BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

手記-其の玖(仮題)-201712**-初旬-起こり-2。

さいきん 人にやさしくする、ということについて
いろいろ 思いをめぐらせたりしている。
わたしは、なんて
人にやさしくすることができない人間であることか。

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このたび 自分がいまだ渦中にある
とある闘いにおいて
多大なサポートをいただいている
G夫妻という存在については
前回の項で紹介したとおりだ。
ただ、おもったんだけれど
今後 当ブログは
登場人物がすごくふえる予感がする。
それらの人物たち全員を 今のように 
アルファベットを利用した仮名表記にしたら
なにがなんだか わからなくなってくるかもしれない。
場合によっては なにかほかの 仮名表記のしかたを
考えたい。
たとえば下川さんだったら 上山さんにするとかさ。

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さて
退院した週末、自宅休養しつつ
わたしはG夫妻に このたびのことの事情と
退職の意向をうちあけた
G夫妻の奥さんのほうは、
わたしをちからづよく励ましてくれ、
ご自分の総務関連の知識を活かして
わたしが安心して退職→休養できるようにするために
とりうる選択肢をアドバイスする、と申し出てくださった。

わたしは これは辞めるしかないかも
わからんなと思いつつ
思っているだけで、実際的なことは
あんまり深く考えていなかった
(なにせ体調が悪く 頭がまったくまわらないうえに
わりと、生来のぼんくら気質である)。
でも、辞めたあと しばらくなにも心配せずに
休養に専念するようなことが 可能な辞めかた・・・なんて 
もしほんとうにあるのだとしたら
それは助かるよなあ・・・とおもい
奥さんに 助言をあおぐことに決めた。

2017年12月1日のことだ。

2017年12月2日の夕方ごろから
奥さんによる質疑応答形式のレクチャーが開始された。

いちおう、年内退職の方向で話は進められた。

職場の締め日は毎月20日だ。
週明けに 退職を願い出た場合、
はやければ
2017年12月20日付で退職となるだろう。

出版業界には
「年末進行」という魔の期間が存在する。
どんな業界にも似たようなあれはあるとおもうんだが
一応説明すると、
出版業界における年末進行とは、
年末年始に、製本所や印刷所といった製作工程部門が
冬休みで閉まってしまうために、
原稿制作・編集工程部門
(ここではわれわれ編集プロダクション)の締め切り日が
いつもよりもさらにさらに 繰り上がることをいう。
イメージしにくいかもしれないけれど、
まあ、すごく大変だ。ということだけ
なんとなく想像していただければけっこうだ。
年末進行にあたる11月中旬~12月中旬の編プロは
けっしておおげさでなく 殺人的に忙しくなる。

そんななか自分ひとり 辞めることが
ゆるされるかわからない。
が・・・。

また、
仕事を辞めるとして、辞めるまでの20日間を
どう過ごすかについて考えたとき・・・
つまり 半病人だけに・・・もし可能であるなら
有給消化のかたちで 
休みたいときゆっくり休むことができればなあとか
夢想したとき、
気になることがひとつあった。
ふつう 会社勤務の場合
法定の年次有給休暇が発生するはずだが
わたしの職場で この有給休暇ってものが
いったいどうなっているんだか
まったくわからない状態だったのだ。
すくなくともわたしは
自発的に「これは有給休暇だ」と認識したうえで
休みをとったことは
この職場において 一度もなかった。

奥さんはわたしのまとまりのないメッセージから
そうした事情を把握していきながら、

「そういう手続きをやる 総務みたいな人って誰?」と。

職場の営業兼・実質的責任者は専務だ。
しかし、
総務関係は 専務の御母堂であるところの社長が
担っているのではないかとおもわれた。
かくしゃくとしておいでだが高齢であるし
どこまでいろいろ ちゃんとわかっているのか
たまに会話するときの感触でいくと 微妙な気はするが・・・
でも 総務関連のことをやっている可能性がある人といえば
社長しか考えられなかった。
専務は正直、そういうのなにひとつ
わかってないってイメージ。
だれひとり なにひとつ わかってないっていうのは
さすがに考えにくいし。会社なんだからね。

そのことを奥さんに話すと、
奥さんはわが職場が 中小の 
しかもいわゆる同族企業であることを知り、
今回の件を 考えるにあたって
警戒レベルをちょっと高めに 再設定したみたいだった。

