
鶴吉のうしろ姿をみているような
場面構成にし
ちっちゃく割ったコマで
鶴吉の手だけを
クローズアップしたほうが
なんかスマートだった気がする
古い映画とかでそういうシーンを
見るからかなあ。