BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』-180805。

原題 :Mission: Impossible – Fallout 
クリストファー・マッカリー監督
2018年、米

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よかったのではないだろうか。
中盤ちょっと眠くなったが
つまらなかったというのではなく、
安心してしまった、というかんじだ。

トムはがっしりとしていて、
腰から下の安定感では
他の追随をゆるさない。

撮影で足の骨を折ったそうだ。
しかもそのテイクが本番につかわれたらしい。
観ていたけど 一瞬だったから 
ケガした、とかまではわからなかった。
本人がやりたくてやっていることだから
まわりがなにをいっても せんないが、
ベッドのうえで ふつうに死ぬことは
この人はなさそうだな、とおもうと、心配だ。 
そろそろもう 
アクションは勇退しても・・・と言いたくなる。

レベッカ・ファーガソンがきれいだった。
やさしくふんわりとした目もとがすてき。
ホワイトウィドーを演じた女優さんも 
眼が笑ってないかんじが
異様に怖くてよかった。

ヘンリ―・カヴィルは
ルックスにあまり特徴がないせいか
本作最大の悪者役というには 
やや、ものたりなかった。
しかし、彼は彼の仕事をちゃんとしていた。

男子トイレの攻防戦で 
イーサンとウォーカーに苦戦を強いる
謎の男を演じた 中国系の役者さんは
名前はわからないが
マーシャルアーツの驚異的な達人だった。
正直なところをいうとオープニングに
アリババピクチャーズのロゴを観た瞬間
またか、とちょっとイヤな気がしたのだが
本気で殺しにいかんばかりの 気迫のこもった
格闘技をみられて 爽快なきもちになった。

イーサンが、ヘリの操縦ができない、
ということに少し驚いた。
車やバイクのたぐいは
レーサーなみに乗りこなすのに
ヘリはできません、というのが、
いまさらなかんじだ。

カーアクションやヘリによる
エアコンバットはすばらしくて
感心させられた。
セリフをばっさり削り、
機体の軋む音や衝突する音、
エンジンのうなりにものをいわせる演出で
まるで自分がイーサンになって 
そこで戦っているようなかんじを味わえた。

壊れたヘリの機体が 
こっちに向かってスゴイ勢いで
転がってくるのをみて、
イーサンが必死こいて
シートベルトをはずして
逃げようとするシーンが笑えた。
本作は話がやや複雑で、
処理すべき情報が多かった。
そのぶん、イーサンと仲間たちの
楽しいかけあいのシーンが
ひかえめだったのだが
ちょっと笑えるシーンが
それでもいくつかはこうして 
さしはさまれていた。

ところで、
ストーリーをまじめに
追いかけなかったので、
わからなかったことがある。
あの3つの核爆弾は連携していて、
かりに1個の起爆が解除されても、
もう2個がそのサインをキャッチして
すかさず作動するので、
3個まったく同時に
起爆を解除しないかぎり、
すくなくとも2個が爆発するしくみ。
起爆解除がされなければ、
3個とももれなくドカンだ。
なのになぜ 3個をあのように
狭い場所にまとめて配置したのか。
起爆を解除されることが前提というか、
起爆解除をさせることそれじたいが
目的かのように。
確実に起爆させたければ、
1個はあの場所でいいとしても、
もう1個はマリアナ海溝の深海、
1個はマハランガー・ヒマールのてっぺんと、
到達が困難な場所に、
離して置けばよかった。
一時的にここに置いてる、
というかんじではなかった。
それならば、まだカウントダウンスイッチを
押す必要もなかったはずだが、
ウォーカーが、スイッチを押していた。
あの場所で爆破する計画だったのだ。
世界の人口の3分の1をうるおす
氷河を汚すためだけに、
核爆弾3個も必要か。
放射能汚染が目的なら、
1個でじゅうぶんでは。
1か所に集めたことの
合理的な理由がみあたらない。

まあ、でもわかる。
合理的とかそういうことではないのだ。
世界を立て直すためには
1回 ぜんぶ更地にして
残った優秀な人間だけで
また はじめるのがよろしい、
という考えかたが テロリズムの基本と聞く。
本作の悪者も
「苦しみが先、平和はそのあと」
というバキバキのテロリストだ。
それなのに個人的な憎悪と復讐心が
理想の実現という大義に優先したのが、
運の尽きだったのかも。
理想を実現することがほんとうに
第一の目的だったなら、
やはりあの場所には爆弾を
配置しないほうがよかった。
でも 
あいつが苦しむところを
何としても見てやるんだ!
とか つまらないことに
こだわったために・・・。

・・・

おもえばわたしは
クリストファー・マッカリー
監督か脚本を担当した映画を
ずいぶんみている。
『ユージュアルサスペクツ』
『MI』シリーズ
『オールユーニードイズキル』
ワルキューレ』・・・。
オールユーニードイズキルは傑作だった。
いまでもよく覚えている。

清新で、余裕と知性が
感じられるところが 
この人の映画の良さのような気がする。
ハードなアクション山もりの映画を
下品に走らず 
どこか大人っぽくみせてくれる。

でも、べつに彼の作品だからと
選んで観ているわけではない。