彼女はさらに わたしから
加入している社会保険、および
給与明細の記載項目、
加えて 入社時の雇用契約について
ヒアリングしていった。

社会保険
加入している。
社会保険料雇用保険、厚生年金の各項目が
給与から引かれる形となっている。

・給与明細に・・
残業手当、または職務手当といった記載は、ない(涙)。
あったとしてもその額が明記されてはいない(涙)。
また、給与にかんしては
「所定時間外労働あり
基本給与〇〇万円(裁量手当含む)」
との記載がみられる。

・有給休暇
年次有給休暇の概念はいちおう
わが職場にも生きている。
だが自分がとったことのある休み(病欠とか)と
有給休暇の関係(病欠したあの日に有給が充当されたのか
どうか・・、っていうようなこと)は わからない。

雇用契約
雇用契約をむすぶとき、雇用契約書はあった。
契約時に面談した社長に申し出て
コピーをとったので
写しを手元に持っている。

・職場の規模
年中 人がいれかわりたちかわりするが、
13~15人でだいたい推移している。

就業規則
就業規則書、みたことがない。
入社時に、もらっていない。
職場のどこに置いてあるか、不明である。

・タイムカード
存在する。
夜23時を回った時点でいったん退勤打刻することが
暗黙の了解となっている。
また、20日締めであるからなのか、毎月20日には、
定時の夜19時になった時点で専務が勝手に
全員分 退勤打刻し、
カードを回収する。
そのため20日は、19時以降にいくら残業をしても
記録に残ることはない。


・・・
奥さんいわく
中小で同族企業にありがちなパターンで、
経営者側が、総務・法令順守を徹底していない可能性がある。
あまりよくわかっていないで労務士やらにまかせきりに
しているか、
わかっているんだけれど意図的に無視しているか。

わたしの退職をめぐって
わたしの職場にかくれている可能性のある問題は
ふたつに大別できるとのこと。
ひとつは労働報酬面、
もうひとつは退職関連面。
(病気で辞める、という事実を含む)。

奥さんは、労働報酬についてのことから
先に考えようと提案してくれた。
わたしが退職するにしても 退職でなく休職などを
することになったとしても 
職場にかかわるかぎり 労働報酬のことは
つづく問題であるからだ。

彼女は、<前提>として
労働基準法の順守義務をあげた。
雇用主がこれを守らない場合 ペナルティがあること
守る義務があるのは
「入社時に、賃金や労働時間を労働者に明示すること」
「時間外や休日に労働させた場合は割増賃金を払う」
「一定の有給休暇を与える」
などのことだ。

しかしながら、わが職場ではこれが
守られていないとみられる。
とくにわかりやすいのは、残業代だろう。
平日・休日出勤時に残業代が発生しているはずだが
支払われていない。
専務が勝手にタイムカードを押してしまうときも
月に1回あるとはいえ
それ以外の日は、定時以降23時までは
残業した記録がカードに残っているのに
そのぶんの残業代が 出ていないのだから。

また、給与明細にみられる
「所定時間外労働あり
基本給与〇〇万円(裁量手当含む)」
という記載。
奥さんいわく、
この「裁量手当」が
残業代にあてられているとみられるとのこと。

えーと

どういうことかは追って 
もっと深く、詳述させていただくが、
これは、いまおもえば、
裁量労働制」に関連する 
発見だったとおもわれる。

裁量労働制っていうのは・・
日本の 労働時間制度のひとつだ。
・・ある仕事をするとき、どんな時間配分で、どんなやりかたで、
どういうふうにすすめても、労働者の自由。出退勤も自由だ。
約束の期日に、指示されたとおりに仕事をすませさえすれば。
といっても 所定労働時間(月にこのくらいの時間働くでしょう、
という時間)はあらかじめ決めておく。
もし、所定労働時間を8時間ということにした場合、
仮に10時間働いても15時間働いても、
いや、8時間働いたのだ、ということになり、
差分の(実態に即した)残業は原則みとめられない。
ただ、この「所定労働時間」も法律の範囲内で設定しなくちゃ
いけないことになっていて(1日8時間まで、週40時間まで)、
これを超えて働く可能性がある場合は、36協定という
労使協定をとりかわす必要がある。
所定労働時間を超えて働いたら、別途、割増賃金が
支払われることにもなっている。のだが、そこは、
「まあ毎月このくらい残業するでしょう」としてあらかじめ設定される
「みなし残業代」(固定残業代とかいろいろな呼ばれかたがある)
で対応されるのが ふつうみたいだ。

「どういうふうに仕事をすすめてもあなたの自由。」
つまり「裁量は 働く側であるあなたにある」。
高度あるいは専門性のたかい技能をようする職種・・・
われわれのような 出版編集、放送関連などなど
特定の業界、職種にのみ適用され、
労使協定をむすぶなどの 一定の手順をふまなければ
もちいることができないシステムだ。

・・・
奥さんいわく、
わたしの給与明細にみられる記載
「基本給与〇〇万円(裁量手当含む)」の
「裁量手当」が、
「みなし残業代」「固定残業代」にひとしいと
考えられる とのこと。

「『裁量手当』が、固定残業代にあたる感じだけど、
それが実態とあまりにかけはなれるのはまずいものなの。」
「裁量手当の額がいくらなのかと、実際に残業として
どのくらい働いているのかによって 問題の程度がかわる」
「そして、深夜労働はそれとまた別問題」。

ちなみに、雇用契約書を読むかぎり
裁量手当について
「月〇〇時間労働したものとみなして〇〇円支給する」
といったような記載は
なかった。

それを確認したとき、わたしは、
社会人経験1年目の職場であった
広告代理店のことを 寒気がするような感覚とともに
いっきにおもいだしていた。
求人広告をとりあつかう仕事であった。
わたしたち従業員は、
労働基準法の基本などについて
ひととおり学び、検定試験を受けて
社内資格に合格する必要があった。
だからあのころは、ほんとうにさんざん勉強したものだ。

そして、求人広告の制作には こういう大前提があった。

「求人広告の給与項目は、その額の内訳が
明記されていることがのぞましい。つまり、
読者が、その求人情報上で、自分が月何日働いて
何時間残業した場合 何円給与をもらえるか・・・を
自分で計算できるようになっているべきである。」
それは、
「企業における雇用契約書の給与欄が、
原則的に、そうであるのに準じて」。

ひっくりかえせば
企業の雇用契約書の給与欄は 原則的に、
労働者が 
自分が月何日働いて何時間残業した場合 
何円給与をもらえるか・・・を
自分で計算できるように
書かれていることがのぞましい、のだ。

忘れてた。
思い出した。
なんで忘れていられたのか。
この雇用契約書には 重大な問題があるじゃないか。
ぜんぜん気づかなかった・・・。
そのことに、入社4年にもなろうという・・・
そして 立ち直るのがむずかしいレベルで体調を崩し
辞めざるをえないとまで感じる いまになってようやく
気づいた。

内心 自分のアホさにがくぜんとしつつ
奥さんのレクチャーは続く。

奥さん
「裁量手当(「裁量労働制」)については、法律上、
具体的にみなし残業時間を定めることになっていて、
実態でその時間を超えたら、超過勤務分を
別途支払う義務がある」

わたし「そうでしたね・・。」
(広告代理店にいたとき毎日かならず読んでいた
労基法関連の冊子を思い出しながら・・・(涙))

奥さん
「ね。だから、
(超過分が支払われていないのだとしたら)
支払いを要求することはアリよね。
労働報酬については、このとおり、おそらく未払い分がある。
雇用契約書も不備だし、支払い要求をするのに時間や
手間はかかるだろうけどね。」

奥さん
「お金のことをさきに整理しよう。
この場合、退職にあたって
①会社の協力がなくてももらえるお金
→失業手当
②もらえる可能性があるお金
(会社の協力が必要だが、協力なしでもなんとかなる)
傷病手当金
→未払いの残業代」

奥さん
「未払いの残業代は、会社と争ったりしなくても
払ってくださいと申し入れれば払ってくれる可能性がある。
社長さんて、払ってくれそうなかんじの人?」

わたし
「確証はないけど払ってくれそうかも。
払って、という要求を書面にして
提出すればよいでしょうか」

奥さん
「実際に未払い分があるかどうか、雇用契約書から
推測できないんだよね(→そうだね!!)。
だから、提出するにしても、どういう書面にすればいいのか
決められない。書面のほうが、いいとはおもうけど。
書面の内容を、労働の専門家に相談したほうがいい」。

わたし
「はい、
(契約書上に算出ルールが記載されていないから、)
未払いの残業代とは何なのか、がわかりません」
「(明日、職場復帰して、退職の意向を上司に話すつもりだけど)
会社でまだしないほうがいいこととか、言わない方がいいことは
あるでしょうか」

奥さん
「自分の意思で辞める、そのことをあした話す、
そして現時点で、書面でもメールでも まだ
退職の意思を明示していない、のであれば
あしたは、まだ、
未払いの残業代を請求するつもりです、みたいなことは
言わないほうがいい。
要求書を提出するまえに、証拠隠しをされたり、
雇用契約書を改ざんされたりするおそれがあるから。」

なるほどなあ・・・

奥さん
「でも、いまの体調は、
職場復帰できるくらいのかんじなの?
もし、復帰できるくらい体調がいいのだとしても
週明け月・火くらいは休んで、労働相談窓口とかに
行ったほうがいいような気がするよ。
有給は1年に10日もあるし、
有給使うのにいちいち理由とか言わなくていいんだし。
なんなら やっぱり調子悪いから・・とか言って、
月曜休んで 窓口に相談にいったら?」

わたし
「たしかにおっしゃるとおりですが、会社にすでに、
月曜から復帰するって言っちゃったからなあ・・・
入院してからこっち、いろんな人がわたしの仕事を
かぶってくれていますし。
これ以上は休めません・・・」

(→この期におよんで 社畜の発想。)


奥さん
「わかるよ でもね、そういう状況になっているのは
マネジメントが悪いせいであり、あなたのせいではない」

じつはこのやりとりをしていたとき
わたしは くだんのコインランドリーにいた。
この瞬間 わたしは
きかんしゃトーマス発作」第1回にみまわれ卒倒。

なんなんだ??? なんで倒れたんだろう・・・??
倒れる直前 一瞬 会社の光景が目の前に
ひろがったのは あれはいったい・・・???
グルグルと考えまくりつつ
店内でしばらく休んだあと 自宅に戻り、
ベッドの上に落ち着いた。
数十分後、やりとりを再開し
長い時間をかけて また 奥さんと
話し合っていった。

家に戻ってベッドのうえでパソコンを開くと
とつぜん連絡がとだえたわたしを
心配してくださっている
奥さんのメッセージがいくつも届いていた。

奥さん(倒れた事情を知って)
「やっぱり調子は悪そうだね 
ふつうにやっぱ月火くらい休んだら。
無理して出て、また倒れたら・・・」
「体は正直だよ。心のほうが、ごまかしがきくの。
やばくなると 脳が心をごまかすから
むしろ元気がでてきたりするよ。
それのままいくと、体が音を上げるの。」

そのとおりだ。わたしは
もう自分の「大丈夫!」が
まったく信用できなくなってきていた。

わたしは、奥さんに
すでにして 漠然とながら思い至っていた
さきほど倒れたことと
きかんしゃトーマスの走行音(に似た音)」の
関係について告白してみた。

奥さんは
「あなたがおかれている状況が
かなり理解できた気がする。
話を聞かせてもらえてよかった」
といってくれた。

奥さんは、わたしが
会社に 未払い残業代の要求書を提出するにあたり
その書面の内容について助言してくれそうな
相談窓口を インターネット上からいくつか探し
紹介してくれた。

そのなかに、
NPO法人 POSSE」の名があった。

奥さん
「対象年代的にもちょうどあてはまってるし
無料で夜22時まで相談受付ってのがすごい。
ここならいまから問い合わせても受け付けてもらえるね」

www.npoposse.jp



自分もサイトにアクセスしてみた。
どうしようもなく頭の回転がにぶっている自分でも
わりと 読んでみようかなという気になるような・・
個人的に好きなかんじのレイアウトの
サイトトップが ぱっと表示。
(誰にとってもそうであるかは、わからないよ。
もちろんね。)

あ、ここならなんか・・・
なんか・・
大丈夫な気がする。

「さっそく連絡してみます」。

これが、
のちに自分のとある闘いを
強力に支えてくれることとなる
労働組合「総合サポートユニオン」との
出会いのきっかけだった。